2年ぶりの優勝を目指して秒読み段階のタイガースですが、虎党の面々に衝撃をもたらすニュースが舞い込みました。良い意味でも悪い意味でも、日本の株式市場に旋風を巻き起こしているあの村上ファンドが阪神電鉄及び阪神百貨店の株を買い占め、阪神電鉄ではなんと筆頭株主に躍り出ています。
村上ファンドが阪神電鉄株を取得した目的ですが、HPにこう記されています。
村上ファンドの阪神電鉄株取得に対するHPの原文が、PDFファイルで、なおかつコピー&ペーストできなかったのでしかたがないので書き写しました。とりあえずサラッと読むと一見毒にも薬にもならないような無難な文章ですが、もちろん本音はチラチラと見え隠れしています。
この村上ファンドの目的ですが、これもHPに明記してあります。
■ 「上場」の意義
会社が株式公開する目的は第一義的には資金調達にあります。そして公開した以上は、株主価値・企業価値を向上させる責任が経営者にはあります。
■ コーポレートガバナンスの実現による株主価値の向上株主利益に基づいて企業統治(コーポレートガバナンス)を実現 させることで、当該企業の株主価値の向上を促していきます。会社資産のより有効な活用、事業の選択と集中、企業統治構造の改善などの提案を必要に応じて行っています
要するに
- 「企業は株主のものであり、企業を経営するものは株主の利益を最優先して考えるべしである。株主の利益とはすなわち株価が上がる事、さらに配当を可能な限り多くする事である。」
これを間違った思想であると言う気は毛頭ありません。商法の基本思想もそうなっています。またこれまでの日本の経営思想があまりにも株主軽視であった事も間違いありませんから、村上ファンドが主張する事に十分理があると考えています。また株の買占めもライブドアの堀江社長ではありませんが、「売っているものを買ってなぜ悪い」で上場したからには株は当然自由に売買され、資金さえあれば買い占めてもなんら悪い事はありません。
ただし村上ファンドのやり口はあまり後味の良いものではありません。大量の保有株を背景に配当の増額を要求し、高額配当のニュースで株価が上がると株を叩き売って巨額の利益を確保するのが常套手段ですから、村上ファンドが通り過ぎた後は、利益を絞りとられてスカスカになった企業が残る事になります。村上ファンドの巧みな動きによって一時的に株価は上がり、村上ファンド以外の株主も利益をある程度受けますが、村上ファンドが去ると企業の体力の低下が問題視され、株価は以前またはそれ以下に戻ってしまいます。
阪神電鉄株所得のコメントにもこの常套手段をやることを端々に明記してあり、関西人の魂である阪神電鉄及びタイガースの行く先にキナ臭いものを感じてしまいます。村上ファンドの思想はあくまでも短期的利益の取得を目標としており、長期的計画に基づいての一時的損失には無頓着ですから、阪神電鉄が近い将来行なわなければならない甲子園球場の改築計画に大きな影響が出ないか心配です。
と、村上ファンドの手法に辛口の批評をしたのですが、たしか村上ファンドは巨大な利益を上げているはずです。また今のところ向かうところ敵無しの常勝将軍です。それに運営している資金は村上世彰氏の個人資産ですべて運営されているわけではなく、村上ファンドに投資している投資家の資金の上にのっかって運用されているはずです。となれば私も村上ファンドに投資すれば莫大とまで言わなくても、結構な利益を手にする事が出来るんじゃないでしょうか。
こんなにうまい儲け口が連日報道されているのに気づかないとは私も迂闊でした。さっそく村上ファンドのHPを見直したのですが、個人投資の方への御案内は残念ながらありませんでした。世の中甘くないのですかネ。