カイロプラクティック

土曜日のエントリーでカイロプラスティックと書いていましたが正しくは「カイロプラクティック」みたいです。恥ずかしながら長年そう思い込んでいました。でなんじゃいと言う事になるのですが、これもカイロ(懐炉)でも使う温熱療法の一種と思っていたのは白状しておきますが、調べなおしてみるとカイロプラクティック辞典に、

カイロプラクティックという言葉自体はギリシャ語で、そのまま直訳するとカイロ=「手」、プラクティック=「技」で、「手技」ということになります。

主に手によってサブラクセーション(背骨・骨盤などのゆがみやズレなど原因となっている自然治癒力をさえぎっている箇所)をアジャスト(矯正)して人間本来の自然治癒力を戻してあげる手技です。

どういうこと?と思われる方が多いとは思いますので、もう少し詳しく書きますと、人間には本来、自然治癒力というものがあります。それが正常に働いていると、ウイルス性の病気など外因性の病気や怪我による疾患以外、ほとんどの病気は自然に体が治してしまいます。骨のゆがみによりそれが遮られてしまっている部分を矯正して、神経の働きを元通りの姿に戻してあげることで、自然治癒力を最大限発揮できるようにしてあげる手伝いをしてあげるのです。

カイロプラクティックを施すことで、体が正常に戻るわけではないのです。人間本来の力を最大限引き出す手伝いをしているだけなのです。

また、参考までにですが、最近では解剖学やレントゲン分析の発達により、このカイロプラクティックの根本思想であるサブラクセーションにより神経の流れが阻害されるということはないようで、カイロプラクティック自体、可動の悪い原因箇所や筋反射などを目的にアジャスト(矯正)することが多いようです。どちらかというと、骨と筋肉のバランスという発想になっているようです。

長いので後はカイロプラクティックはカイロと略しますが、日本で言う整体かと思えばそうでもないようで、これも辞典にあるのですが、

往々にして、「あ〜マッサージ?」とか「整体だよね?」といわれてしまいます。

どうも整体とは違うようです。名前からして欧米が本場だと思いますし、一種の代替療法・民間療法であるのも確かなようです。当然ですが英国もまた盛んで英国カイロ協会なんてのもあるのですが、このカイロ協会がサイエンス・ジャーナリストのサイモン・シン氏(以下敬称略)の本を名誉毀損で訴えるという事件を起します。

土曜日でも触れたのですが忘却からの帰還様が詳しくfollowされています。今日紹介したいのは英国カイロ協会の主張の部分です。このカイロ協会の主張が行われるまでの展開ですが、私の理解不足もあるかもしれませんが、おそらくサイモン・シンのこの部分を中心にして行なわれたと思われます。

現代のカイロプラクターたちは治療を背骨の問題に限定していると思うかもしれない。しかし、事実は違う。彼らは未だにめちゃくちゃな考えを持ったままだ。原理主義者たちは、あらゆる病気を治せると言っている。さらには、多くの穏健なカイロプラクターたちは、自分たちの領分を大きく逸脱している。英国カイロプラクティック協会は、少しの証拠もないのに、疝痛や睡眠異常や食事異常や耳の感染症気管支喘息や長泣きなどの子供の治療の助けができると主張している。この協会は、カイロプラクティックの本職のちゃんとした人々のものだが、なお、こんなボーガスな治療法を宣伝している。

前後もあるのですが興味のある方は英国カイロプラクティック協会が、"Trick or Treatment"のSimon Singhを訴えるをお読み下さい。ここの「こんなボーガスな治療法を宣伝している」がとくに問題になったと思っているのですが原文では、

This organisation is the respectable face of the chiropractic profession and yet it happily promotes bogus treatments.

bogusとは「模造の」とか「ニセの」ぐらいの意味になり、「a bogus bill」と使えばニセ札と言う意味になります。あえて日本語に強く訳せば「インチキ治療」ぐらいにしても的外れでは無いと思います。英国カイロ協会にすれば、そこまで言われれば黙っていられないぐらいのスタンスと考えても良さそうです。

そこから法廷戦術での細かい争いがあって、英国カイロ協会は展開上「bogus treatments」と言う言葉が名誉毀損に該当するならば、その証拠を示せと言う立場に追い込まれる状況になります。それに対して英国カイロ協会副会長がある雑誌(New Scientist)に発表した記事が紹介されています。これはNewScientist誌の掲載されたカイロプラクターによるカイロプラクティック擁護記事に紹介されているのですが、これが本日のメインです。三部に分けて紹介します。


第1部

Edzard Errnstを含む多くの批判者たちはカイロプラクティックの起源にまで遡る。これには、現代のカイロプラクティックが、背骨が整列しいないことが大半の病気の要因だとする19世紀の考え方を信じてると主張する意図があることが明らかだ。この見方をほんの少数のカイロプラクターは信じているが、大半はそのような主張が昔にデバンクされたと知っている。

「19世紀の考え方」と言われても、なんのこっちゃらミカンやらですが、ここはサイモン・シンの訴えられた記事を比較すると理解しやすくなります。

カイロプラクティックの創設者Daniel David Palmerは「99%の病気は脊骨のズレによって起きる」と書いているのは驚きだろう。1860年代に、Palmerは、脊髄神経は脳と体をつないでいるので、あらゆる病気は背骨に関係するという自身の理論を発展させ始めた。従って、背骨のいかなるズレも体の離れた部分に問題を起こしうるのだという理論を。

サイモン・シンがカイロを19世紀の古臭い路論で行なわれているインチキ治療だとしているのに対し、

    大半はそのような主張が昔にデバンクされたと知っている
カイロ協会はこう反論しているわけです。

現代のカイロは19世紀半ばに創始されたそうで、カイロ協会はその流れは引いてはいるが、当初の理論はデバンクされたとしています。デバンクとは正確には「debunk」で意味としては正体が露顕するぐらいの意味になります。ごく簡単にはそんな古い理論で現代のカイロは行なわれていないと解釈すれば良さそうです。

もう一つ

    Edzard Errnstを含む多くの批判者
忘却からの帰還様は丁寧に引用を引いてられるので紹介するのがとっても楽なんですが、Edzard Errnstなる人物はPeninsula Medical Schoolの代替医療の教授だそうです。英国では代替医療も保険適用ですから教授がいてもおかしくないのですが、ちょっとビックリしました。その代替医療の教授がカイロの調査をしており、

2004年の英国General Chiropractic Councilの調査により、カイロプラクターたちが、喘息(57%)・消化障害(54%)・幼児の疝痛(63%)・月経の痛み(63%)・スポーツの怪我(90%)・緊張頭痛(97%)・片頭痛(91%)を治療できると信じていることが明らかになった。2007年の調査によれば、英国のカイロプラクターの69%がPalmerの考え方を「カイロプラクティックの重要で肝要な部分」だと回答している。

ここの

    2007年の調査によれば、英国のカイロプラクターの69%がPalmerの考え方を「カイロプラクティックの重要で肝要な部分」だと回答している。
Palmerは19世紀のカイロの創始者ですが、Palmerの理論を7割ものカイロ術者は重要と答えているとなっています。ところが英国カイロ協会は「debunk」された過去の主張と片付けています。日本ではどうなっているかと言えばカイロ辞典にそれが窺われます。

カイロプラクティックの歴史は、1895年のアメリカにさかのぼります。1845年カナダのトロント生まれのダニエル・デビッド・パーマーが、1885年アメリカのアイオア州に移住して、電磁治療師として生計を立てていました。そこにお手伝いをしていた難聴のハービー・リラードの背中(首)の一部、背骨が出ている部分があるのを発見しました。了解をとってベッドに寝かせ、その突起を元に戻るように押したところ、音がしてその背骨が元に戻りました。すると、17年もの長い間難聴に苦しめられていたハービーの耳が聞こえるようになったのです。

この体験をもとに背骨のゆがみが体の症状や体調に何らかの関係があると考え、その後研究を重ねて、カイロプラクティックを確立したのです。

偶然が生んだ奇跡だったのです。

その後、息子のBJパーマー、さらにその息子のデビッド・パーマーに引き継がれていき、その間に更なる研究が重ねられ、今に至るのです。

カイロプラクティック東洋医学と思われることも多いのですが、アメリカで作られ、西洋医学として発展してきたのです。

どう解釈するかは微妙ですが、読む限り「debunk」された後の理論展開には触れていないようです。もっともこの辺は、否定された部分と肯定された部分があり、「Palmerの精神は生きている」みたいな表現は可能ですから、「debunk」された部分とそうでない部分があるぐらいには解釈できます。


第2部

カイロプラクティックが危険だという主張は直近の2つの研究を見落としている。ひとつはカイロプラクティック脳卒中の因果関係は見いだせないというもの。もうひとつはカイロプラクティック後の脳卒中発生率は一般医の相談後の場合より大きくないこと。

ここだけ読んでも何に反論しているか判り難いのですが、サイモン・シンの主張は、

背骨のマニピュレーションが、そのような重大な副作用を持ち、大して効果がない薬品だとしたら、そんなものは、ほぼ間違いなく市場から回収されているだろう。

「そのような重大な副作用」とは背骨のマニュピュレーションが死亡事故(椎骨動脈破裂)やその他の障害を700件以上起しているものに対してです。そして「大して効果のない薬品」の比喩は、Edzard Ernst代替医療教授の研究にこうあるとされています。

背部痛については肯定的な証拠もある。カイロプラクティックのマニピュレーションはいくつかの医療試験で通常の治療法と同程度の効果があると示されている。しかし、知っておくべきは背部痛に対する通常の治療法にほとんど効果がないことだ。プラセボを適切にコントロールした研究では、効果がほとんど見られないという結論に至ることが多い。Exterの私の研究チームは、より厳格な試験結果をレビューし、背骨マニピュレーションは特に治療効果は見られないと結論した(Journal of Pain and Symptom Management, Vol22, p.879)

ここの論争は重大事故の可能性があり、なおかつ効果が無い事がエビデンスと示されているので、そういう危険な行為は追放されて然るべしのサイモン・シンの主張に対し、カイロ後の脳卒中の発生率は低いので問題は無いと反論していると解釈すればよさそうです。


第3部

カイロプラクティックの批判者たちは、特に背骨と関連のない喘息などについて、カイロプラクティックと背骨マニュピレーションを同一視する。これはカイロプラクターが姿勢についての助言や安心や運動など幅広い治療法を使うことについて、批判者たちが知らないことを示している。

ここについても情報があり、

英国カイロプラクティック協会による、カイロプラクティックを支持する証拠の提示、特に「大量な証拠が、子供の多様な病気の治療にカイロプラクティックか有効であることを支持している」という主張に対して、さらなる批判が集まった。昨年、英国カイロプラクティック協会はその立場について科学的論争に加わらざるをえなくなった。そして、協会は「大量な証拠」を公表した。

BMJに粉砕される前に、29の文献の支持された協会の声明は24時間以内にブロガーたちに粉砕された。10個の文献がカイロプラクティックとは無関係であり、数個も研究ではないことが明らかにされた。残りも質の悪い試験の小さなコレクションにすぎなかった。

さらに重大なことは、英国カイロプラクティック協会が1本の論文を誤った形で提示して人々を誤解させたことだ。この論文は、寝小便に対する様々な治療法の効果をレビューし、カイロプラクティックの使用を支持する弱い証拠があると結論しただけのCochrane reviewだった。実際の記述は以下のとおり

催眠・精神療法・鍼・カイロプラクティックの使用を支持する弱い証拠があった。しかし、それは個々のケースについて、それぞれ1回の小規模な試験あるいは疑わしい方法によるものだった。

BMJとは「British Medical Journal」の事を指します。どうもなんですが、英国カイロ協会の主張が粉砕された事に対する有効な再反論は出来なかったようです。結局のところ

    これはカイロプラクターが姿勢についての助言や安心や運動など幅広い治療法を使うことについて、批判者たちが知らないことを示している。
英国カイロ協会は批判者たちが知らない事を提示できなかったばかりか、これまで効果があると主張してきた治療に対し、何の根拠もないことを露呈した事になります。


悪戦苦闘のまとめ

英国カイロ協会の主張は、まず創始者Palmerの理論を自ら否定しています。これは記憶しておいて良い事です。否定した上で今や少数を除いてPalmerの理論で治療していないと明言しています。ところが現実の調査ではPalmer理論を7割ものカイロ術者が信奉しているとの調査結果を示されます。ここは上述した通り、Palmerの理論ではなく、Palmerの精神を受け継いでいる表現だとの主張は可能です。

そこは切り抜けたとしても次の脳卒中論争は旗色が悪くなります。サイモン・シンの主張は、

  1. 重大なリスクが確実に存在する
  2. メリットを示す根拠が無い
これに対して英国カイロ協会の主張はリスクが現代医学の診察後より低いというデータを示しただけで、リスクと引き換えにしないとならないメリットの提示ができていません。

たぶん最後の第3部がベネフィットを示す部分だと思われますが、英国カイロ協会が示した根拠は速やかに粉砕されてしまいます。根拠が粉砕されて反論が出来ないとなると、これまで「○○に効く」と宣伝していたものが虚偽と化す事になります。英国のカイロがどれほどの保険適用がなされていたかの知識はありませんが、効果が無ければ英国であっても保険適用から除外されますし、ましてや「○○に効く」の宣伝は行えなくなります。

たぶんその辺りの事が、

注目すべきは、カイロプラクティック治療が子供の疝痛・寝小便・耳感染症・喘息に有効だという主張を証拠は支持しないと結論したこと。

実際にはどうなったかですが、どうも英国カイロ協会の上にカイロ評議会と言うのがあるそうです。カイロ評議会はカイロの規制に大きな権限を持つ団体のようなんですが、カイロで治療できる範囲も規制する権限もあるようです。このカイロ評議会はかなり狭くカイロの効果を限定していた様子が窺えます。英国ではカイロ評議会の規則に反する広告は英国広告基準協議会が取り締まるものになっているようです。

英国広告基準協議会は日本の公共広告機構に較べても遥かに強い権限を有しているようで、広告違反はかなり厳重に取り締まられるようです。サイモン・シンの主張に賛同と言うか、共鳴したネットの住人はカイロ術者の広告を虱潰しに調査し、違反があれば容赦なく英国広告基準協議会に通報を行なったようです。英国カイロ術者は2400名となっており、その1/4と言いますから600名ぐらいは通報された事になります。

どうもサイモン・シンの事件前から英国広告基準協議会はカイロ術者の広告に問題を感じていた様子が窺えます。ただこの事件の前には穏やかな対応で終始していたのが、この事件をキッカケに一挙に大問題化することになってしまったと見れそうです。

サイモン・シンの事件は、カイロ治療がこれまで謳っていた治療効果に根拠が無い事を一挙に周知させた事になります。これまでもカイロ治療に根拠が無いデータは蓄積されていましたが、これが事件のためにセンセーショナルに英国中に広がり、さらにカイロを叩けに発展したと考えます。

おそらく英国カイロ協会は、それまでもカイロ批判が断続的にあり危機感を強めていたと推測します。状況的にはホメオパシーが保険適用から外れる話が相当段階まで進んでいますから、次の標的がカイロに向わないか危惧している心理状況です。そういう中で著名なサイエンス・ジャーナリストであるサイモン・シンがカイロ批判を強く展開したので、今回は静観するのではなく反撃して封じ込めようと企画したと考えられます。静観しているとサイモン・シンの主張がさらに強いカイロ批判になってくると予想したと推測します。

しかしその企画は完全に裏目に出る事になります。ここは7/24のコメ欄でmoto様が掘り起こされて推測された状況が正しそうに感じます。英国カイロ協会の動きはネットの住人にとって言論弾圧と捉えられたと考えられます。言論弾圧に反応したネットの住人は、被害者であるサイモン・シンを支援するためにカイロ治療に効果が無いことの証拠集めに突っ走ったと見れます。

一旦そういう方向に走り始めると凄まじいパワーを発揮するのがネットで、次々と「カイロ治療は無効」の根拠が掘り起こされていったと見ます。その次に、そういう状況への対応に英国カイロ協会が有効な対応が行なえないと言うか、無視するような行動を取ったと受け取られたと推測します。それならばと、誰か知恵者が英国広告基準協議会を使う手法を提案したと考えられます。

日本でも見た事のある状況ですが、これに呼応したネットの住人がカイロ術者への直接攻撃に戦術を切り替え、騒ぎがさらに拡大したと見られます。足許に火が付いた英国カイロ協会は反論を試みますが、反論のために提示した治療の根拠は寄ってたかって粉砕され、さらにネットの住人のボルテージが上るみたいな状況が推測されます。

まさにヤビヘビ状況の極致みたいな物で、名誉毀損訴訟でサイモン・シンの口を封じようとした行為は、

  1. 当初はカイロ治療よりも言論弾圧で反感を呼ぶ
  2. 弾圧に対抗するためにカイロ治療の無効性の情報収集が行なわれる
  3. それでも英国カイロ協会の反応が鈍いと見るや、カイロ術者への広告違反攻撃に進む
  4. 中途半端な反論は速やかに粉砕され火に油を注ぐ状況になる
  5. 結果としてカイロ治療の無効性が周知される
英国カイロ協会が起した名誉毀損訴訟は巨大なストライサンド効果になって、英国カイロを叩きのめしたと言う事です。


名誉毀損訴訟の結末

法体系が違う(そもそも知らない)のと、全容を把握し切れていないので歯切れが悪いのですが、名誉毀損訴訟ので法廷の天王山になったのは、サイモン・シンの主張が「意見」であるか「事実」であるかであったようです。どうも英国カイロ協会は「事実」であると主張し、その主張は当初認められていたようです。この辺は「事実」と「意見」では名誉毀損の線引きがかなり変わると言うのがあるようです。

事実であれば被告のサイモン・シン側は事実である事の証明が必要になるようで、意見であれば信ずべき根拠があれば表現の自由の範疇になるみたいな感じが窺えます。訴訟自体は事実か意見かでもっぱら争われ、当初事実と認定されていたものが上級審でひっくり返って意見となったのが訴訟自体の動きのようです。

ここは情報不足で判然としない部分なんですが、カイロ治療の有効性の根拠が争われたのは法廷論争と言うより主に場外戦であったみたいです。訴訟が注目を集め、世論の展開がカイロ治療の根拠を求める方向性に動いたんじゃないかと想像しています。カイロ治療の根拠が無ければサイモン・シンは責任を問われるはずも無いみたいな感じです。

その声に耐えかねて動いたら自爆になってしまったのが実相とも考えています。この辺は情報不足で私にはよく判りません。ただカイロ治療の根拠が否定されれた状態で、事実が意見に変われば英国カイロ協会に勝ち目がなくなります。根拠のある意見(カイロの治療効果に根拠が無いこと)を主張することは当然許されるものであるからです。英国カイロ協会が勝つには、サイモン・シンが根拠とした事実を捏造であるぐらいまでの立証が求められるからです。

これは余談ですが英国の民事訴訟も甘くないようで、サイモン・シンが一歩前進にこうあります。

サイモン・シンは、「判決はすばらしいが、高々数単語の意味を定めるのに20万ポンドを要した」と述べた。

20万ポンドと言えば2700万円ぐらいになります。ここは著書になった「Trick or Treatment」が売れて少しでも回収できることを願っておきます。もっとも英国カイロ協会は同程度の弁護費用と、ちょっと試算できないほどの損害を蒙っていると考えられますから、もって瞑すべきとしないといけないでしょうか。


最後にこの経過を詳細にまとめられた忘却からの帰還様に深い敬意を捧げます。