東京に行ってきました

ギリギリまで行くか、行かないか迷っていたんですが、全国医師連盟準備委員会 総決起集会に出席してきました。大会が東京である事は地理的に理解できるのですが、どうも東京は縁が遠いところで、なんと四半世紀ぶりの訪問ですから、それだけでドキドキです。完全に「おのぼりさん」状態での東京行きになりました。

神戸からなので新幹線を選んだのですが、新幹線自体が友人の結婚式以来で、笑わないで下さい、生まれて初めて「のぞみ」に乗りました。新幹線も変わりましたね。既に常識なんでしょうが、食堂車もビュッフェも無くなっていたのはちょっと寂しい感じでした。その前に乗ったときには「グランドひかり」で二階建ての食堂車でビールを飲みながら行ったのが無性に懐かしく感じました。

品川って駅が出来ていたのにも驚いたのですが、会場の東京ビッグサイトにも仰天しました。いやぁ〜デカイ。建物だけではなく周囲が日本とは思えないぐらい広々していまして、やっぱり東京は日本の首都だと改めて感心しました。

会場にはなんとか潜り込んで、まず小松先生、本田先生の挨拶と講演を拝聴しました。一部に批判があるようですが、医療崩壊については代表的なオピニオンリーダーですから、一度ぐらいライブの声を聞いておかなければならないと思っていたのですが、その願いがかなっただけでも東京まで出かけた甲斐があったと思います。

小松先生の挨拶がある前に前長野県知事田中康夫氏が来られているのにも驚きました。詳細はよくわからないのですが、小松先生が誘ったとか何とかとありましたから、飛び入りみたいな感じらしいのですが、大会に華が添えられたと思い素直に喜びました。田中氏自体は評価が分かれる人ですが、華があるのだけは間違いありませんし、個人的には生で見るのは初めてでしたから、田舎者としては「さすがは東京」とそれだけで嬉しくなってしまいました。

でもって小松先生の挨拶です。挨拶と言っても20分以上はある堂々たるもので、スライドを使った本格的なものでした。ライブはもちろん初めてなんですが、えらく熱気がこもっているだけではなく、熱気がこもりすぎて、時につっかえながら話されているのが印象的でした。小松氏もこの手の講演は何十回も行なわれているはずなので、「こういう話し方をする人」とこれもまたごくごく素直に感じながら聞いていたのですが、後で聞いたらやっぱり「異様な熱気」だったそうです。普段を知らないのでそれ以上は分からないのですが、小松先生の熱気のこもった講演を聞けただけでも今回の大会は価値があったと言えるかもしれません。

続いて本田先生。こちらの講演は小松先生と打って変わって、流れるような講演でした。小松先生のお話は事故調に中心を置いたものでしたが、本田先生の方は医療崩壊全体についてのものです。さすがに何回も講演されているでしょうから、緩急や笑いのツボを抑えたお話でしたし、100分という時間を忘れさえてくれる上手さもありました。ただ語られている内容自体は、集まっている医師にとっては少しレベルが低かったかなという印象です。

本田先生は啓蒙のために普段講演を行なわれているので、啓蒙すなわち「蒙を啓く」であり、これから医療危機を知ろうとする人には適していたと思いますが、インパクトを付けるために話の細部や比喩を単純化しているところが多々あります。もちろんそうしないと啓蒙にならないのですが、おそらく本田先生批判はこの啓蒙レベルであるが故のものと感じました。聞き手の質がそろっているところでは良いのでしょうが、妙に先鋭化している者が聞けば批判も出るという事です。

ついでですが我らが代表座位(黒川)先生です。これは場慣れが必要ですね。本田先生の後ですから、余計に可哀そうでしたが、見劣りするのは致しかたありません。上手に流れるように講演しなければならないわけではありませんが、もう少し経験を積まれる必要があります。結成大会までには頑張っていただきましょう。大いに期待を込めてです。

その後の懇親会ですが、なんと言っても顔を知らない方ばかりですから、妙に緊張してしまいした。それでもビックリするような方にお会いできました。伊関先生です。伊関先生は丹波で講演会があったときに誘われた(伊関先生ではありません)のですが、結局行けなかったので初対面です。勝手なイメージでもう少し小柄な方と思っていたのですが、長身のすらりとした先生で、それだけでちょっと驚きました。

丹波での失礼をお詫びした後、少しお話させて頂きました。ここで出して良いかわかりませんので、詳しくは触れませんが、ある地域の医療体制の再構築についての依頼があると話されていました。べつにその地域だけではありませんが、そこの地域でも全然足りないジグソーパズルを組むようなものですから、「大変ですね」と月並みの感想だけお話させて頂きました。

後はネット上でしか存じあげなかった、著明なブロガーの方やコメンテーターの方とたくさんお会いできました。すきっ腹にビールが大量に流れ込んだのと、あまりの数の多さに、今朝も名刺を見ながら顔と名前が一致していない先生がおられることをお詫びしておきます。あえてと言えば、割り箸訴訟で勇名を馳せた「いのげ先生」とお会いできたのは感動ものでした。

いろいろありましたが、翌朝は二日酔いでヘバヘバで、子供がうるさく言っていた東京タワーだけ生で見てきました。とは言え時間が殆んど無かったので、本当に外から見ただけで、東京タワー下のタクシー乗り場から、そそくさと品川駅に向かう羽目になってしました。次回があるかどうかわかりませんが、次こそはもう少し東京観光をしたいと思っています。土地勘のないところで、蛛の巣のような電車網を乗り継ぐのは大変な事だけは良く分かりました。

つ〜ことで、今日は田舎者の東京見聞録でした。しかし今回もなんにも見なかったとちょっと反省しています。