恋せし乙女の物語(第13話)女の猥談

 千秋の欠点は、そういう彼氏観もあるけど、正直と言うか表現が生でモロのところもあると思ってる。とにかくあけすけというか、女同士の猥談であってももうちょっと言い様があると思う時は多々あるもの。明日菜ってまだじゃない。まだどころか彼氏さえ出来た事がないのだけど、

「西宮学院の七不思議の一つになってるものね」

 いくらなんでも茶化し過ぎだろうが。彼氏がいつ出来るかも大問題だけど、彼氏が出来れば次にやってくる問題がある。

「告られたその夜だってあるものね」

 千秋はそうなのか、

「そんなのもいた」

 そう体を求められるってやつ。もう高校生じゃないし、二十歳にもなってるから、彼氏彼女関係になれば求められない方が不自然かもしれないけど、

「ネンネだものね」

 未経験と言え。それにだぞ、

「平均で十九・一歳だからネンネだよ」

 まだ平均をすこし越えたばかりだろうが! だけど遠からず求められて経験しないといけない。とは言えさすがに怖いところがある。

「楽しみにもしてるでしょう」

 それは千秋だ。初体験の体験談もあれこれありすぎて、本当はどうなんだは気になって仕方がない。

「とりあえず相手が童貞だと悲惨になる率が高くなる」

 そんなに差があるのかな。

「ネンネの明日菜は夢を持つだろうけど、アレってぶっちゃけ突っ込まれるだけだよ」

 あのね。単純化しすぎでしょうが。それにネンネなのはほっとけ。

「他にある?」

 他にって言われても困るけど、モロ過ぎるでしょ。

「その突っ込まれる時が問題なのよ。女の穴に男が竿をぶち込むのがアレだけど、乾いていると擦れて痛くなる。この痛みを軽減させるには潤滑剤が必要だ」

 もうちょっとロマンチックに言えないものか。でも理屈はわかる。その潤滑剤ってどこから調達するの。

「女が自前で調達する。明日菜だってセルフでやる時に濡れるでしょ。あれが潤滑剤だよ。初体験の女はアホみたいに緊張するから濡れにくいのよ」

 アホは余計じゃ。

「どうしたって処女は濡れるまで手間とヒマがかかるのだけど、童貞ってあせりまくるじゃない」

 そこで同意を求めるな。

「濡れが十分じゃないところに強引に突っ込むから、悲惨なぐらいに痛くなることが多いのよ」

 耳を塞ぎたくなるほどモロだけど、童貞が相手だと大変なのはなんとなくわかる。じゃあ、十分に濡れてたら痛くないのか。

「最後は個人差だけど痛いのが多いと思うよ。少々濡れたって、処女はアホみたいに力を入れるし、あそこってぶち抜かれて広がるところもあるのよね」

 千秋はどうだったのよ、

「高校の時だったけど、メリメリ、バリバリ、ギャーであそこがぶっ壊れたと思うほど痛かった」

 そんなに脅さないでよ。

「そんなに心配しなくとも、子どもを産む時はもっとデッカイものが出て来るよ。赤ちゃんに較べたら巨根と言っても可愛いものじゃない」

 そりゃ、そうだろうけど、そんな例えをするのは千秋ぐらいだよ。

「だから心配しなくて良い」

 どこがだ。それとアレをするとなると、

「腹ボテになるのだけは注意かな」

 そりゃ学生で妊娠したくないけど、身も蓋もなさすぎる。

「そう言うけど、アレって頭に血が昇らないと出来ないところがあるのよね。女もそうだけど、男なんてなおさらだから要注意なの」

 千秋に言わせると男ってひたすら生でやりたがるそう。

「女だって生の方が良いだろうけど、生でしたいならピルぐらいは準備しろっての」

 腹ボテ予防にはピルとゴムの二重ガードが望ましいそう。これは性病予防の意味もあるけど、

「ゴムって穴が開いたり、外れたりもあるからね」

 どんだけやってるのか思うもの。それでもアレの時ってもっとロマンチックに書いてあるじゃない。

「あれもウソじゃない。だから女と男は愛すればアレをやる」

 良いものなんでしょ、

「相手によるし、女なら回数は必要だ。トドのつまりは時間かな。早漏は論外」

 そうそう今日は金曜だから千秋と家飲み会。外で飲みたいけど経費節約。

「いつ来ても綺麗にしてるね。良いお嫁さんになれるよ」

 それは千秋の部屋が悲惨すぎるからだろ。

「だいじょうぶ、やるのは男の部屋だから」

 わかった、わかった。やったら汗だくになるし、体液でもシーツが汚れるからだろ。たく生々しすぎるよ。ビールを飲みながら、

「料理も上手だね」

 千秋が下手すぎる。カップ麺とコンビニ弁当ばっかりじゃ体に良くないよ。そして話題はやがて恋バナに。

「明日菜は男を漁れるタイプじゃないね」

 漁りまくってるのは千秋だろうが。おこぼれぐらい欲しいよ。千秋みたいにホイホイ作れないから普通は苦労するんだ。

「だからネンネのまま」

 ほっとけ。