ポートアイランドで起った誘拐犯逮捕事件ですが、指名手配されていたマッソン商会のベルモンド社長の逮捕のニュースが社員食堂のテレビに流れています。
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「コトリ部長、偽カエサルが逮捕されたみたいですよ。これで一件落着ですね」
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「珍しいタイプの武神だ・・・」
「逮捕されたことですか?」
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「あれはベルモンド社長だけど偽カエサルではないよ」
「どういうことですか」
「クソエロ魔王みたいなのがもう一人いるとは・・・」
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「まさか偽カエサルは宿主を乗り換えた!」
「たぶん。神のほとんどは宿主が死ぬまで乗り換えられないのよ。さらに、乗り換えた時に前宿主時代の記憶も失われるのよ」
「主女神みたいな感じですか」
「そう。エレギオンの四人の女神が生き残れたのは、前宿主時代の記憶も受け継いでた部分が大きいのよ。記憶は知識だからね。クソエロ魔王は記憶も引き継げた上に宿主も乗り換えることが出来たの。かなり珍しいタイプだわ」
「ユッキーさんみたいな感じですか?」
「そう理解しても良いわ。だから生き残れたのかもしれない」
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「やはり日本に残ってると見てよさそうだわ」
「でも、もうベルモンド社長じゃないから、マルコを誘拐したりしないですよね」
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「そうとは限らない。たしかに人としては別人になるけど、クソエロ魔王型の組織運用なら、すぐに動いてくる」
「魔王型の組織運用って?」
「宿主が変わっても、クソエロ魔王の記憶と能力を示せばそのまま組織を率いるスタイルだよ」
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「偽カエサルの組織は活動資金に困っていた」
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「休みの日に偽カエサルとラブホに泊ったときのことだけど」
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「お昼にコトリがミックスフライ定食を食べたいって言ってるのに、電話で頼む時にサービス定食に勝手に変えられたのよ」
「ミックスフライ定食って高かったのですか?」
「ミックスフライ定食が千八十円で、サービス定食が八百六十四円よ。消費税込みでね。これは活動資金の枯渇の明らかな証拠だわ」
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「コトリ部長、一つイイですか」
「ミサキちゃん、な〜に?」
「ホテルに行く前の夕食を別々に取ったのもそうじゃないですか」
「あれは違うわよ。ホテルで過ごす時間を少しでも長くするためだから」
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「それだけじゃないの」
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「偽カエサルはこまめにメンバーズ・カードを作るのよ」
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「それなら部屋の広さはどうだったのですか。資金源が枯渇していたら、広い部屋を避けて、狭い部屋ばっかり選んだとかありませんでしたか」
「部屋の広さなんて関係ないじゃないの。部屋が広くなったからと言ってベッドが広くなるわけじゃなし。ベッドだってむやみに広くてもアレに便利ってわけではないでしょ」
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「それとバスが広い方がバスでアレやりやすいけど、コトリはベッドの方が好きやなぁ。ミサキちゃんはバスでやるのが好きなの?」
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「コトリ部長、普通のホテルじゃなくて、そもそもラブホを利用している点で資金が苦しくなっていると見れるんじゃないですか」
「そんなことないよ。ラブホの方がさすがにアレ専用に作られてるから使い勝手がイイのよ。それとね、色んな変わった部屋があるのよ。たとえばね・・・」
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「とにかくミックスフライ定食が資金源の枯渇の決定的な証拠なのよ」
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「資金源が枯渇するとどうなるのですか」
「たぶん昼飯は松屋の牛丼になってると思う。それも並か下手するとミニだわ。生卵なんて贅沢の極みってところかな」
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「そこでだよ、ミックスフライ定食を食べれるように、請け負っている仕事の続きを再開するはずよ」
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「また誘拐してきますか」
「せえへんかったら連れて行かれへんやん」
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「また船ですか」
「活動資金が枯渇してるから、小型飛行機をチャーターするのは無理だろうし、旅客機乗っ取りみたいな派手なパフォーマンスはリスクだけ高いし。それよりなにより空港の方が出入りは厳しいだろうし」
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「大変なことに気が付いたわ」
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「なんですか!」
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「ラーメンのびちゃうじゃない。ミサキちゃんも、きつねうどんがのびちゃうよ。早く食べよ」