阪神ファンの目の上のタンコブ

巨人でも中日でもロッテでもありません。村上ファンドです。この勢いなら50%を越えるのも時間の問題のような気がします。50%を越えると規則上なんでもできます。タイガースをオリックスに売り払うのも、甲子園を更地にしてマンションを建てるのも、すべて村上ファンドの意のままです。

「経営には直接関与しない」と繰り返し言明しているようですが、こんなもの「気が変わった」と一言いえばすべて終わりです。西梅田に持っている不動産とか六甲山の施設を売り払って、株買戻しの資金を作れと脅迫を続けているようです。買戻しの資金にもなるでしょうし、短期的に利益が上がるのでその期待による株価上昇で売り抜ける算段であることは誰が見ても明白です。

松坂屋でもえらい提案をしているようで、従業員全員解雇して、その退職金で従業員が株を買い戻せと脅迫しているそうです。もちろん買わすのは自分の所有株です。そうでなければどこか支店を2、3軒潰して売り払って資金を作れといっているようです。

村上ファンドも登場した頃は企業が株主を軽視しすぎる日本の企業風土への改革者の一面を評価する声もあり、私もなんとなく評価していましたが、こう何度も株をずるがしこく売り抜ける手法を見せ付けられると、まさしくハゲタカファンドの正体見たりの観があります。偉そうな顔をして、ご高説をぶつだけぶって、最後は高値で売り払って涼しい顔をする。襲われた企業では長年苦労して作った資金を根こそぎかっぱらわれる。これが犯罪でも、詐欺でも、脅迫でもないのがおっとろしい現実です。

いっそのこと阪神電鉄も自爆的防衛手段に出たらどうでしょうか。村上ファンド所有株以外の株をどんどん買い漁るのです。対抗して村上ファンドも買うでしょうが、たしか上場基準に特定の大株主が一定以上の株を独占してしまうと上場廃止なるはずです。村上ファンドの電鉄支配には直接影響は無いかもしれませんが、上場廃止の危機になるとより困るのは村上ファンドでしょう。

上場廃止となると株式市場で自由に株取引が出来なくなります。つまり村上ファンドが売り抜けようと思っても非常な制約がかかるわけです。どこかで売り抜けるために持っているわけですから、それが閉ざされるのが村上ファンドにとって一番痛いと思います。「経営には直接参加しない」はおそらくある意味本音で、あの人物は地道に稼ぐと言うのは肌に合ってないですし、それだけのスタッフとブレインも当然いないですから。

彼らの頭の中にあるのは買い占めた株をいかに高く誰かに買わすかだけで、株価を上げるための手法として、内部留保の切り崩し、所有不動産の叩き売りをさかんに提案するわけです。松坂屋なんか従業員の退職金まで買い取り資金に向けようとしています。

上場廃止も一つの策ですが、非常識な案ももう一つあります。株価が暴落するような不祥事を起こすと言うのもあります。電鉄会社ですから人命に関わるようなものは困りますが、粉飾決算だとか、先物取引の失敗であるとか、そこそこの損失を出せば株価は下がります。村上ファンドにとって株価が下がる事ほど困るものはなく、下がったからといって自分がノコノコ経営に乗り出すわけにもいかず、価値の下がった膨大な株券を前に途方にくれると思います。

それにつけても何をするにしても膨大な額の出血が伴うわけであり、なんにも良い事は電鉄にはありません。おそらく松坂屋もそうでしょうし、村上ファンドにたかられた企業全部がそうでしょう。また村上ファンド以外の株主も、一緒になって売り抜けた株主はともかく、資産運営のためにもっている人にとっては、村上ファンドに根こそぎ持っていかれた後で企業価値が下がった株をつかまされるわけですから、長期的には嬉しくありません。また企業防衛策が発動されても所有株の価値が下がるわけですから、まったく歓迎しないと言っても良いでしょう。

村上ファンドを率いる村上世彰氏は頭の良い人間で、証券取引法を熟知し入念に研究しているでしょうから、ライブドアのように尻尾をつかませるような抜かりは無いでしょうが、それにしてもやっている事の悪どさが余りにも鼻につきすぎる気がします。堀江前社長も拝金主義者として非難を受けていますが、それでもライブドアという実業を行なっていました。ところが村上ファンドとなると完全な虚業集団で、純粋にお金を転がす事だけで利益を得ている純拝金主義者です。こんな商売が野放しになり、大手を振って濶歩するのに首を傾げざるを得ません。

これもまた小泉政治の成果、いや徒花なんでしょうか・・・。