毎日新聞の品格

日本に「quallity paper」など存在しないの声はありますが、それでも朝日、読売、毎日、産経、日経は五大紙とも呼ばれ、少なくとも自紙を評価する時は「quallity paper」としているかと考えています。地方紙だって存在はローカルであっても矜持は「quallity paper」かと思っています。日本で本当に格付けが存在するかどうかが疑問に思うこともありますが、スポーツ紙やタブロイド紙よりは格の高い情報を発信していると考えているでしょうし、その新聞の読者も漠然とそう考えている人は少なからずおられます。

「quallity paper」とそれ以外を区別する明確な基準は知りませんが、簡単には内容でもって分けられると考えています。内容と言っても色々あるのですが、個人的には「quallity paper」には品格が求められエログロ記事は「quallity paper」には掲載されないと考えますし、掲載した時点でその社の自己評価としても「quallity paper」ではないと宣言しているのと同様かと考えます。

S.Y.'s Blog様の所詮、えぶりでぃ。には興味深い事が書かれています。大手新聞社ともなると英字紙が発行されています。毎日新聞も例外ではなくMainichi Daily Newsが発行されています。出典はWikipediaですが、

毎日新聞関連紙

Mainichi Daily News毎日新聞が直接発行している新聞である事がわかります。これもまた出典はWikipediaですが、

毎日デイリーニューズMainichi Daily News、英文毎日)は毎日新聞社の英字新聞。1922年創刊以来の伝統と歴史を誇っていたが、2001年3月を持って新聞の発行は休刊している。インターネットでは引き続き掲載している。

1922年といえば大正11年創刊と言う由緒正しい「歴史と伝統」があるもので、2001年3月からWeb版のみに移行したとは言え、毎日新聞が世界に自社記事を発信する重要なコンテンツである事に変わりはないと考えるのが妥当です。さらに英字紙の位置付けとして、常識的には毎日新聞の記事の中から海外に発信するに値するものを選んで発信していると考えます。つまり毎日新聞Mainichi Daily Newsは内容的にほぼ同一関係にあるとの考え方です。そういう風に普通は考えて良いかと思います。

そのMainichi Daily newsWaiWaiと言うコラムがあるそうでWikipediaにも、

同紙掲載のコラムWaiWaiで配信される記事が性犯罪にかたよっている傾向があり、見出しもタブロイド的だとして批判を受けている。

ここまで書かれるとどんな内容か気になるところです。これについてまとめているのが毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wikiです。まずWaiWaiとは基本的にどんなコラムかと言えば、

毎日新聞英語版「WaiWai」とは、 ライアン・コネル (Ryann Connell)なる人物が、『実話ナックルズ』、『週刊実話』、『週刊大衆』等、日本のタブロイド誌から、刺激的なエロ記事ばかりを「クリエイティヴに」翻訳して紹介するという趣向のコーナー。

この紹介を読むだけで「ほぉ〜」と感じてしまうのですが、刺激的なエロ記事であっても扱いによっては社会分析や文化批評に使えない事もありませんから、これだけでは即断できません。そこで次なる興味はライアン・コネル氏がどんな人物であるかです。御尊顔をさがしてみたのですこんなのがありました。

どうもMainichi Daily Newsだけではなくその関連紙の週刊英語学習紙毎日ウィークリーにも関係しているようで、編集長代理の肩書きもあるようです。紹介した写真はMainichi Weeklyの正式の広告と考えられ、さらにそこに書かれた肩書きは毎日新聞社公認のものと考えるのが妥当です。簡単に言えばWaiWai毎日新聞社の社員であり編集長代理であるライアン・コネル氏によって書かれているとして良いかと思います。

もう少し詳しい情報としては毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wikiのライアン・コネルとは何者かにあるのですが、

オーストラリアから日本に来たのは20歳ごろ。八王子市役所で2年間勤務した。嫁は日本人。推定年齢36歳〜37歳。

とりあえずそういう人物であるのはわかります。これだけではブライアン・コネル氏がどんな人物かはわかりませんが、この乏しい情報ではとくに見識を買われてコラムを担当されているように思いにくいところがあります。

問題のWaiWaiの記事ですがどれだけの期間掲載されていたかは私にはわかりませんが、毎日新聞英語版から過去に配信された記事の冒頭に、

以下に掲載されている記事は、主に2007年6月から2008年5月にかけて「毎日新聞英語版WaiWai」から配信されたものです。

少なくとも1年は連載されていた事が確認できます。決して単発の記事でない事はかなり重要なポイントだと考えます。詳細は申し訳ありませんが、リンク先を読んで頂きたいと思います。しがないブログですが、直接引用すればそれだけで大顰蹙を買いそうな内容で私の感覚では到底掲載できません。大袈裟に言えば当ブログの品位が問われると考えるからです。そこで記事そのものではなくMainichi Daily Newsを批評した記事の紹介をしておきます。

http://www.japaninc.com/node/2988

"I love the Mainichi Shimbun online. Sort of."

「私は、ある意味毎日新聞を愛している」

February 26, 2008
J@pan Inc Blog

I love the Mainichi Shimbun online. Sort of. Having record of both the English and Japanese language versions of the same articles from the same publication resting side-by-side, only a hotlink away, the site serves as a rather interesting window into how news is tailored to its audience.

私は、毎日新聞オンラインを「ある意味」愛している。同じ新聞社の同じ記事の英語版と日本語版を記録していることで、このサイトはいかにニュースがそのオーディエンスに向けて仕立てられるかの興味深い窓となっている。

Looking at the publication, it seems that there is a fine line between news and entertainment—and the Mainichi’s leaning to the latter undoubtedly boosts their reading figures, particularly on the English site. As Ms Kitanaka has previously noted content is strategically selected and the writing style is self-consciously titillating. This applies to both the Japanese and the English versions but interestingly, there are inconsistencies between the two.

配信記事を見ると、ニュースとエンターテイメントの間には明確なラインがあるが、とりわけ英語版の方では後者のエンタメ志向が疑いの余地なく読者を増やしている。キタナカさんが以前指摘したように、内容は戦略的に選択され、記述スタイルも意識的に心をくすぐるようになっている。これは日本語版も英語版の両方に言えることだが、興味深いことにこの2つの間に不一致がある。

Opening up the English homepage the first thing I noticed was the startling number of articles related to sex crimes (click here for an example), none of which were related to the US military rape case that has been pummeling the headlines as of late. These were all crimes committed by Japanese people, primarily against young females. Clicking on any of the articles not only pulls up the article in question but an onslaught of similar stories under the “related articles.” You can follow these stories to the end of the earth. Yet when I checked out the Japanese versions of these same articles, if they even existed, the number of “related articles” was always significantly less, or entirely nonexistent.

英語のホームページを開くと、最初に気づくのは仰天すべき性犯罪の記事の多さである。このどれも米軍のレイプのケースとは関係ない。これはすべて、日本人により若い女性に対して犯された犯罪である。記事のどれをクリックしても問題の記事だけでなく「関連記事」の下に大量の類似のストーリーを読むことができる。しかし同様の記事の日本語版をチェックしても存在したとしても「関連記事」はいつも少ないか、全く存在していない。

Is it presumed that the Japanese audience doesn’t care to hear about these things? Does everyone know it’s happening and therefore it’s assumed that these stories don’t need to be told? God forbid readers actually have to stare problems in the face day in and day out to the point where they are forced to think critically about their contributing factors on a deeper level. Or、 is it simply that the English editors fall back on the sensationalist tendencies of the media in their home countries?

これは日本人の読者がこうした事柄について聞きたいと思わないことを想定しているのか?みんなそれが起こったことを知っていて、そのような話は報道される必要が無いと思われているからだろうか?それとも英語版の編集者が自国のメディアのセンセーショナルな傾向に頼っているということなのか。

Either way, I don’t care for the Mainichi Shimbun as much as I first stated. I lied. In fact, I find it rather difficult to respect a publication that blatantly reports with such extreme discrepancy across its content. But I am glad that it exists and it is entertaining. It’s also an interesting window into the world of journalism and the Janus-faced duality of allegedly bilingual reporting.

どちらにしても私は毎日新聞には最初に述べたほど興味がない。そう、嘘をついた。実際、私は内容についてこんなに極端な不一致をもってぬけぬけと報告するような新聞社を尊敬するのは難しいと思う。これはまたジャーナリズムの世界への、そしてバイリンガルなリポートとかいうもののヤヌスの双頭のような二元性への興味深い窓である。

By Justin Potts

さすが抗議が強烈に行われたようで現在のWaiWaiコラムは、

MDN readers,

Some readers pointed out that various articles published in the WaiWai column were inappropriate content for the Mainichi Daily News. We respond to this criticism by halting publication of this column. We plan to start a column with a new concept to replace WaiWai in the future.

Thank you for your understanding.

Mainichi Daily News

以上、毎日新聞の品格についてでした。