勢いですからもうチョットだけやります。2/2付の朝日新聞社説からです。全文は昨日引用していますから一部引用です。
確かに、病院側は総額1500億円の勤務医対策で一息つける。
この後に「しかし、大都市の病院ですら医師不足は深刻で、この程度の対策で勤務医不足が解消するとはとても思えない」と続いている事は書いておきます。恣意的な一部引用は卑怯ですからね。しかし
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確かに・・・・・一息つける
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1500億円は一定の効果がある
この1500億円は医師確保対策なんかと異なり、診療報酬の配分法を変えただけです。つまり病院収入が増える事を意味します。勤務医待遇改善に1500億円が回るには、
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1500億円 → 病院収入 → 勤務医
ここで机上の計算通り、1500億円がすべて病院収入になったとしましょう。全国の病院数は現在約9000施設です。どういう分配になるかは診療科や病院規模、性質により異なりますが、厚労省も有識者も大好きな「平均」で算出してみます。彼らにとっては「平均」は神の統計計算ですし、それ以上は高等数学で理解が難しいからです。
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1500(億円)÷9000(施設)=1667(万円/施設)
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確かに・・・・・一息つける
開設主体 | 平成17年度赤字率 | 平成18年度赤字率 | 年間赤字増加 |
国立 | 66.14 | 69.29 | 3.15 |
公立 | 89.28 | 92.73 | 3.45 |
公的 | 45.89 | 58.90 | 13.01 |
医療法人 | 19.68 | 25.33 | 5.65 |
個人 | 14.93 | 21.21 | 6.28 |
その他 | 42.19 | 47.67 | 5.48 |
さらに解説を加えれば、
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平成17年度と比較した増減率は、「-1%以上」が51.14%であった。中小規模には「-10%以上」の病院が多かった。病床種別では、医療療養病床において「-1%以上」が72.5%、「-10%以上」が25.42%と著しく高率であった。
- 給与が上る
- 医師の数が増える
だいたい1667万円を月割りにすれば140万円弱です。この程度の収入増があったところで、経営感覚として「医師が雇えるぞ」と心が動く経営者が果たしているかどうかです。通常は「経営がちょっと上向きみたいだが、油断せずに見ていこう」でしょう。140万弱の売り上げ増で舞い上がって医師を雇う感覚の方が異常です。給与だって同じで140万弱で大盤振舞するような経営者は失格です。
その程度の額で、
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確かに・・・・・一息つける
ここで問題の文章を実際の効果を考えて、より正しそうなものに書き換えてみたいと思います。そんなに難しいものではなくて、勤務医対策と大上段に振りかぶるから文意がおかしくなると考えます。
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確かに、病院側は総額1500億円の病院対策で一息つける。しかし、ほとんどの公立病院だけでなく私立であっても経営状態は深刻であり、この程度の対策で経営危機が解消するとはとても思えない。
当たり前ですが、勤務医の待遇改善が行なわれるには、勤務医が勤務する病院の経営状態が改善されて初めて着手されます。つまり、
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病院の経営改善 → 勤務医の待遇改善