貧すれば鈍すの言葉どおり、こんな声が出てくるあたりに球界の危機が象徴されています。この人物が去年どんな工作をしたかをもう世間は忘れかけているようです。たしかに村上ファンドの阪神電鉄株買収騒動、楽天のTBS買収などで球界は揺れています。新興の企業の攻勢の前に旧来の球界秩序が危機に瀕しつつあるのは間違いないとして、その救世主に渡辺コミッショナー待望論とは困ったものです。
たしかにあの人物の政治的影響力は強力でしょう。新興企業に対抗する豪腕もあるかもしれません。しかしあの人物が考える理想の球界像とは一体なんなんでしょう。巨人と言う太陽を中心に運行される昭和30年代、40年代の再現をひたすら願う人物である事は周知のことです。今の時代にそんな事をされたら、プロ野球は壊滅します。そんな毒薬を頭に戴いて球界改革なんて期待したらどれだけ悲惨な明日があるかを少しは考えても良いかと考えます。
プロ野球界は変革を必要としています。今までのプロ野球は巨人人気にすがる事だけを中心に運営されていた歴史があります。これがどれだけ球界の発展を捻じ曲げ、阻んでいた事を思いだす必要があります。その巨人の影響力の源泉であった、実力と人気は長年の補強の失敗のツケがたまりにたまって地に落ちています。巨人の影響力が落ちた今こそ、球界を巨人を頂点とするピラミッド構成から、各球団が自立する水平構造に変える最大のチャンスです。この機会を逃したらまた昔に逆戻りしてしまいます。そんな肝心の時に旧勢力の象徴である渡辺コミッショナーじゃシャレにもなりません。悪い冗談にしか聞こえません。
こういう時こそ真の改革者が誕生して欲しい。あるべき理想を提示し、それへの道筋を明らかにし、その実現のために豪腕をふるう改革者が今こそ必要かと思います。渡辺前オーナーは豪腕だけは持っていますが、理念もビジョンも旧態依然であり、そういう人物を当てにしないといけない世界に明日は無さそうな気がします。
とはいえどことも人材難ですからね。