診療報酬改訂と少子化対策

政府は少子化対策をどう考えているのでしょう。「どう」というのは重要度の位置づけであり、優先度の度合いです。これまでもかけ声だけで今もかけ声だけですが、これからも枕詞程度にするつもりでしょうか。広い意味の少子化対策の一環として小児救急の充実を図るのは良いでしょう。ただし政府の言う小児救急の充実とは子を持つ親からさらに支出をさせる事のようです。

小児医療の充実のためには小児科医の増加も必要ですし、小児を診療できる医療機関の充実拡充も必要です。そのためには小児医療への診療報酬の増加は必要なのはわかります。もともと内科などに較べて安価だった診療報酬を上げるのは公平性からしても突出したものではありません。

ところがそれで子を持つ親の負担が増えるとは何事ですか。少子化対策と根本的に反しているじゃありませんか。たしかに算数なら小児科の充実のために診療報酬を増やせば患者負担が増える構図はあります。それは算数であって、政治ではないはずです。政治として少子化対策が今後の日本のために欠くことの出来ない重要な課題であるなら、その矛盾を両立させれなければなりません。

医療費と言っても国民が関心があるのは、保険料と窓口の自己負担です。とくに切実なのは窓口の自己負担です。診療報酬が上がろうと下がろうと患者の関心は窓口で「なんぼ払うのか」です。

今回の診療報酬改訂では財政再建の錦の御旗の下に診療報酬の総枠は大幅削減されました。大幅削減されたメリットは財政支出の軽減だけではなく、患者負担の軽減のメリットもあるはずです。まだ具体的な詳細がよくわかりませんが、しごく単純に解釈すれば診療報酬の下がった成人は安くなり、微々たる量ですが増えた小児科は高くなることになります。

これってどこかおかしいとは思いませんか、日本が人口減少に統計がついに示し、試算では数十年後には勤労人口が激減することを示唆しているにもかかわらず、まだ子育てに負担を強いる政策を強化する事を平気でする頭の構造が理解できません。少子化対策の優先度ってそんなもののようです。

これもまた詳細が分からないので論評しようが無いのですが、普通の診療所の小児科の診療報酬は「小児医療に厚く」というすごい掛け声のわりには下がりそうな形勢です。普通の小児科の収入の柱は初診料と再診料です。どちらも全診療科統一で下がるようです。乳幼児加算がどうなるかがわかりませんが、深夜時間外加算なんかに縁が無いものにはやっぱり冷たい風が身に沁みそうです。

またもう少し詳細な内容が分かったらこの辺は論評しなおします。