謎のレポート(第13話)マリのムチ

 女になって二日目は朝からマリがきた。そこから浴室に連れて行かれ、部屋に戻れば髪のセットとメイクだ。昨日もやったが、手間はかかるし難しいものだ。女は本当にメンドクサイと思った。それ用の道具は大きなワゴンで運び込んでいた。

 ヒールもそうだ。こんな歩きにくい靴をわざわざ履くなんて信じられないぐらいだ。だが靴はそれしか与えられていないから仕方がない。逃げる時は裸足で逃げないと仕方がないだろう。

 言葉遣い、女らしい立ち居振る舞いの指導はとにかく口煩かった。食事の時もそうだ。オレが何かしゃべると倍ぐらい文句が入ったし、それこそオレが一つ動くたびに、

「そうではありません」

 一日中、小言の嵐の中で過ごしているようなものだ。オレなりに気を付けてやっても褒めることなどない。オレの目的は脱走のための情報を集める事だから、何とか雑談に持ち込もうとしたがマリはまったくと言うほど応じてくれない。

 昨日は女になって初日だったからかもしれないが、もう少し雑談みたいな感じの時もあったが、今日のマリは女教育以外のことは口にもしない。これほど徹底しているとは予想外だった。


 こんなウンザリするような時間もようやく夕食になってくれた。ここでも小言のBGMの中で食事は進んだ。ここでオレは賭けに出る決心を固めた。夜は一人にしてくれたからわかった事だが、部屋は監獄並みの堅固さで脱出は無理だ。

 浴室も窓すらないし、他の出入り口も見当たらない。廊下の他の部屋もオレの部屋と同じ構造の可能性が高い。もし窓が開き鉄格子がなかったとしてもロープ無しじゃ、ヒョイと飛び降りるのは無謀すぎる。逃げるなら廊下に出て浴室の反対側の扉に行くしかない。

 ここでだが、見る限りオレのいるフロアでマリ以外は見たことがない。風呂に行くときもマリしかいなかった。屈強な警備員みたいなものが部屋の外で待機している気配はないんだよ。

 だからマリさえ制圧できれば、廊下に出て扉までは行ける。だが扉の向こうに警備員がいるはずだ。そこさえ押さえておけば逃げられない構造としか見えないからだ。警備員がいれば、この女の体では簡単に抑え込まれてしまう。

 そうなると協力者が必要だ。そんな者がいるわけないから、オレが作る必要がある。そうなると手段は一つだ。マリを脅して人質にして案内役にするしかない。だがマリには腕力では勝てない。それは昨日知った。

 そうなると武器が必要だ。ハジキでもあれば言うことは無いがさすがにな。だがオレは見つけた。食事で使うナイフとフォークだ。これはやつらの油断だ。刑務所でもナイフやフォークを使うことがあるが、凶器にならないようにペラペラのプラスチック製になっている。

 だがここで出されるのは金属製だ。ひょっとして銀じゃないかと思ったりするが、とにかく金属製で持つからに重量感があり頑丈そうなんだ。これなら喉に当てれば、十分に脅しに出来る。

 オレは夕食まで待っていた。逃げ出すなら日が沈むタイミングが良い。逃げても追手が来るのは間違いないから、暗さを利用するしかない。今のオレの女のか弱い足ではそれが絶対に必要だからだ。

 勝負は呆気なかった。オレがナイフとフォークをつかんで立ち上がろうとした瞬間にマリの手が伸び、あっという間に捻り上げられた。痛さに耐え切れずナイフとフォークを手放すとマリは、

「無駄です」

 なんちゅう女だよ。オレがそうするのを読んでいたか。読んでいただけでなく、余裕でオレを制圧できる自信があったのか。オレは悟った。オレがそうするのを予期して罠にかけたんだと。どうされるかと思ったが、

「食事の続きをします」

 なんとナイフとフォークを渡されて夕食が再開したのだ。マリとオレの力の差は大人と子どもぐらいはあると改めて思い知らされた。食事用のナイフとフォークぐらいじゃ、話にもならないってことだ。

 マリはオレが襲おうとしたことなど忘れたように、またオレの食事の仕方に文句を並べやがった。暗い気持ちで夕食を続けた。また一つ、脱出の難度が高くなったのだけはわかった。そうマリの制圧は手強すぎる、余程の油断を狙わないと無理だ。

 それでも食事が終われば今日は終わる。また作戦の練り直しをするしかない。そのためには一人になって考える時間が必要だ。マリの小言の嵐の中で考えられるものか。するとマリは、

「これから反省の時間です」

 なるほど今日の締めにお説教か。これは念の入った事だと思っていた。予想通りというか、まさに延々とオレが今日出来なかったことをすべて並びたてやがった。もちろんオレがマリを襲おうとしたことも入っていた。

 よくまあ、あれだけ覚えているものだ。それでも逃げ出そうとしたのも小言で済んでくれるなら考えようによってはラッキーかもだ。あれで鎖にでも繋がれてしまったら、ますます逃げられなくなる。ようやく列挙が終わるとマリは、

「服を脱ぎなさい」

 着替えか。昨日から同じ服だからな。夜になるからパジャマでも出してくれるのだろう。メイド服を脱ぎ下着姿になったが、

「全部脱ぎなさい」

 刑務所に入る時を思い出した。あの時も素っ裸になって尻の穴までチェックされたが、あれをすると言うのか。女の前で素っ裸になるのに少し羞恥を覚えたが、オレの体は女だ。ここは監獄並みのところなのはわかったから、マリの監視の下で裸になるのは当然かもな。どちらにしても着替えとなると下着も変える必要があるから脱いだ。


 そこからマリが命じたのは服をたたむ事だった。これまた小うるさい注意がテンコモリあってゲンナリした。その後にマリは最後の晩餐でも使われた革製の腕輪と足輪をオレに付けやがった。これに首輪が加わったら奴隷そのものだな。

 だがこれを付けるということは、またベッドに縛り付けられるのか。まさかマリはレズか。いや最後の晩餐でオレに跨りやがったからバイか。ここも考えようだが女だって性欲はある。女のままだったら、女として性欲を発散させる必要がある。

 これを男を相手に性欲を発散させるのは論外だ。男に抑え込まれて貫かれるなんて考えただけでゾッとする。そうなると相手は女で、やることはレズか。まさか女教育の一環でレズの味も覚えるとかあるのか。

 レズもエロビデオで見たり、さらった女どもにショーとして無理やりやらせたことはあるが、実際にはやった事がない。当たり前か。だが女として暮らしていくためには覚える必要はあるのかもしれない。

 だがやられるとしたら縛り上げられたままでのレズ。そこまでのレズなら、嫌なものを思い出した、レズだってペニバンとかバイブで貫かれるんだよ。男よりマシかもしれないが、それじゃ、いくらレズでもレイプみたいなものじゃないか。

 待てよ、オレはまだ処女だ。さらに死刑以上の刑を受けると通告されている。そんな処女をレズレイプで散らすとは思えない。なら、今から男が入ってきて貫くとか。このシチュエーションでいきなりか。

 これはオレがマリを襲おうとしたから罰として急に決まったとか。刑務所でも脱走の罪は重い。ここでもそれは同じだろう。失敗の代償はそこまで大きいか。オレはこれまで監禁した女が逃げ出そうとした時にやった罰を思い出していた。殴る蹴るはもちろんだが、トコトンやったもんだ。あれを今からやられる。背筋に冷やりとしたものが走った。

 だがオレが指示されたのはリングのある壁に向かって立つことだった。マリは手際よく手足をリングに繋いだから、オレは手も足も壁に向かって大きく広げる姿勢になった。まさか処女を立ちバックで散らす気か。せめてベッドに寝かせてくれ、オレだって初めてなんだ、それぐらいの情けはあっても・・・

『ピシッ』

 尻に火の出るような激痛が走った。これはムチだ。マリが言うには、

「今日出来なかったことの反省です」

 ムチは一発では済まなかった。マリが並べ立てたオレの今日の失敗の数だけ叩くと言われた。ウソだろうと思ったし、冗談じゃないとも思ったが、マリはムチを揮い続けた。最初の何発かはこらえたが、こらえられるような痛みじゃなくオレは悲鳴を上げ、

「痛い、許してくれ、明日からはちゃんとやる。もう逃げようとも思わない、信じてくれ」

 悲鳴はすぐに絶叫になり、オレは泣き叫んだ。だがマリはまったく聞く素振りもなく、あれはまさに情け容赦なくオレを叩き続けた。ムチは尻だけでなく、背中も、足も叩かれた。脇の下を叩かれたときには息が止まるほどの激痛が走った。

 途中から何発叩かれたかわからなくなった。数える余裕なんてオレにはなかった。オレの頭の中はムチの痛みしかなかった。絶望なんて甘いものじゃない。殺されると思ったが、マリは息も乱さず冷たく、

「明日からも出来ない分だけ反省してもらいます」

 地獄のムチはようやく終わってくれた。まだ生きているのが不思議なぐらいだ、息も絶え絶えで立つことも出来ないオレは、なんとかベッドまで這って行った。だが背中は火が着いたように熱いし、何が触れても激痛が走りまくる。何もしなくてもそうだ。

 朦朧とする意識の中で、オレに女教育を強制させるために、なんらかの手段を取ると予想はしていたが、それがこのムチだったと思い知らされた。こんなもの耐えられるか。今日は生き延びたが、明日には死んでもおかしくない。

謎のレポート(第12話)最後の希望の夜

 色々考えておかないといけないが、オレの体が元の男の体の戻れる可能性だ。そのためには、どうやってオレを女にしたのかが問題だ。まず、オレが最後の晩餐で気を失っている間に性転換手術をされた可能性はまずある。

 本来ならこれが一番現実的なはずだが、手術の痕などどこにもない。別人になるほどの手術だから、オレが考えただけでも大手術になるはずだが、そんな痕跡はどう探してもない。それに膣の仕上がり一つにしても、どう見ても本物の女の膣だ。だから性転換手術ではないとしか言いようがない。

 ここだけは考えようで手術なら、オレのキンタマは取り出されて捨てられたことになる。もう一度性転換手術で男に戻しても男として機能しないだろうな。人工キンタマなんか聞いたことがないからな。

 だが手術でないとすると話は一遍にオカルトじみてくる。たとえばだ、オレは女になる前になんらかの力を送り込まれた感触があった。あの後にオレを縛っていたロープが急に緩んだのは、オレの体が女になって小さくなって縮んだからと説明は出来る。

 説明は出来るが、だったらその力はなんになる。魔術か、超能力か。そんなものがこの世に存在するものか。あるとしたエロ漫画の世界だけだ。これだけは絶対にあり得ねえよ。それぐらいはオレにもわかる。

 だったらになるがクスリだと思う。性転換薬もエロ漫画の世界でしかあり得ないものだが、最後の晩餐で使われた媚薬はタダものじゃない。そもそもだが、この世にエロ小説みたいな媚薬なんてねえんだよ。

 オレのダチにも好きな奴がいて、あれこれ集めて試してやがったが、あれは飲んだら効いた気がした程度だ。あれだったらエナジー・ドリンクの方がよっぽどマシだ。実際に効果があったのはバイアグラぐらいだ。あれはオレも使ったことがあるが、最後の晩餐で使われた媚薬とは効き方が桁外れだ。

 あんな凄まじい媚薬が作れるのなら性転換薬があるかもしれないぐらいだ。そりゃ、性転換薬が実在すると考えるのにも無理があるが、超能力より現実的だし、他にどんな方法があるかになるからな。

 とりあえず性転換薬を前提に考えるとすると、続けて飲んでいく必要はあるんじゃないかと思う。つまりヤクが切れたら、男に戻っていくってことだ。だが食事に混ぜられたらヤクは切り様がない。そりゃ、食わなきゃ飢え死にしてしまう。上手く出来てるぜ。

 それとマリが言うように元に戻らない可能性だってある。そりゃ、これだけの変化だから、どうやったら元の男の体になるかオレでさえ疑問だからな。だとすると、このまま女の体と付き合う必要が出てくる。

 嬉しくないが、そっちも考えておく必要はある。それには女はどうやって暮らすものなのか覚えなきゃならんが、ケッタクソ悪いがマリに教えてもらうしかないか。そうなんだよ、ここを逃げ出しても食って行かなくちゃならない。

 女なら体も売れるがそれはゴメンだ。女に何が出来るか思いつかないが、そうだな、女詐欺師ぐらいなら出来そうだ。あれは女の魅力で男を騙すのが仕事だから、本物の女っぽさを覚えとく必要はありそうだ。


 とりあえず男の体に戻れるかどうかは、ここを逃げ出してからの話になる。逃げ出すとなるとまずは部屋のチェックだ。まず部屋のドアだが、やっぱり頑丈そうだ。蹴ったぐらいじゃ破れるものじゃない。カギだが、こりゃ監獄並みだぜ。内側にカギ穴すらないじゃないか。

 次に窓だが鉄格子がある。だけどな鉄格子を破って脱獄した野郎の話は聞いたことがある。その野郎だって鉄格子をへし折るほどの怪力の持ち主だったわけじゃねえ。各房には朝食が配られるが味噌汁はセットみたいなものだ。

 その野郎は、毎日味噌汁を指ですくって、鉄格子の根元に塗り付けてやがったのさ、聞いてるだけで、気の遠くなりそうな作業だが、やがて鉄格子の根元が錆びて、それをへし折って脱獄しやがったんだ。

 だがその手はこの窓には使えねえ。窓が開かねえんだよ、一枚ガラスの嵌めころしだ。さらにガラスがかなり分厚い。これは防犯ガラスだと思うぜ。防犯ガラスだって割れねえことはないが、この部屋で割るのに使えそうなものは椅子ぐらいだ。だがこの椅子で割れたとしても、次は鉄格子だ。そこで行き止まりなっちまう。

 それとだが、ここは三階だ。たとえ鉄格子を破れても、飛び降りたら、打ち所が悪ければ死ぬし、落ちた時に足ぐらいは折る。折れたら逃げられるものか。そうなるとロープが欲しいがあるわけないな。

 それどころかロープ代わりによく使うカーテンすらない。他はシーツと掛け布はあるが、これはなんで出来てんだろう。とにかく薄くて、見るからに華奢そうな生地だ。まるでガーゼみたいとでも言えば良いのか。いくらオレが小さくなっているとはいえ、これじゃ、ロープ代わりに使いようがない。

 壁もチェックしてみたが、裏はコンクリートだな。石膏ボード一枚って事はない。床もフローリングだがその下はコンクリートだろう。天井には点検口などないし、机の上に椅子を乗せて調べたが、どうなっているかはわからんが、無暗に頑丈そうなのだけはわかる。

 他に部屋にあるものとしては、クローゼットみたいなものがある。だが開く気配もない。それに表面は木製だが、内側は金属製だぞ。なんなんだこれは。気にはなるが、ここで椅子でぶっ叩くのはやめておこう。壊れそうな気さえしねえ。

 見た目は高級ホテル風だが、なんにもない部屋だ。洗面所はあるが、歯ブラシどころか、タオルすら置いていない。さすがにトイペだけはあったがな。あれがなければ、オシッコの後はビショビショのままだったぜ。


 部屋は独房並みだな。今のところ抜け出せそうなところは見当たらない。だからオレを一人に出来るのだろう。腹が立つがすぐにはどうしようもない。逃げる時にポイントになるのは、この建物から出るのも言うまでもないが、出た後のことも考えておかないといけない。建物を出たら脱走は完了にならないからな。

 だが窓から見える風景はウンザリさせられる。窓の下には庭があり、その先が高い生け垣なのはまあ良い。問題はその先で森しか見えないんだよ。さらにその先は山だ。つまり人家がないんだ。夜になっても明かり一つ見えやしねえ。

 逃げる時に人家は必要なんだよ。こんな目立つし動きにくいメイド服とハイヒールで逃げれるものか。着替えと靴は必要だし、カネだって必要だ。なにか武器になる物も欲しいし、クルマが調達できれば言うことはない。

 実はここもネックだ。男の時だったら朝飯前だったが、このチンケな体じゃ逆襲されたら抑え込まれちまうぜ。だから先に武器が欲しいが、その前に人家も見えないのはキツイ。ここは窓から見えないところに期待するしかないだろう。

 それより不安がある。ここが果たして日本なのかだ。風景の感じから日本の気がするが、これだけの事をするのだから海外の可能性だってある。オレは大阪拘置所の絞首台で眠らされたから、どれぐらい時間がかかって、どういう経路をたどってここに着いたのか情報がない。

 海外でなくとも大阪から船に乗せられて、瀬戸内海のどこかの島に運び込まれているかもしれないんだよな。もし島だったら、あの山の向こうは海かもしれない。そうなると船がいるが、行ってみなければどうしようもないか。


 オレの今の状態は女にさせられて監禁状態ではあり、明日から起こることにロクなものが思いつかない状態だ。逃げたくとも、この部屋から出る方法の見当すらつかない。だがなオレは生きてるんだ。絞首台で死んでいるはずが生きてるんだよ。これだけは素直に喜んでイイはずだ。

 それとだ。いつかは犯されるにしろ、まだ犯されていない。あいつらがその気なら、オレが女になった瞬間にでも襲えたからだ。今ごろはロスト・バージンの痛みに耐えながら、女にされてしまった悲しみをメソメソ泣いてたっておかしくないだろ。

 そうなんだよ、あいつらはオレを犯す前になぜかオレを女にしようとしている。これじゃ、おかしいか、体は女だからな。そうだな女らしくというか、女っぽくしようとしてるのだ。

 目的はわからないが、そうだな、犯される時に男言葉で喚いたら興ざめするとか。それとも元男のオレが女言葉で許しを請うのが楽しみだとか。気色悪すぎる理由だが、とにかくオレが女っぽく振舞えるようになるまでレイプはない可能性がある。

 つまりやられるまでにまだ時間があり、その間に逃げるチャンスを見つければ良いはずだ。いや、やられたって逃げてやる。自分で言いながら、ムカムカするが、貫かれても、イカされても生きてれば逃げられる。

 最悪の場合は、男に媚だって売ってやる。気に入られるように股だって開いてやる。飲んで欲しけりゃ咥えてやる。イキまくってよがり狂う姿だって見せてやる。チャンスってのは、そうやって手に入れるもののはずだ。

 オレは一回死刑になった男だ、あれより怖くて辛いものなんてないはずだ。それに比べたら、男に抱かれて貫かれるぐらい、なんだって言うんだよ。女の体のままでも死ぬよりましだ。


 はあ、はあ、はあ。そうは言ってはみたものの、言いながらジンマシンが出そうだ。女の体ってレイプされると思うだけで、これほどビビるのだろうか。あれだろうな、襲われたら終わりってのがこういう感覚にさせられるのかもしれない。やっぱり何度言い聞かせても、相手が男ってのが生理的に受け付けねえ。

 だがな、本物の女にはレイプ願望があるやつが多いって話は聞いたことがある。だからか、ホモ同士がやるBL物が好きなのも多いらしい。それもだ、レイプがかったシチュエーションで、やれた方が感じてしまうシーンが好きだとかだ。だから女がオナる時にもオカズにすることが多いらしい。

 実際にレイプされたら、やっぱり嫌がるし暴れやがるのは良く知っているが、女って本能的に男のぶっといのが好きなのかもしれんな。だから、やりまくられているうちに大人しくなっていくのかもな。

 最後のところはオレにはわからんな。別にわかりたくもないが、とにかく男は嫌だ。やっぱり処女を散らされる前に逃げないといけない。だが、いつ気が変わってオレをレイプするかなんて、あいつらの気分次第だからな。


 もしそうなったら、やっぱり抵抗するよな。服を脱がされないように暴れるとか、とりわけパンティを脱がされないように頑張るとか。手で殴ったり、足で蹴ったりもする。もちろん犯されないように必死で足を閉じるのもな。女はみんなそうだった。

 だがどんなに抵抗しても、この女の体じゃかなわない。服はむしり取られ、膝は割られ、股は開かされる。手も抑えられてしまう。手足を広げられて、オッパイをこね回され、アソコだってさぐられ放題になる。さらに唇だって力づくで奪われる。男とキスだぞ。想像しただけで虫唾が走るぜ。

 ああわかってるぜ。そういう女の儚い抵抗は男を喜ばせて興奮させるだけだってな。火に油を注ぐってやつだ。オレは女を犯す時に往生際が悪い女だとか、あきらめが悪すぎると思ったものだが、そういう気持ちになれねえわ。

 だったら、せめて男のプライドを示してみるか。潔く無抵抗で体を開き、されるがままにされる。キスだって奪われるがままでな。そこから当てがわれ、貫いてきても反応を見せずに・・・考えただけでゾッとするし、貫かれ出したら我慢なんか出来るものか。

 ウンザリしそうだが、男が一番喜びそうな反応をするしかなさそうだ。ああ、やだやだ、か弱く抵抗しながら抑え込まれ、「許して」とか「やめて」とか「痛い」言ってしまいそうだ。それがどんなに無駄とわかっていてもだ。

 それと初めて貫かれ女にされる時は痛そうだ。そりゃ、血が出るぐらいだ。あれってやっぱり処女膜が裂ける時のものなのか。そうだそうだ、貫かれて男がイクまでの間も辛そうだったよな。そうなると必死にシーツをつかむ姿も晒しそうだ。

 今の目標はその日の前に逃げる事だ。その日の前にレイプされたらあきらめるかしかない。たとえレイプされても逃げる事だけはあきらめない・・・ダメだ、レイプされると思うだけでも目の前が真っ暗になる。それはレイプされてから考える事にしよう。

 とにかくだ、レイプされるまでの猶予期間はあるはずだ。とにかくレイプは嫌だ、そんなものが受け入れられるか。それまでに逃げ出してやる。たとえ女のままでも、逃げ出して暮らす方が千倍も、万倍もマシだ。

 とりあえず服を着ておこう。パンティってホントに小さいな。最低限しか隠してないじゃないか。ブラの後ろフックもやりにくいな。それよりなによりスカートのスカスカ感。これめくったら次がパンティだぞ。けど文句を言っても始まらん。女のままなら、死ぬまでのお付き合いになるものな。

謎のレポート(第11話)女としての怯え

 部屋で一人になったオレは、今日起こった事を整理していた。整理するもクソもないが、突然女にされてしまっている。マリは服を脱ぐなと言っていたが、知ったこっちゃない。どうなっているのかの確認がまず必要だ。

 服をすべて脱いで調べてみたが、やっぱり女だ。それもタダの女じゃない。自分で言うのもなんだが、トビキリの上玉だ。顔はこれも自分で言うのも妙だが可愛いし、綺麗だ。文句の付けようがない程の美女としか言いようがない。

 オッパイの大きさや形、綺麗なピンク色の乳首、腰のクビレ・・・スタイルも男なら誰でもヨダレが出るぐらいで良いはずだ。出るところはしっかり出て、締まるところはキッチリ締まってる。メイド服を着ている時はスリムな感じがあったが、オッパイはかなりあるから着やせするタイプと言えばよいのか。

 アソコはパイパンだ。だが綺麗だ、まだ処女なのもあるだろうが、これほど綺麗なアソコは滅多に拝めるものじゃねえぞ。少しビビりながら中も確認した。オレはニューハーフのアソコも知ってるがまったく別物だ。間違いなく本物の女だ。

 それに若く見える。どうだろう二十歳ぐらいだろうか。成熟しきった女と言うより、まだ未成熟のところが残っている感じぐらいだろうな。自分で言うのも癪だが処女の初々しさが溢れてるとでもすれば良いのかしれん。

 オシッコも行った。座ってジョボジョボなのはションボリさせられたが、女のオシッコそのものだ。二度と立ちションは出来そうにない。そう死ぬまで座ってジョボジョボのままだ。

 それはともかく、どこをどう調べても間違いなく本物の女だし、それもトビキリの美少女だ。それに今日、女になったばかりだから保証付きの処女だ。こいつとやりたくない男なんかこの世にいないだろう。

 オレもスカウトで数なんて覚えていねえほどの女を扱ってきたが、これほどの女は見たことがねえぐらいだ。商品ランクとしては松竹梅の松どころじゃなく、その上の桜、そのさらに満開ぐらいしか付けようがない。いくらで売れるか考えただけでゾクゾクするぐらいだ。

 だが問題はオレがその商品になってしまってる事なんだよ。そう売り飛ばす方じゃなく、売り飛ばされる方だ。あははは、もう売り飛ばされてるか、あの御主人様はオレを買ったと言ってたからな。既に売り飛ばされて監禁状態だ。

 だが笑ってる場合じゃない。オレは売り飛ばされてるだけじゃなく、持ち主に死刑以上の刑を受けると宣告されてるんだよ。その刑だが最後の晩餐でも半殺しにされたようなものだし、女にさせられただけでも結構すぎるものだ。だがこれで終わりじゃない。

 最後の晩餐はあれでも歓迎の式典だし、この女にされた体も死刑以上の刑を受ける準備に過ぎないとはっきり言われている、そうだよ、明日から、この体に刑を受けるんだよ。この女の体にな。


 なにをされるかだが、とにかく拘置所の絞首台から助け出すわ、突然女にさせられるわの世間の常識からぶっ飛び過ぎたこの館だから、最終的な何をされるかなんて想像も付かねえよ。だが最後にどうされるかはわからないが、手始めだけはわかる。

 そんなもの簡単だ。男がオレを貫くんだよ。オレが、男に押し倒されて処女を奪われて女にさせられる。他に何があるものか。これだけの美少女を監禁して男がやることはそれしかねえし、やらねえ男なんかこの世にいないぜ。

 昼間に感じてしまった事だが、女から男がどう見えるかだ。ここも本当は弱い方から強い方を見たらどうかだが、とにかくこの女の体だ。どうしたって女の立場で見ちまったし、感じちまったんだよな。

 怖いんだ。これはオレが男だし、こういう女に何をしたいか知り過ぎている部分がある。やりたい事は一つだ。とにかく男は自分のモノを女に突っ込みたい生物なんだよ。そうそうオレのものもデカかったんだ。仲間内では一番と自慢できるモノだった。

 あれで数え切れないぐらいの女に突っ込んできた。やる時は処女であろうが、女子高生であろうが情け容赦なしに力づくで貫いてやった。だが今は逆の立場になっている。あんなデッカイものを突っ込まれるんだよ。

 怖すぎるだろうが。こんな華奢なアソコに入るものか・・・ホントにそう言いたいが、残念ながら入るのだけは知ってるんだよな。オレはこれまで入れて来たし、入らなかった女はいなかったからだ。

 女にさせられる前はカマを掘られるのに怯えていたが、そんなレベルの怖さじゃねえ。こんな小さなところを貫かれてしまうんだぜ。根元まで全部だ。もちろん、それで終わりじゃない。ガンガン突かれまくって、男が果てるまでそれは続く。考えたくもないが、男のフィニッシュも生で中にぶちまけられてしまう。

 それだって始まりみたいなものだ。相手が処女だと男は頭に血が昇る奴が多すぎる。オレだってそうだが一発じゃ終わらない事が多いんだよ。ましてやこれだけの美少女だ、二回戦や三回戦は軽く覚悟しないといけない。

 ここまでも想像したくない話だが、処女を奪われて終わりになるなんてあり得ない。相手は時間限定の客じゃないんだ。こんな状態にされた女はなんでもさせられる。たとえば口だ。咥えさせれるどころか、喉の奥まで突きまくられて男を飲まされる。ああ、そうだよ、オレはそうしてきたからな。

 男に跨らされての腰振りなんか可愛いもので、女のカマだって容赦なく掘られる。掘られるどころか、男にサンドイッチにされて、前と後ろから貫かれる。口だって休ませてくれるものか。女の穴を同時に全部使われるんだよ。

 これも突っ込んでいる男が果てれば終わるものじゃない。果てたら次の男に交代だ。果てて萎えた男を咥えさせられ、立てば突っ込まれるなんて普通にやらされる。それは、その場に十人の男がいれば、十人の男が満足するまで果てしなく続くんだぜ。

 オレはそうやって来たからわかるんだ。もっと凄まじいのもやったが、これぐらいはさせられる。それが男なのは嫌というほど知ってるからな。男としてやるのは楽しくて仕方がなかったが、やられる側として想像するだけで寒イボが立って来るぜ。

 その後に女がどうなるかも知ってるんだよ。最初は抵抗しても、回し尽くしているうちに大人しくなり、言いなりになっていく。そうなったら客が取れるようになり、ベッドで男を搾る商売のところに売却だ。

 オレも男に貫かれればそうなるというのか。突っ込まれ続けているうちに、そうなってしまうと言うのか。誰にでも股を開けるヤリマンになるというのか。男に媚を売り、男を喜ばせ、男を搾り取る生活に満足してしまうとか。

 女がすべてそうだったのは間違いない。だがオレは男だ、なってたまるか。だがその前段階の突っ込まれるのは避けようがないじゃねえか。今日は犯されなかったが、明日犯されても不思議無い。男に襲われたら、この女の体ではどんなに抵抗しても貫かれる。


 そう言えばマリは、オレの体は生理や妊娠こそないものの、女の機能としては完全だと言っていたよな。だからどんな男だって入ると言うことになるが、これって女として感じてしまうって事じゃないのか。

 想像するだけでムカムカが止まらない。オレを貫いた男に女として感じてしまい、女としてイカされてしまうとか。男のイクと感じ方がどう違うかなんて知らねえけど、女のイクは男のイクと違うのぐらいはわかる。

 まず男みたいに突っ込めば必ずイクものじゃねえ。聞いた話だが死ぬまでイカねぇ女もいるそうだし、やるたび必ずイクものじゃねえし、イクの大きさも大小があるぐらいはわかる。そうそう嫌な相手なら簡単にはイカねえんだよな。嫌がる女をイカせるのは手間がかかったからな。

 その代わりイカされると強烈みたいだ。どんだけ強烈なんてわかりようがないが、イカされた女がどうなるかはよく知っている。イク時には体が大きく反応するし、後はホントにグッタリする。目なんかトロンだ。

 さらに大きな違いがある。男は出せば一旦は終わる。そこを無理やりなんてさせられると最後の晩餐状態になる。だが女のイクはどうなってるかは知るはずもないが、連発可能なんだよ。

 あれだけイキにくい時はイキにくいのに、そうだな、どこかでスイッチが入る感じだ。そうなれば何度でもイクし、イッてもイッても終わらないイキまくり状態にも女はなれるんだよ。それこそ目を剥いて失神するまでの狂乱状態になるのまでいる。

 そうされる可能性はある。最後の晩餐に使われた媚薬だ。あれは男に効いたが、女に効く媚薬だってあるはずだ。考えるのも吐き気がしそうだが、男に貫かれながら体は勝手に燃え上がり、どんなに我慢しても最後はイカされまくるぐらいだ。

 それと女はイクと変わる。オレにレイプで女にされ、オレが憎くて仕方がないはずなのに、イカすと従順になる。それもイケばイクほどだ。女なんてそんなものだとしか考えてなかったが、ひょっとしたら女はイクことに大きな意味があるのかもしれない。

 なにかが女の中で変わるぐらいしか思いつかないが、女に取って重要な体験なのかもしれない。そうだな、男を受け入れて次のステップに上がるぐらいの感じだ。どう感じ、どう思うのかなんて想像も付かないが、オレが経験したらどうなるかだ。

 従順になりヤリマン生活が楽しくなってしまうとか。男に飢えて、客が取りたくて仕方がなくなるとか。とにかく頭の中がイクしか考えなくなり、そのためだったらなんでもするようになるとか。あれだな、サルがオナニーを覚えるみたいな感じか。

 こればっかりは、やられてみないとわからないし、オレは女じゃなく男だ。女と同じようになるものか。だが不安は残る。なにしろ女の機能は完全と言うぐらいだから、男の心で抵抗しても体が裏切ってしまう可能性はどうしたって残る。


 そんな事を考えていたら、もっと嫌なことを思いついた。浴室に行くときに廊下に出たが、オレの部屋と同じドアが並んでいた。オレのような境遇の者が閉じ込められているとあの時は考えたが、オレと同じなら寒気がする。

 そうなんだよ、オレと同じなら男から性転換された女になるじゃないか。最後の晩餐でオレを襲った女も元男かもしれない。それを言えばマリだってそうだ。あいつら全部、元男だったに違いない。

 なんてこった。オレは元男に興奮し、反応しまくっていた事になるじゃないか。それも何十発もだぞ。さらにだ、あの連中は完璧に女だ。女にされただけで男が女になんかなれるはずがない。

 あれはオレみたいな元男を心まで女に変えさせられたに違いない。つまり、そう出来る手段を持っていることにある。オレもあなってしまうのか。嬉しそうに男に跨って腰を振るようになってしまうと言うのか。ああしてしまうのがここの目標か。

 この館は狂ってる。男を女にするだけでも十分に狂っているが、そうした女をヤリマン女に変えようなんて狂気の沙汰だろう。でも体はそうされてしまっているのは確認させられた。明日にも男に貫かれるかもしれない。一週間もすれば三本ぶち込まれ、ヒーヒー言いながらイキまくってるしれない。そうなってたまるか。そうなる前に逃げてやる。

謎のレポート(第10話)刑の始まり

「おはようございます。最後の晩餐は終わりました」

 メイド姿のマリたちが入ってきた。オレは再び椅子に縛られた。なんとかしようにも、体に力が入らない。痺れグスリが残っているのかもしれないが、とにかく最後の晩餐でオレのすべてを搾り尽くされてしまった感じだ。

 昨夜と同様に縛られたまま朝食を取った。この朝食の中にどんなクスリが入っているか、わかったもんじゃないが、食べないと体がもたないのは間違いない。朝食が終わりしばらくするとあの御主人様が現れた。

「最後の晩餐は楽しんでくれたかね」

 オレは返事をするのも億劫だった。そりゃ、二度とないと思った女の中にイケたのは嬉しかったが、女による地獄のような輪姦を経験させられたからな。やっと出た言葉が、

「どうする気だ」

 男は薄ら笑いを浮かべながら、

「最後の晩餐が天国に思えるようになるぞ。いや、新しい天国に入れるとも言える」

 その時に体にスウッと何かが流れ込んだ気がした。すると体を縛っていたロープが緩んだ。最後のチャンスが来たと思ったが、どうにも力が入らない。

「これが死刑以上の刑を受ける体だ。しばらくは体の使い方を教えてもらいなさい。マリ、頼んだぞ」
「かしこまりました」

 あの御主人様が部屋から出て行き、そこからロープを解かれたが、やっぱり力が入らない。昨夜の地獄の晩餐で気力も体力も絞られ尽くした脱力感とはどこか違う。とりあえず胸が重い気がする。どうなっているのだ見てみると、

「なんだこれは!」

 どこをどう見ても女のオッパイじゃないか。それも結構大きいぞ。乳首も女の乳首で綺麗なピンク色だ。それだけじゃない、オレは地黒だし、喧嘩三昧で歴戦の傷跡が数えきれないあったはずなのに、それがどこにも見当たらないし、肌も白くて、すべすべじゃないか。

 丸太ぐらいあったはずの腕の細いこと、折れてしまいそうだ。手も小さいし、指だって細い。どう見たってオレじゃないし、これは女そのものだ。だとすると、まさか、まさか、ウソだろう。

「無い、無いぞ」

 扱いなれたモノは影も形もなくなり。のっぺりして細い溝があるだけ。マリは、

「熊倉吾郎は完全にこの世から消滅しました。あなたの名はアリサです」

 部屋に持ち込まれた姿見の前に立つように言われてみたが、

「こ、これがオレだって・・・」

 オレは子どものころから身長が高くて今は一八五センチ以上はあったはず。だが映っているのは小柄な華奢そうな美少女だ。オレの動きに合わせて鏡の中の美少女は動くし、オレが見える範囲も、そのまま鏡に映っている。

「な。なにをした」
「見たままでございます」

 なにがどうなっているのだ。一瞬だぞ、あの一瞬で性転換しただけでなく、体も少女に作り替えてしまったと言うのか。

「これが死刑以上の刑」
「正確にはその刑を受けるための体でございます」

 そう言えば声もおかしい。野太かったはずの声は、細い高音のものになっている。そう女の声、それも可愛い声じゃないか。

「男に戻れるのか」
「いえ終身刑となっております」

 なんてこった。死ぬまで女として暮らせと言うのか。最後の抵抗を試みた。マリを倒して逃げようとしたのだが、

「無駄です」

 あっさり腕を捩じ上げられ抑え込まれてしまった。オレの力は見た目通りにか弱いものになっていた。マリの方が長身だが、それにしてもの力の差だ。というか弱すぎる。オレの力は小娘以下になってるとしか思えない。

「わかりましたか」

 マリに逆らうのは無駄だ。それはよくわかった。ここは暴れても無意味だ。様子をうかがうためにマリに従っておくしかなさそうだ。マリに勝てないなら、男相手なら誰であっても勝てそうにない。


 そこからマリはオレを浴室に連れて行った。浴室は部屋を出て左に曲がった突き当りにあった。そこで女の体の洗い方、髪の手入れを教えられた。そうそう髪も黒髪のロングになっている。

 風呂から上がると、予想していた通りメイド服が待っていた。脱がしたことはいくらでもあるが、身に着けるのは初めてだ。抵抗するのはあきらめて身に着けたが、女の服の着方がわからずマリに教えられていった。

 スカートも初めて履いたが、とにかく股間がスースーする感じが妙すぎる。胸を締め付けるブラジャーも苦しい。それに生地が肌に触れる感覚が落ち着かない気分にさせられる。そこから化粧になり、

「いずれ自分でして頂きます」

 マリの言葉は慇懃だし、教え方も丁寧だが、

「教えられたことは一度で覚えられた方が身のためです」

 女の格好をさせられるのに猛烈な抵抗感はあったが、マリの言葉の裏の重さを感じさせられた。教育係は学校の先公じゃない。覚えられないと、それを無理やりにでも覚えさせる手段を取るはずだと。

 メイクが終わると靴を履かされた。これがなんとハイヒール。靴を見た瞬間は、こんな小さな靴にオレの足が入るかと思ったが、足を見たらなんと小さなこと、履いてみるとピッタリだった。そこまでオレは小さくなっていると嫌でも自覚させられた。

 そこからヒールの歩行練習をさせられた。とにかく歩きにくい代物で、すぐに転びそうになる。部屋の中を何度も何度も歩かされてから、

「ヒールも決まりですから早く慣れるように」

 マリの口調や態度からわかるのだが、マリが『決まり』を口にする時はとにかく重い感じがする。決まりは守るべきなのはわかるが、裏返しに決まりを守れなければ重い罰がセットであるのは間違いなさそうだ。

「言葉も変えなさい」

 男言葉をやめて女言葉しろと言う事だ。それだけじゃない、仕草の一つ一つにも注意が入った。男ではなく女の仕草をしろと言う事だ。要は体が女になったから、心も女になれって事だと思うが、内心は鼻で嗤っていた。

 そんなもの言われたから、はいそうですかになるものか。体は女にさせられてしまったが、オレは男だ。女の心なんかになるものか。ただここで反抗しても無駄だし、意味がない。ここはマリの言葉に従って、女っぽいふりだけはしておいた。

 そうこうしているうちに昼食。この館に来てから、初めて手を使って食べたが、食事のマナーもマリはとにかく煩かった。口の動かしたかまで指導されたぐらいだ。昼食後は休憩時間みたいなものだったから聞いてみた。

「女ですから生理とか妊娠もあるのですか」
「ありません」

 助かった。女の生理は厄介だと聞いてるからな。それに妊娠させられて子どもを産まされるなんて真っ平だぜ。そうなるとこれは見た目だけの性転換なのか。

「いえ生理や妊娠こそ出来ませんが女としての機能は完全です。もう一人の御主人様が刑を行えば、生理も妊娠も可能になります」

 なんだって。御主人様がもう一人いて、そいつがこの刑を執行すれば妊娠まで出来るようになるって言うのか。なんだよ、それ。だが、どう見てもオレが女なのは間違いない。ニューハーフとも遊んだことがあるが、どんなに綺麗に見えてもあれは男だよ。

 性転換手術を行っても、元の骨格は変えようがない。聞いた話では骨を削って少しは変えることもあるそうだが、オレの変わりようはそんなレベルじゃない。身長だけで三十センチぐらいは縮んでる気がする。顔だってエラが張った厳ついデカイ顔だったのに、今はすんなりした小顔だ。元の熊倉吾郎の体の面影なんかどこを探してもない別人になってしまっている。

「ホルモン剤とかは」
「根っこから変わっていますから必要ありません」

 ニューハーフが女らしい曲線を維持するためにはホルモン剤の投与が必要だそうだ。女性ホルモンは男では作れないからな。だが今のオレは自分の体で女性ホルモンを作っていると言うんだ。


 午後も女教育をマリから受けた。またヒールの歩行練習だ。オレは歩くのもやっとなのにマリは歩く姿勢に注文を付けやがった。口答えすると、そのしゃべり方にイチャモンが付いてくる。まだ女になって初日だぞ。すぐに出来るもんか。やがて夕食になりやっと終わりになった。化粧を落とされて、

「今夜は慣れるために、そのままで寝てもらいます」

 メイド服のままでか。パジャマぐらいないのか。

「決して脱いではなりません」

 マリは部屋を出て行きカギがかけられた。扉は木製だが閉まる音を聞いただけで、重々しそうだ。かなり分厚くて頑丈だと見ないとならないだろう。つまりは殴ったり、蹴ったり程度ではビクともしそうにない。ましてやこの体だ。とりあえず女にさせられた一日目は終わってくれたみたいだ。

謎のレポート(第9話)最後の晩餐

 御主人様と名乗る優男の言葉を思い返していたが、最後の晩餐の意味は、かつてあったとされる死刑執行前の食事のことだろう。それを今晩食べたら、明日には死刑以上の刑が執行されるはずだ。

 殺す前提でないのは信じても良いかもしれない。殺したいのなら刑場であのまま殺しておけば良かったからだ。そうなれば明日に執行されると言うより、殺さないのなら明日から始まると言う事だろう。

 何をされるかは、サッパリ見当がつかない。ひょっとしてカマでもレイプされるのじゃないかと思ったが、教育係なる女、たしかマリと言っていたが、あんなのが付くのにカマなんて掘るのかなぁ。

 まあ、あんな美人の前でカマを無理やり掘られたら屈辱の極みだが、それが刑になるかは微妙だ。オレにはホモっ気はないが、カマも掘り続けられると良くなるんじゃないか。ノンケが無理やりホモにされるビデオがあったはずだ。

 それはともかく今夜はカマ掘りはないだろう。だが明日になれば逃げ道なしだな。それこそ縛り上げて力づくで掘るだろうからな。掘られたくないが、そうなったら抵抗しても無駄だろう。もちろん出来るだけ抵抗するが・・・なんか尻がムズムズしてきた。やっぱり気色悪いわ。

 改めて部屋を確認してみたが、ベッドはシングルみたいだな。窓もあるが、あちゃ鉄格子だぞあれは。窓からは逃げられないか。後はクローゼットもある。ドアもあるが、あの向こうは浴室とかトイレかもしれない。

 死刑囚としていた独房より遥かに高級だが、時計は無いな。それと壁についている四つの輪はなんだ。洋服掛けみたいにも見えるが、かなり高いところにあるし、床にもあるのが妙だ。なんのために使うのだろう。ついでだがテレビもない。

 時刻はわからないが、窓を見ると日も暮れたようだ。空腹を痛切に感じてるぜ。最後に食べたのは拘置所の朝食だものな。あれからどれぐらい時間が経ったかはわからないが、緊張が緩むと、とにかく腹ペコだ。

 そしたらドアがノックされ、マリともう一人の女が入ってきた。こいつも美人だ。それより二人とも女じゃないか。食事中に脱出のチャンスが訪れるかもしれない。脱出するにはドアから出るしかないが、出られればなんとかなるかもしれない。

「では晩餐の支度をさせて頂きます」

 女たちは押してきたワゴンから、テーブルクロスを敷き、皿やグラス、フォークやナイフを並べ始めた。こりゃ豪華そうな食事を期待できそうだ。次はオレのロープが解かれると思っていたが甘かった。縛られた椅子のまま運ばれ、テーブルに着かされた。

「では。あ~ん」

 そういうことだ。幼児のように口にはこばれた食事を食べさせられた。なるほど、これでは逃げられない。でも味は絶品だぞ。こんなに美味いのは初めてかもしれない。空腹がそうやって満たされていくと、オレは二人の美女に反応してしまった。

 そりゃ、するだろう。逮捕されてからずっと禁欲生活だったのだから。反応しない方が不自然だ。その点は恥しかったが、隠しようもなく見られてしまった。だがこの二人の女はオレの反応を気にする素振りも無かった。

 食事中もなんとかこの館の情報を得ようとあれこれ話しかけたが、必要なことは何も話してくれない。これは手強いな。まあ、この二人の女も、不用意に情報を漏らさないと信用されているから付いているはずだが、ここまでとはな。

「片付けさせて頂きます」

 オレは椅子に縛られたまま移動させられ、女たちは食器を片付けて行った。

「これが最後の晩餐か?」
「いえ始まりでございます」

 それだけ言うと部屋から出て行った。どういう意味だ、始まりってなんだ。大食い大会のようにこれから食事がまた出るの意味か。他になにをされると言うのだ。それにしてもイイ女だった。あんな女の前でこれだけ反応して放置されるのも辛いな。まさかこれが刑だとは思わないが、やっぱり一種の刑だな。

 三十分ほどしてから、再び女が入ってきた。それも五人だ。しっかし、どうしてこうも美人ぞろいなんだ。それもトビキリだぞ。あの女たちも御主人様に買われたんだろうか。あの躾けられ方からして、そんな気がするぞ。

 すると女たちがロープを解き始めた。脱出のチャンスがついに来た。五人に増えてもたかが女だ。制圧するのは造作もないはず、

「なにをした」

 手足に力が入らない。ロープは解かれたものの、立つことさえできない。やりやがったな、食事に痺れクスリを入れやがったんだ。だから食事の後に三十分放置されていたのか。悔しいが女たちに手足を持ち上げられてベッドの上に。

 やっとロープの拘束から解放されたのは嬉しかったが、ベッドで次にされたのが、皮製の腕輪と足輪の装着。腕輪や足輪にはリングが付いており、そこにロープが通されて、仰向けですべてを晒す態勢にさせられた。

「何をする気だ」
「最後の晩餐です」

 女たちはオレのあちこちにしゃぶりついた。というか、こいつらプロか。男の感じるところを知り過ぎている。唇だけじゃなく指も動き回る。さらにそれを防ぐ手段が何もない。体に火が着くのを感じながら、

「あっ、あっ、あっ・・・」

 最初は声を上げるのを我慢していたが、そんなものすぐに崩された。せめて声でも出さないと耐えられるものじゃない。するとマリが服を脱ぎだした。すべてを脱ぎ捨てると、

「少しでも頑張られた方がラクですよ」

 ラク、頑張る、どういう意味だ。すると裸になったマリが馬乗りになって挑んで来た。マリとこうなるのは願ったり、叶ったりだが、とにかく禁欲が長すぎた。マリの激しい腰の動きにたちまち昇り詰め、

「うっ」

 これが女だ、オレはまた女とやれたぞ。イッた瞬間はこれ以上はない満足感に包まれた。だが甘かった。地獄はここからだった。


 男は果てると賢者タイムが来る。そこまでの興奮が射精によるエクスタシーを感じた後に急激に醒めるぐらいだ。ただ興奮は醒めるが、イッた後のペニスは強烈なぐらい過敏になる。そう触れられるの辛いぐらいだ。だが女どもはマリから抜けたペニスに刺激を続けた。

「うわぁ、ぐげぇ、やめてくれ」

 賢者タイムを無理やり取り消されたようなもので、強引に次の興奮に持っていかれた。あまりにも強烈過ぎる刺激に、もう体をよじりまくって逃れようとしたが、四人の女によってそれさえ殆ど許されなかった。

 ふと気が付くと二人目の女が服を脱いでいた。こ、これは、ここにいる五人の女が済むまでこれが続けられるとか。男のセックスの目的の一つはイクことだが、イケばあの強烈過ぎる刺激が待っている。

 それを避けようと必死で我慢したが、女の動きは巧妙すぎる。それだけじゃない。他の四人の女からの唇や指の刺激もやむことがないんだ。さすがに連発の二発目だったから、最初よりは長持ちしたが、絶望の射精は来た。

「うっ」

 予想通り、引き続いて強烈すぎる刺激に襲われた。一発目の時より強烈な気がする。七転八倒なんて甘いものじゃない時間を強いられた後に三人目になった。

「お願いだ。なんでもするから、許してくれ」

 聞いてくれるはずもなく五人目までキッチリやらされた。だが、五人目が終わった時にホッとした気分もあった。ようやく終わりだってことだ。これが最後の晩餐だとしたら、まさにこの世の地獄だ。するとマリが、

「一周目は楽しめなかったら、よろしくお願いします」
「一周目だって・・・」
「とりあえず三周がセットです」

 どれぐらいの時間が経ったんだろう。ひたすら悶えまくり、苦しみまくった。イク感触はあるが、快感はなくなっている気がする。あれは出なけりゃ良くならないんだ。十五人も相手にすれば、空撃ちになってるんだろう。やり過ぎれば、そうなると聞いたことがあるが、これがきっとそうだ。するとマリが、

「あら、まだまだ出ますよ」

 クタクタのオレだったが、身をよじって絶叫するしかなかった。この状態から亀頭を責めるのか。これも話には聞いたことがある。亀頭を責められると強烈な刺激になるが、いくら感じても決して射精しないのだ。だが女たちが狙っているのは違った。悶え苦しむ苦痛を与えつつも、

「うぎゃ」

 オレも話には聞いていたが男の潮吹きだ。強烈なんてものじゃなかったが、当たり前のように連発を強いられた。潮吹きも最初は盛大だったが、出せば枯れていく。だが亀頭への刺激は眼も眩むほど強烈なのは変わらない。失神でも出来ればラクだと思うが、刺激が強烈過ぎて出来そうにない。マリは、

「休憩は終わりです」

 休むことなく次のセットに突入された。オレが出せるのは呻き声と泣き声だけ、だが女どもは必ず三周回すのは確実だ。馬乗りになったマリは、そこまでになったオレをあっさり追い込み始めている。


 気が付くと朝だった。最後の晩餐が地獄の饗宴なのは思い知らされた。どこかで意識がなくなったらしい。ああいう集団レイプは何度もやったことがあるが、まさか女にやられるとは予想すらしてなかった。ひたすら擦られ過ぎたペニスが痛い。こりゃ、当分使い物になりそうにない。

 死刑以上の刑って、これが連日連夜続くとか。考えただけで寒気がしたが、あの御主人様の言葉通りなら、最後の晩餐は刑ではなく、むしろ御褒美的な位置づけのはず。御褒美でこれなら刑となると・・・もう想像もつかない。

 それと昨夜のオレの反応は我ながら異常過ぎた。晩餐には痺れグスリが入っていたのは間違いないが、それ以外にも強力なんてものじゃない媚薬も入れられていたはず。そうでなければ、あそこまで反応し続けるはずがない。

 あれだけ苦しくて辛い状態だったのに、オレは情けないぐらい反応したんだ。そんなことが出来るはずがない。種馬だってあそこまで反応できるものか。何時間やってたんだよ。何十発搾られたんだよ。媚薬と言ってもまともな代物じゃないに決まってる。

 この館の食べ物、飲み物、身に着ける物、浴室の湯、下手すれば空気だって、そういう細工が施されているとしてよさそうだ。それも避けようがない状態じゃないか。通常なら許されるものじゃないはずだが、買われた奴隷であれば甘受するしかなさそうだ、これが御主人様の言う経験の一つか。