朝からPCの御機嫌が悪くて四苦八苦しています。とくにAcrobatが完全にヒスを起してストライキで、経団連の持続可能で国民の満足度の高い医療の実現に向けて 【概要】というありがたいプランを読むまでに苦難の道のりを経る羽目になりました。どうも開こうとしたページが悪かったようでAcrobatごとダウンさせてしまいました。
それでも何とか開いたので分析してみます。まず冒頭は「医療をめぐる不安と不満(現状の諸課題)」となっています。
- 国民の視点
- 不透明(情報不足)で硬直的(選択の余地が少ない)
- 保険者の視点
- 情報不足による機能発揮の阻害
- 保険料負担者の視点(国民、企業)
- 不透明な負担(拠出金等)への納得性の低下
- 今後の保険料負担増加への危惧
- 医療提供者の視点
- 効率的で質の高い医療提供の努力が報われない制度
一見すんなり読めそうな文章ですが、どうにも後味が悪い代物です。
この現状の諸課題からの経団連の結論を簡単にまとめると
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皆保険制度は企業の負担が重過ぎてかなわない。公的保険制度は「真に医療を必要とする人に対する備え(セーフティーネット)」とし、それ以外の医療費は「自分の健康を自らで守る」精神で自己責任で払え。つまり皆保険制度から混合診療に移行するような、生ぬるい改革ではなく、原則自費として公的保険は最小限に止める。
- 企業負担が劇的に軽くなり、企業の経費節約になる。
- 民間保険になれば医療は自由市場になり、企業原理に支配された価格設定で富める者は恵まれた医療を、貧しき者は限定された医療を自己責任で享受できる。
- 破綻しそうな公的保険も持続的に保持できる。
さらに民間保険市場と言う巨大な利権が手に入る上に、病院と言う医療市場も我が手に出来ます。思う存分医療からの収益を牛耳る事が可能になります。医療経営は企業ノウハウが完璧に適用され、不採算部門の大胆な切り捨て、不採算病院の閉鎖は企業論理にしたがって問答無用に断行できます。企業原理が導入されれば、医療の公共性なんて言葉は速やかに死語となります。純然たる営利企業への転換です。
当然ですが民間保険で賄われる自費部分は数倍以上の値上げは必然です。10倍になると言ってもそんなに衝撃的な値上げではありません。それぐらいにしないと営利企業としての医療は旨みが無いからです。企業ノウハウとは赤字を作らず、儲かるところからはとことん絞り上げるのが原理ですから、儲かるところはトコトン値上げ、不採算のところは採算が取れるように値上げです。べつにこれは不思議な行動ではありません。
医療を企業化してもっとも美味しいところは、その需要が健康、生命に直結するところです。だからいくら金を積んでも「惜しくない」が根本にあり、そこにたかれば需要は枯渇しないと言う事です。こんなに美味しい市場を民間の手に入らないとは規制緩和の精神からして許しがたいと考えているかと思います。
もう一度、経団連の美しい医療の要点を強調しておくと
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自己責任の民間保険による美しい医療