ちょっと御紹介

いつも愛読させてもらっているブログにMidnight氏の「ただ自分のための・・・」があります。Midnight氏はブログを読む限り、大学卒業後、近鉄関連の会社に就職し、その後独立して頑張っておられる経営者です。そういう方のブログは世の中に幾つもありますが、この方のブログは書き方の姿勢が非常におもしろいのです。

結構長く書いてられるのですが、まずほとんど時事は追いかけない、自社の経営の愚痴的な話も書かれない、ひたすら経営理論の勉強の事を書き連ねられております。もちろん成功者の自説展開みたいな話ではなく、ご自分で勉強されたビジネス理論が実地とどれだけ合うか、書いてある通り正しいのだろうか、どうやったら理論を経営に反映する事が出来るのだろうかのみをテーマに連載されています。

診療所も経営ですから、ビジネス理論は知っておくべきことだと考えています。もちろん医療と言う枠組みがある以上、ビジネス理論を巧みに導入して売り上げ倍増みたいな事は期待できませんが、ちょっとしたヒント、考え方や見方を変えることで経営の質を少しでも向上できると思うからです。

医者は勤務医を経て開業します。勤務医時代は基本的に経営には無知です。経営技術を習得する事よりも、医療技術を習得する事がはるかに重要な使命であるからです。全部とは言いませんが、かなり多くの医者が自分で行なっている医療の単価を知りません。また薬の単価も把握していません。値段よりも病気の治療にどれだけ有用かが判断基準の基で、値段を考えながら治療方針を決める医者は稀と言っても良いかもしれません。病気に対し最善の行為を行う事がすべてで、それが儲かるか儲からないかは、ほとんどの医者は眼中に無いと言えるかも知れません。

ところが開業するとそうはいきません。もちろん病気に対して最善行為を行う事には変わりありませんが、一方で経営を頭に置く必要があります。職員を何人雇うかも問題です。診療に最善の人数と、経営が耐えられる人数が一致していれば問題ありませんが、世の中そうは甘くありません。職員の士気も常に念頭に置く必要があります。勤務医時代なら与えられたスタッフがハズレなら文句を言ったら、誰かが善処してくれますが、自営であればすべて自分で対処しなければなりません。患者の数なんかも勤務医であれば「ヒマな方がラク」ですみますが、自営であればそこでの穴埋めを常に念頭にありますし、放漫経営は夜逃げにつながります。

経営となればビジネス理論のイロハぐらいは勉強しておくべきなのでしょうが、勤務医をしながらそんな時間が取れるはずもなく、また勤務医から開業までの間は、種々の事務作業が山積しており、開業日までにキチガイじみた日程がありますので、到底そんな余裕はありません。そういう点でMidnight氏のブログは非常に参考になります。

氏が非常に勉強家であるのは読めばわかります。そのうえ有り難いのは、氏が学んで咀嚼した事を書いてくれるのです。だから非常に分かりやすい。またうちと違って非常に簡潔かつ明瞭に書いてありますので、私のような経営の素人でも読めば「なるほど、そういう理屈か」と納得しやすいのです。もう少し言えば氏も勉強中なので、氏が試行錯誤している事柄を時に一緒に考えることが出来ます。自分も考えることは非常にタメになると言えます。

おそらく氏は勉強のためにしっかり投資されているのでしょうが、私はそれを無料で便乗しているみたいなのが心苦しいぐらいです。まあその辺はネットで公表しているのですから、読んだら悪いわけではありませんが、素人経営者が即席で勉強させてもらうには本当に有り難いところです。

勉強の成果ですが、今まで素人判断で行なってきた経営方針は、おおよそ間違ってなかったことは確認できました。もっとも診療所経営なんてビックリするような裁量の余地は少ないのですが、それでも確認できたのは安心につながります。

最後に、これは常々Midnight氏に大変申し訳なく思っていることなんですが、最近自分のブログの話題が医療系の重い話に傾き、話の流れから軽い話題、全然畑違いの話題を書きにくくなっています。自分のブログですからなにを書こうが勝手なんですが、気分としては自縄自縛の雰囲気です。そんな気分転換に、氏のブログに対してまったく違うことを考えるのは精神衛生上、頭のリラックスに大変役立ちます。結果としてそんなお相手をして頂く事になり少し気がとがめています。

今日は気分転換と経営の勉強のために愛読させてもらっているブログの紹介をさせて頂きました。これからもよろしくお願いします。ところでずっと謎なんですが、氏の商売は何なんでしょうか。出てきそうでまったく出てこないのも不思議なところで、その辺で生臭くならないのも良いところかもしれません。