小説を書いてみて

一年やっていた「小説家になろう」計画ですが、書いてみてわかったのは文庫本1冊って長いってことです。そこそこ長い文章はブログで書いていたので、それなりに自信があったのですが、書き始めると途轍もなく長いのにビックリさせられました。一番苦労したのがやはり処女作。

とにかく初体験だったので歴史部分をまとめるところから入っています。さらに困ったのは何で書くかで、一番大元の原稿はホームページ・ビルダーで書いてました。一の谷の歴史部分をまとめるだけで5日ぐらいかかったのですが、出来上がったのはいつものブログ調。これじゃ小説にならないのだけはわかります。つうか、小説にならないのにようやく気付いたのかもしれません。

どうやったら小説になるか考えて捻くりだしたのが、歴史ムックを二人で会話しながら歴史ムックをやらせるです。よくある手法ですが、二人でやるなら男と女がイイですし、男と女ならロマンスを同時進行させれば話は広がるはずで、なにより小説っぽくなるってところです。ただ書いてみるとえらい会話が平板です。原因は山本が教え役に、コトリが聞き役に固定され過ぎていて単調すぎるってところです。そうなると、もともとは聞き役だったコトリに冴えを見せる場面が必要になり、ここで三度目の書き直しです。

さてオマケだったはずのロマンス部分ですが、こちらも最初のものはあまりにもありきたり過ぎてツマランとしか言いようがありませんでした。そこで起伏をあれこれつけて、これも三度ばかり、書き直しに近い大改訂をやっています。それだけ苦労して書きあがったのですが、この時点で文庫本一冊ってどれぐらいの分量が必要か調べた訳です。十分だろうと思っていたら、これが全然足りません。正直なところ幻暈がしそうでしたが、桶狭間編を書き足したってところです。

処女作の苦労はここで終りじゃなく、書いていたのがホームページ・ビルダーだったので横書き。これを縦書きにしようと思いましたが、そうなってくるとWordを使う必要が出てきます。Wordなんて普段は使うソフトじゃありませんから、これまた大苦戦。とりあえず縦横なんてひっくり返せば済むと思っていたのが甘かった。半角文字がすべてオネンネします。箇条書きも融通の利かないこと、利かないこと、引用部分だって「なんじゃこりゃ」って始末です。Wordって縦書きはあんまり得意じゃないってつくづく感じました。

Word話のついでですが、処女作だけは画像がテンコモリ入っているのですが、これが実に挿入しにくかったのです。画像の周囲に文字が入る形にしたかったのですが、殴っても、蹴っても入ってくれないのです。この問題の解消法がわかったのは実に10か月ぐらい経ってから。あれは画像として挿入するから上手くいかず、テキストボックスに画像を埋め込むと解消するんだと。なんちゅう使いにくいと思った次第です。ただWordにもメリットがあって、そのままPDFに変換してくれる点です。とりあえず1年間Wordに付き合って、かなり使い方は覚えた気がします。


2作目以降はWordの画像処理で懲りて、本文は全部テキストです。内容も純創作のフィクションにしています。書くのも最初から文庫本の列行で設定したテンプレを作っています。これで余計な作業がかなり減ってくれました。書きながらページ数まで見えるのですが、やはり1冊分は長いのに変わりありません。これも時々聞かれるのですが、原稿用紙でどれぐらいかですが、だいたい400枚ぐらいで、一番長いので550枚ぐらいです。

書く時はおおよそのストーリーを思い描いているのですが、なかなか構想通りに展開してくれません。私の流儀としてあるヤマ場というかクライマックスを設定し、そこに向かっての助走部分って構成ですが、ヤマ場が一つじゃ100ページぐらいで話が終わってしまいます。助走部分を無理に引っ張ろうとしても、書いてても、読み直しても「重すぎる」「くどすぎる」になってしまいます。仕方がないので複数のヤマ場を設定するのですが、そんなにホイホイとエピソードが湧いてくるわけじゃなく、呻吟を繰り返すって感じになります。

書いてる時の実感として、ここで一つヤマ場を作っといてラストに雪崩れ込みたいと考えてはいても、そんな適当なヤマ場は出て来ないってところです。もちろんヤマ場を書いているうちに後の構想が変更になるのも日常茶飯事です。逆もまた然りで、迷走を繰り返している作品も少なくありません。


小説を書くのは純趣味なのですが、誰かから小説投稿サイトを利用したらのアドバイスがありました。そこから出版されるケースもあるみたいで、それなりに研究したのですが、今のところ保留です。色々理由はあるのですが、そういうサイトはジャンル別の投稿設定になっています。SFとか、歴史物とか、恋愛物とかの感じです。趣旨はわかるのですが、私の作品はジャンル分けが少々しにくいところがあります。『天使と女神』はラブ・ロマンス、『リンドウ先輩』は野球小説でエエとして、『天使のコトリ』はなんだろうです。作者的にはミステリーなんですが、それでエエんやろかです。

もう一つのネックは連作であること。主要登場人物が同じで、なおかつ前作までのエピソードを説明なしで引用してます。もし投稿サイトを利用するなら、まったく別の作品にした方が良さそうですが、そっちの方の構想はこれからということで。

投稿小説サイトをムックしていた時に現在のトレンドもおぼろげながら知ることが出来ました。ジャンル的にはSFで、それも異界転生物が一強みたいだそうです。プロットはシンプルで、現世界でうだつの上がらない主人公がひょんな事から異世界に転生し不思議な能力を使って大活躍みたいな感じです。主人公が問答無用の不思議な能力を持つ設定は昔からありますし、私も使っていますが、おそらくそういう能力を得る過程、さらに使っても周囲が不思議がらないというか、それこそ警察沙汰にならないプロットとして流行している気がします。異世界ですから、世界の設定の自由度も高いですからね。

そういう小説を書いてみるのも一興ですが、やはり純趣味ですから売れそう、受けそうなものを書くより、書きたいものを書きたいと思っています。そうじゃなければ、あの長丁場は書ききれないところです。ま、トレンドは行き着くところまで行けば飽きられますし、飽きられると新たなトレンドが出来る訳です。私の作品も、そのうちトレンドになるかもしれないぐらいに期待しておきます。


そうそう本は最終的にはPDFで保存し、希望者にのみ送付して(というより強制的に送り付けてます)ますが、紙化もしてみました。自費出版なんてスタイルにすればトンデモ価格になりますし、手作りで作るにも面倒極まりないみたいなので、A5でバンイダーに入れて作っています。ちゃんと表紙も作って、目次まであります。これでも1冊に500〜600円ぐらいは実費で必要なのですが、とにかく時間がかかります。コピー用紙に両面印刷して、ゲージパンチで穴空けるのですが、だいたい付き切りで40分ぐらいです。そこまで手間と暇をかけて紙化したのは、やはり本は紙じゃないと寂しいぐらいです。自己満足の世界ですが、ブログ公開分が終わったものの紙化も進んでいます。

ここで派手やかに表紙絵公開としたいところですが、あははは、著作権にひっかかるので私蔵版としています。誰か表紙絵書いてくれないかなぁ。。。