ウンザリ情報

新型インフルエンザ対策の達人様より、

    マスコミではまったく報道されていませんが、輸入ワクチンは、

    GSKのものは1バイアルで10回分
    ノバルティス・ファーマのものは1バイアルで17回分

    のいわゆる大瓶です。

この情報をどこから入手されたのか、またどれほどの信憑性があるのかは不明です。さらに大瓶情報が正しいとして、すべて大瓶であるのか、小瓶も混じっているのかは不明です。あれこれググってみたのですが、私の手では根拠となりそうなソースは見つかりませんでした。

それでも新型インフルエンザ対策の達人様は、新型インフルエンザ発生当初より精力的に関連情報を集め提供していますので、一定の信用があるものとして今日は受け取って話を進めます。ただ今回に限っては誤報であるほうが嬉しいのですが、現時点では確かめようがない上に、「あっても不思議は無い」のが新型インフルエンザ対策ですから困ったものです。


とりあえず海外産ワクチンの量は10/1付読売新聞によると、

ワクチンは来年3月までに1385億円をかけ、国産2700万人分と海外産4950万人分(計7650万人分)を確保するとした。

ちょっと寄り道なんですが、読売記事の1385億円は国によるワクチン買い上げ代金と推察されます。また記事を読むと国内と海外の両方の購入費用が1385億円のように読めます。一方で10/7付タブロイド紙には、海外産ワクチンの購入費として、

1人2回接種として4950万人分、購入額は1126億円

両方の記事が仮に正しいとすると、

種別 供給量 買い取り予算 1人分の価格
国内産 2700万人分 259億円 959円
海外産 4950万人分 1126億円 2275円


この計算が正しいかどうかは確証が持てません。検算として国内産の本体価格は小瓶(1人分)で1725円となっていますから、単純計算で470億円ぐらいになります。もう少し細かくやれば2694万人分ですから464億4456万円になります。1385億円が買い取り予算として正しいとすれば、海外産購入費用は921億円となり、1人分の本体費は1860円程度になります。タブロイド紙情報が間違っているような気もするのですが、10/6付大分合同新聞にも

 厚生労働省は6日、新型インフルエンザの輸入ワクチンについて、英国のグラクソ・スミスクライン(GSK)とスイスのノバルティスの製薬2社と購入契約を結んだと発表した。GSKから3700万人分、ノバルティスから1250万人分の計4950万人分を購入する。契約額は2社合わせて1126億円。

もし1126億円が海外産ワクチンの「買い取り代金 = 本体費」であれば、これは前に計算しましたが卸価格はレギュラーボトルで3800円程度になると推測されます。国産の卸価格が2936円ですからバイアルにして1000円アップ、1回分にして500円アップになります。これだけワクチンの卸価格が上れば接種価格の改定も必要なはずですが、はてさてどうなる事か、例の如く、例の通り、そういう情報はギリギリまで出ないと思います。

どうにも押し売りが来た時の請求伝票を見てビックリ仰天・・・・なんて事も十分ありえそうです。



海外産ワクチンの卸価格も気になるところですが、国内産ワクチンは平成21年11月17日付の【現時点での標準的接種スケジュール(目安)】によると、総生産量2694万人分のうち636.5万人分が大瓶となっています。これでも大瓶生産が中止に決定されたため、元もとは1172万人分ありました。

この国内産の大瓶636.5万人分の使用に医療関係者は四苦八苦の状態なのですが、思えば何の根拠もなく海外産が出回れば大瓶地獄は少なくとも解消されると考えていました。ところが国内産大瓶の約8倍もの海外産大瓶が、年が明ければ大量供給されるかもしれないの情報はまさにウンザリです。誰かもう少しはっきりしたソースをお持ちの方は情報提供下さい。本当に誤報である事を祈るばかりです。


このウンザリ情報を読みながら目に付いたのが12/11付スポニチ記事です。

 新型インフルエンザのワクチンをめぐり、福井県医療機関が10ミリリットル入り製剤の大容量瓶を一度に使い切れず、残りを廃棄していたことが10日、分かった。現在は幼児らへの優先接種が実施されているが、小学4年生以上へはこれから。希望者全員への接種が進まない中での“廃棄”には批判の声が高まりそうだ。

 新型インフルエンザのワクチン廃棄が明らかになったのは、福井県内の公立病院。

 同ワクチンは10ミリリットルの瓶に入っており開封後、24時間以内に使い切る必要がある。病院によると、1歳から小学3年生のワクチン接種が始まった7日、予約のあった88人のうち22人がキャンセルした。2本目を半分程度使用したところで接種が終わり、残った約5ミリリットルを廃棄したという。「すべて使い切る計算で予約人数を振り分け、余らないよう工夫したが、突然のキャンセルでやむなく廃棄した」と苦渋の選択だったことを強調した。

この記事は「キチン」と余ったワクチンを廃棄した医療機関をお叩きになられていますが、鉄の優先順位をお決めになられたのは厚労省であり、優先順位を少しでも外して接種すれば、猛烈に批判するのはマスコミです。あれだけマスコミにバッシングされれば、ワクチンがドタキャンにより余った時の選択は優先順位を外してでも有効利用するより、廃棄する選択を選ぶのはさして不思議無いと思います。

この件も余ったワクチンを有効利用するために、優先順位を外して接種したり、ましてや土壇場で融通しやすい職員の子どもにでも接種しようものなら、ボロクソ批判以外は生まれなかったかと思います。そうなれば医療機関が批判されない選択は、優先順位を厳守し、なおかつワクチンを完全予約制で完全消費する以外にはありません。まあ、曲芸ですね。

無駄なく完全消費しようと思えば、キャンセル率を見込んだ予約を取る必要があります。ホテルなんかはそうして客室利用率を上げています。ホテルの場合でも、長年の経験からキャンセル率の設定をしているそうですが、それでも時にオーバーブッキングは発生するそうです。ワクチン接種ではキャンセル率設定のノウハウもない上に、オーバーブッキングやらかし、マスコミにでも嗅ぎつけられたらどうなるか。考えたくもありません。

海外産大瓶情報と言い、卸価格と言い、来年に向かってのウンザリ情報にはゲンナリさせられます。