ツーリング日和18(第35話)花火大会

 イスカンダルに行く前に健一がアリスの不感症疑惑を吹き飛ばした話をしたけど、健一のは怖いぐらいなんだよ。コトリさんたちに揶揄われたけど半分ぐらいは図星た。エレギオンHDの調査部ってそこまで調べられるのかとビビったぐらいだもの。

 健一に不感症疑惑を吹っ飛してもらった夜は当然だけど健一と初めて肌を合わせた夜でもある。あの夜にアリスは仰天させられた。それぐらいなのが健一だ。男のアレって必ずしも体格に比例しないって言うけど健一もそうだったんだ。

 これじゃ、わかりにくいか。健一の体格は逞しいのだけど、そんな健一の体格さえ遥かに凌駕するモノだった。本物の馬のは見たことがないけど、サイズだけなら余裕で馬並みだ。あんなものを入れられたら壊されるしかないだろうが。

 そんな馬並みのモノだったら中止にすれば良かったようなものだけど、あんな馬並みだったなんてやる前にわかる訳がないじゃないか。あんなものパンツを脱がないと見えないし、男だってパンツを脱ぐのは最後だ。

 ならば健一が裸になった時点でわかったかと言えばそうでもない。だって初肌合わせだから健一の男なんてジロジロ観察なんて出来るものか。それにだ、裸になった時点ではまだ健一もスタンバイ状態じゃなかった。

 前戯の時に体に触れる感じでかなり大きそうだぐらいはわかったよ。前戯って女も昂らされてスタンバイ状態になっていくのだけど、男だってそうじゃないか。やがてアリスがスタンバイ状態になっていざ本番になった時に見えちゃったんだ。

 世の中にあんなヤバイ物が実在するって思い知らされた感じだった、そこからでも理屈の上なら中止に出来るだろうけど、あの時のアリスは完全にスタンバイ状態で、股開かされてさあ入れて下さい状態だったんだよ。そこまでになってるのに中止は言えなかった。

 それだけじゃない。あの夜のアリスは不感症疑惑から健一でダメだったらあれは最後にしようと決めていた。だから中止にする気はなかった。壊される恐怖から心がかなり揺らいだ部分があったのは白状しておく。あんなヤバイ物を見てそうならない女なんているものか。

 だから中止にしなかったのだけど、自分の呪われた宿命に嘆息してた。健一を最後にしようと思った判断には後悔してなかったけど、最後の最後にあんなヤバイ物の相手をさせられ、壊された挙句に病院送りになるのはまったく嬉しくなかったもの。

 そんな思いが頭を駆け巡ったのは、ほんの一瞬のことだ。あっと思う間もなく入ってきた。アリスの女が経験したことがないヤバさに驚いてるのがよく分かった。もうダメだと思ったけど、本当にもうダメ状態にされてしまった。

 アリスは壊れもせず健一のヤバイ物を受け入れただけでなく、天国に連れていかれた。感じすぎて本当の女のもうダメ状態とはこうなることかと初めて教えられたんだ。あれは自分の体に何が起こり、どうなってしまったかサッパリわからないものだった。


 ちなみに今は前戯の時間だけど健一の前戯はまさに超絶技巧なんだよ。テクニシャンなんて範疇を絶対に越えてる。でもこれをどうやって健一は身に着けたのだろうかの疑問はある。ここまでの超絶技巧は並みの経験で得られるとは思えないもの。

 これだけの超絶技巧を身に着けたのは、そういう技術を身に着けたかったからじゃなく、身に着ける必要があったからのはずなんだ。理由として考えられるのは健一の馬並みのヤバすぎる物しか考えられない。

 あんなものまともにやったら入るはずがない。無理やり捻じ込もうものなら確実に相手の女は壊される。だから健一は超絶技巧の前戯を駆使して女を十分なスタンバイ状態にする必要になったはずだ。

 健一が求めるスタンバイ状態は十分じゃなく完全にで良いと思う。具体的には前戯の段階でイカすことだ。女にとってこれ以上完全なスタンバイ状態は無く、アリスも最初の時からそうされたし、今夜も時間の問題でそうなるのは体が告げている。

 だけどだ、健一だって当たり前だが童貞時代はある。童貞は女に入れて卒業できる。だけど童貞の男がこんな超絶技巧を身に着けるは絶対に不可能だ。とはいえこの超絶技巧の前戯無しで女に強引に捻じ込めば女の破壊だけしかない。

 だから健一には黒過ぎる疑惑がある。その黒さは中学生のアリスの裸を妄想しながらセルフでひたすら励んだ黒歴史よりもっと黒い。そうだ健一の童貞を卒業させることが出来る素人女なぞこの世にいるはずもないだろう。

 つまり健一の童貞を卒業させたのはプロのはずだ。プロだって健一の相手が容易だとは思えないが、どんな商売であってもプロを舐めたらいけない。プロなら多種多様の相手をこなせなければならず、その中に巨根どころかポニー並みの超巨根だって混じって来る。

 健一のヤバさは超巨根さえしのぐサラブレッド並みだが、報酬さえもらえばプロなら可能のはずだ。もちろんプロであっても技量と経験の差は大きいが、自信と経験がなければ健一の童貞卒業などいくら報酬を積まれても断るのもプロだからな。

 そのプロだが、かなりのベテランのはずだ、駆け出しで手に負えるようなヤバさじゃないからな。だからさらなる黒過ぎる疑惑が出てくる。健一の童貞を卒業させたベテランプロは健一に女の扱いも伝授したのではないかだ。もしそうならこの超絶技巧の理由はすべて説明できてしまんだよ。

 童貞卒業だけなら一回で済むけど、女を扱う技術となるとかなりの回数が必要になる。ここももう一歩進めて考えると、いかにプロであっても男にそんな技術を教えるだろうかはある。そこは報酬次第と言えばそれまでだけど、最後の黒過ぎる疑惑が出てくる。

 健一の童貞を卒業させたプロは健一の馬並みに惚れこみ、商売を超えた関係を結んでいただ。ぶっちゃけ愛人関係になっていた可能性が出て来る。そうであれば自分を喜ばすためにあそこまでの超絶技巧の前戯を手取り足取り教えこんでも当然だ。でもさすがに怖すぎて聞けないよ。


 そんな事を思い返してるうちにアリスは完全なるスタンバイ状態にさせられてしまった。健一はアリスの股をどうやったって閉じれないようにしてる。言うまでも無い本番のためだ。もうすぐ入って来るけど、何回やっても入って来る衝撃は強烈過ぎる。だって入って来るのは馬並みのヤバイ物だよ。

 来たぁ、健一の馬が来たぁ。知ってはいるけど強烈過ぎる。こんなものどうしろと言うのよ。アリスは全速力で駆け上がらされる。息継ぐ間もなく頂点に達し、いやそんなロマンチックな状態じゃない。頂点を駆け抜けさせられてしまった。

 健一の本番は花火大会なんだ。入れられるだけでこらえるとか、我慢するなんて日本語が無い世界にされ一発目の打ち上げ花火が豪快に上がってしまう。打ち上げ花火の間隔はすぐに短くなり連発になる。

 この花火だけど本物の花火みたいに色取り取りじゃない。すべてがピンクだ。ピンクの花火がアリスの心も体に染め上げる。ここまででも悶絶しまくってるけど、ここからがもちろんある。それはスターマインだ。

 スターマイン状態になると悶絶なんてラクなもんだと思ってしまうぐらい。あれは女がどこまで感じられるかの限界に挑戦してるとしか思えない。女に感じる限界なんてないと言うのがいるけど、それは健一のスターマインを経験してから話しやがれといつも思う。

 スターマインにも終わりが来る。当たり前だが健一だって人間だから永遠に続くわけはなく健一の限界だってこと。限界の健一がアリスに放つのがフィナーレだ。このフィナーレだけど覚えると病みつきになるほど良いのよね。これが最後にあるからスターマインだって頑張れるぐらい。


 フィナーレが終わればどうなるかって。そんなもの男の賢者タイムが来るしかないじゃない。健一はね、普通の人間なの。この賢者タイムをどう過ごすかで男の真価は決まると思う。これは世の男どもに声を大にして言いたい。

 この時に女だって女の賢者タイムに入ってるのよ。もっとも男の様に急転直下の急速冷凍じゃなく、興奮の頂点からゆるやかに下る余韻を楽しんでいる時間だよ。この時に女を無視なんかしたら、それだけで女に捨てられたって文句は言えないからね。

 健一はこの時の後戯も筋金入りのテクニシャンなのよね。アリスなんてこんな本格的な後戯なんて初めてだったから感動したもの。後戯ってここまでして、ここまで出来るものだって驚くしかなかったぐらい。

 健一の後戯は大きく分けて二種類かな。一つは健一も終わりにしたい時。この時はアリスが出来るだけ余韻を長く楽しんでもらえるようにしながら静かにフェードアウトに持って行ってくれる。

 もう一つは連戦をしたい時。この時も女の賢者タイムに入っているアリスの余韻を楽しませてくれるのだけどフェードアウトはさせないんだ。ある程度下ったところから優しくフェードインにしてくれる感じかな。

 このフェードインだけど、どこにも不自然な感じが無いんだよ。自然のままなら落ちていくはずなのに、気が付いたら昇っているとわかってしまう感じ。これがとっても気持ち良いんだよ。あれだけの花火大会を見たばかりなのに、ルンルン気分で次の花火大会に出かける気分と言えばわかってくれるかな。今はそんな感じ。


 それにしても健一はアリスなんかを良く選んだものだ。アリスは女として欠点どころか欠陥が多すぎるのは自覚してる。家事無能、主婦失格は言うまでもないけど、時々サイコパスじゃないかと思うほど周囲の空気が読めなくなる。気が付けば健一の前で独演会なんてしょっちゅうだ。今夜もやらかした。

 体だって女であるのは間違いないけど、どこにどんな欠陥があるかわかったもんじゃない。とりあえず不感症疑惑は健一が吹き飛ばしてくれた。ここだって健一のヤバすぎる馬並みだから感じたの疑惑は残るけど、健一以外の男とやる気なんかゼロどころかマイナスだから良しとしとく。

 でも他にも女として重大な疑惑が残っている。前に子どもの話が出ていたけど、たとえ子作りに励んでも果たしてアリスが妊娠できるかの疑惑があるんだよ。これには前科と言うか傍証がある。

 アリスは健一の前に三人の男性経験がある。このうちアリスの処女を散らして逮捕された一人目のレイプ野郎と二人目の早漏君は置いとく。二人とも一発ずつしかやってないからね。問題は三人目の男だ。

 ある意味、初めてまともな男ではあったんだけど、妙なところに強いこだわりがあったんだ。言っとくがサドマゾ趣味とか、女装趣味みたいな変態趣味じゃないぞ。こだわったのは避妊法だ。

 やる関係になれば避妊には絶対の注意が必要なんだけど、その男が絶対的な信頼を置いていたのがオギノ式だった。あそこまで確信的な信頼は普通じゃない。なんとなく妙な新興宗教にでも入れ込んでいたと今でも思ってるぐらい。

 とにかくオギノ式に傾倒するあまり、コンドームは論外だし。ピルも絶対禁止だったのよね。オギノ式だって完全に無効だとは言わないけど、あれがそれなりにでも効果があるのは生理がキチンと来るのが前提じゃない。だけどあの頃のアリスはかなり不安定だった。

 それも言ったんだけど聞く耳なんてどこにもなかった。オギノ式を盲信してアリスになんの躊躇もなくぶっ放しやがった。それだけじゃない。妙な計算法を持ち出して、安全日をひたすら量産してぶっ放したんだ。

 アリスだって初めてのまともそうな男だったから手放したくないの思いもあったものだから、けっこうな数のぶっ放しを受け続けた。結果としては妊娠しなかったのは良かったけど、これって不自然すぎるんだよ。

 だってさ、若い男女が生で出し放題やってるようなものじゃない。あれで妊娠しないはずがないじゃないの。これがアリスの不妊症疑惑の傍証だ。少なくとも妊娠しにくい体であるのは確実だ。

 それに子作りとなると他にも懸念がある。とりあえずアラサーの年齢問題は置いておくけど、子どもが生まれたらどうするかの問題が大きすぎる。子どもが生まれたらシームレスに起こるのは子育てだけど、こんなものどうする気だって話になるのよ。

 だってだって家事無能、主婦失格のアリスが子育てだけ上手のはずがないでしょうが。そうなると健一が背負い込むことになるけど、そこまでして子どもが必要かって話になってくるじゃない、ホント、結婚に向かない女だって思ってる。


 アリスが唯一奥さんらしいことが出来るのは、どう考えたって健一の馬を満足させる事しか無い気さえしてる。そりゃ、世の中にはレス夫婦だってたくさんいるだろうけど、そういう夫婦は他に夫婦の絆を結ぶものがあるはずなんだ。だけどアリスにあるのはこれだけ。

 でもでも、それだけで健一がアリスを選んだかと言われると疑問だ。それだけの目的ならセフレで十分だし、健一と再会した頃のアリスに結婚願望はそんなになかった。セフレである事を受け入れるかどうかは悩むだろうけど、そうなったらそうなったで受け入れていたかもしれない。

 思うんだけど健一も悩んでいたと言うか、困っていたんじゃないかと思ってるのよ。健一だって健一なりにモテたはずなんだ。なんてったって専務だから、専務夫人の玉の輿を狙う女はそれなり出ていたはずじゃない。

 健一は何度も言うけど人だ。専務として現場を取り仕切り、後進の育成に力を注ぎ、部下からの信頼だって篤いなんてものじゃない。さらに普段は温厚な紳士だし、アリスとだっていつもは優しい優しい旦那様なんだ。

 だけど健一は人を超える部分がある。あの超人ハルクのパワーだ。これが喧嘩に向かえば、裏の本職だって半死半生の状態にされて病院送りにされてしまう。この超人ハルクのパワーは喧嘩だけなく夜のベッドでも炸裂する。

 超人ハルクのパワーでのエッチだぞ。さらに言えば規格外の馬並みだ。これの相手をタダの女が簡単に務まるものか。まず最初の試練は馬並みを受け入れられるかだ。アリスは壊されるのを覚悟して受け入れたけど、あれを見て悲鳴を上げて逃げる方が普通だろ。あれをするのは自分の女が壊される恐怖と戦うためじゃないからな。

 それでも専務夫人の玉の輿のためなら歯を食いしばってでも受け入れる女は出てくる。そういう計算が出来るのが女だし、それで得られるメリットのためには果敢にチャレンジをするのも女なのは良く知っている。

 次の試練が花火大会だ。あれは半端な試練じゃない。そりゃ感じるさ、思う存分イクのだって出来る。でもね、あれは男を楽しむなんてレベルを超越してる世界なんだよ。あそこまで行くと女が感じることの極限へのチャレンジをさせられるようなものだ。

 でもそれで終わりじゃない、さらに次の試練がある。コトリさんたちは健一のパワーなら馬十頭分ぐらいと揶揄われたけど、さすがにそこまでじゃない。そうだな馬三頭分ぐらいだ。つまりは次の花火大会が続けて開催されるってこと。今だって二頭目の花火大会に向かってるもの。

 こういうものは女の特性で一頭目の花火大会より、二頭目の花火大会の方が盛大になる。それが三頭もいるのが最後の試練だ。こんなものまともに全部受け止めさせられたら頭がおかしくなるだけだろう。

 きっと寂しかったんだと思うんだよね。あれだけの超絶技巧を駆使しても健一の馬並みを見ただけで逃げる女もいるし、そこを乗り越えて本番になっても花火大会の試練に逃げ出してしまう女ばかりだったんじゃないかな。

 やはり不幸なのは超人ハルクのパワーがエッチにも発揮されてしまう点で良いと思ってる。これじゃ、わかりにくいか、そうしないと健一は満足することが出来ないんだよ。セーブしならお茶を濁したんじゃ、フラストレーションだけ残るはず。

 健一がアリスに惚れたのは初恋の人だったのにウソはない。だから惚れこんで口説き落として恋人にしてる。でもさぁ、今なら思うんだ。健一も緊張して初肌合わせに臨んでいたはずだって。あの時のアリスは馬並みをすんなり受け入れただけじゃなく、超人ハルクのパワーの花火大会に歓喜してた。これこそ女の喜びだってね。

 アリスも不感症疑惑が吹っ飛んで感激だったけど、健一は健一で感動していた気がする。ついに超人ハルクのパワーを思う存分に発揮できる女を見つけたってね。だから何がなんでもアリスを我が物にしようとしたはず。

 あれこれあったけど、結果で言えば実の親との縁切りをあそこまで徹底して行い、婿養子の条件を物ともせずアリスと結婚までしてるじゃない。そうだよアリスにも選ばれる理由があったってこと。

 健一にとってはアリスが家事無能であろうと、主婦失格であろうと、子どもに積極的じゃないのなんて些細なことなんだ。他の欠点も以下同文。それより他に代えがたい、健一の相手を務め上げられる女であることこそ百倍ぐらい価値があるぐらいと思ってる。


 そんな事が本当だったかどうかなんて、今となったらどうでも良いこと。アリスは健一と結婚してとにかく幸せなんだもの。結婚して奥さんになるのがこんなに良いものだって日々痛感してる。ダメだ、そんなこと言ってる場合じゃなくなってきた。

 後戯は仕上げに入ってる。アリスだって後戯じゃなくて前戯が欲しくなってるもの。それでもさすがに今夜は怖いな。旅先の宿、夫婦としての初夜、トドメに三か月の禁欲だ。馬三頭で健一が終わるとは思えないもの。

 馬五頭は覚悟してる。これも甘いかな。超人ハルクに三か月も禁欲させたのだからマジで馬十頭になってもおかしくないだろ。そこまで経験したことなんてないけど、それがどうしたって言うのよ。

 待ち望んでいた二頭目の前戯に入った。二頭目だから、すぐに完全なるスタンバイ状態になってしまう。そして馬が来る、来れば一発目の打ち上げ花火が豪快に炸裂だ。これが健一だし超人ハルクの馬並みだ。

 アリスはね、健一の花火大会を思う存分楽しめる唯一の女であり、健一が超人ハルクのパワーを夜のベッドでなんのセーブも無く炸裂させることが出来る唯一の女だ。健一が望むのなら何頭でもかかって来いだ。全部受け止めて、たとえ朝までかかっても堪能し尽くしてやる。このアリス様を舐めるなよ。

 今夜は夫婦にとって特別の夜。これから夫婦として死ぬまで続く営みの始まりの初夜だからね。健一の花火大会はすべてアリスのもの。これは何があっても手放すものか。アリスは既にスターマインの世界に入ってる。なんて綺麗なんだ。