パ・リーグのプレーオフ

パ・リーグのレギュラーシーズンが終わりました。首位は2年連続のソフトバンクで勝率.664、2位は今年大旋風を巻き起こしたロッテで勝率.632、3位は去年の覇者西武で勝率.493。ここでソフトバンクに「優勝」という言葉がつかないのはこれからこの上位3チームによるプレーオフがあるからです。

プレーオフ制度は去年から導入され、その是非について議論はありましたが、興行的には大成功し今年も引き続いて行なわれます。去年もレギュラーシーズン2位の西武が1位のダイエーを倒してリーグ制覇を果たしただけではなく、日本シリーズも落合中日を破って日本一になっています。

プレーオフ出場チームはレギュラーシーズンの上位3チームに資格が与えられ、去年がダイエー、西武、日本ハム、今年がソフトバンク、ロッテ、西武となっています。ここでやはり気になるのが3位のチームの成績なんです。去年の日本ハムも勝ち越しひとつで、首位のダイエーに14ゲームも離されていましたが、今年の西武は負け越し2つで首位ソフトバンクに18.5ゲームも離されています。

実力的には今年レギュラーシーズン3位である西武がロッテ、ソフトバンクを撃破して優勝するのは難しいでしょうが、短期決戦ですから何が起こるかわかりません。チームの微妙な勢いの変化で優勝するかもしれません。日本シリーズだって同様です。そういう制度であり、そういう事も含めてがプレーオフの醍醐味であると言われればそれまでなんですが、レギュラーシーズンで2つも負け越したチームが日本一になる可能性があるのは釈然としないものがあります。

阪神のマジックは1ですからセ・リーグ優勝は間違いありませんが、日本シリーズの相手が西武でさらにこれに負けるような事があれば阪神ファンとして許しがたいものであると思ってしまうのは私だけでしょうか。2年前に星野阪神ダイエーにシリーズで敗退し、悔しい思いをしましたが、ダイエーもまた王者に相応しい成績でパ・リーグを制し、シリーズでも阪神を一枚しのぐ実力を示しましたので悔しいだけで不満ではありませんでした。

これが今年の相手が西武なら無茶苦茶悔しいと思います。悔しいだけではなく許しがたいと感じてしまうのは私だけでしょうか。せめて去年のように2位のロッテぐらいならまだ許せる余地も生じるかもしれませんが、負け越している西武ではまったく余地がないと思います。

翳りが生じていると言われるプロ野球ですから、様々な工夫やしかけを凝らすのはわかります。ついに実現した交流戦も企画としては良かったと思います。ただし6球団しかないリーグで3球団もプレーオフ進出チームを作るのは基本的に無理があるのではないでしょうか。興行としてはプレーオフ進出チームが多いほど試合数も増え盛り上がるでしょうが、肝心の優勝チームの成績や実力がフロックであると思われる制度は重大な欠陥を抱えていると感じてしまいます。

シーズンの展開は年毎に違います。首位がぶっちぎりの独走で終わる事もあれば、2強、3強のマッチレース、さらにウルトラ団子の混戦レースになることもあります。プレーオフに3球団も出場させ、さらにその勝者が優勝チームに相応しいと考える事が可能な展開は、3強以上のマッチレースのときだけです。

プレーオフ制度がもっと前からあれば、プロ野球伝説の川崎球場の10.19は存在せず、さらにあの翌年のブライアント3連発の爆勝ドラマもさして意味はなくなります。近鉄の例ばかり出して申し訳ないのですが、北川のサヨナラ満塁本塁打も感動が半減以下になります。もし今年、西武がプレーオフを制し、日本シリーズで優勝したらプレーオフ制度は大きな批判の的にさらされるのは間違いありません。そういう事が起こりうる制度自体がおかしいと言わざるを得ません。

まあそれでもプレーオフ制度が興行的に美味しいのは事実ですし、あれだけ非難の声を上げていた読売もセ・リーグでの導入に前向きになっています。もしセ・リーグも導入するのなら、レギュラーシーズンとポストシーズンを切り離して運営したらどうでしょうか。

つまりレギュラーシーズンの首位チームにはまずリーグ優勝の栄冠を与える。この事についての異議はほとんど出ないと思います。一方でポストシーズンはレギュラーシーズンの1位、2位のチームに出場資格を与え、セ1位とパ2位、パ1位とセ2位がまずプレーオフ1回戦を戦い、勝者が日本シリーズに出場し日本一を争そうです。この仕組みの最大の問題点はリーグ優勝チームが日本シリーズに出場できない可能性が出てくることですが、少なくとも負け越しチームが日本一になるよりはましな制度と考えます。

いずれにしても長いペナントレースの結果を、プレーオフの出場権取得レースにする事自体に大きな無理があります。今年のパ・リーグプレーオフがどうなるかはわかりませんが、タイガースの相手にどのチームがあがってくるか別の意味でも興味深いところです。