株式売買

株式売買という分野があります。縁の無い私にはもう一つ実感として理解しにくい代物なんですが、曖昧な理解ではこんな感じでしょうか。会社が事業拡大のために資金が必要となる。金融機関から借りるにも十分な担保が無い。そこで会社への出資者を募る事にする。出資者には資金提供の見返りとして会社そのものの所有権(資本)を与え、事業による利潤(配当)を提供する。そのかわり金利は発生しない。

一株なら全所有権、10株なら1/10の所有権を有する事になります。事業が成功して利潤が大きくなれば一株当たりの配当が大きくなり株の価値が上がります。その代わり事業が思わしくない時は配当が低くなったり、無くなったりするので株の価値が下がります。

もうひとつ会社の所有権(資本)を切り売りしている株ですが、これは所有者(株主)の意思で自由に売買できます。株の価値が高くなれば、これを買いたいという人間が現れます。元の出資者も出資額より株に価値が出れば売り払う事により利益が得られるので、売買が成立します。それがスマートに整理されたのが株式市場と解釈すればよいでしょうか。

本来は事業成績に密着していた株ですが、商品として株式市場で取引されるものになると様相が変わってきます。株価の変動は事業成績に密着していますが、株価自体は元々の値段から飛び離れたところで取引される事になります。つまり一株100円とかが原価であるのに500円とか1000円とかで取引されます。

株価の上昇は経営者が新たな資金調達をするときには有利に働きます。所有権(資本)を大きくして新たな株を発行した時、信用の元である所有権は100円の価値なのに、株式市場では何倍もの価値が付いて売買され、大きな資金を容易に手に入れることが出来ます。ただし一旦手を離れた株は1個の商品となります。

私のような素人がどうしても理解できないのは、切り売りされた会社の所有権の断片である株の価値なんです。本来の株による利潤は配当だったはずです。一株の額面に対して幾らであるかのはずです。額面100円の株の1割を配当するとなれば10円です。私の記憶が間違いなければ配当は株式市場の株価ではなく、額面に対して行なわれたはずです。事業成績が良くて額面の3割配当をしたとしても30円で、株価が1000円であっても10000円であっても30円だったはずです。

となると株は売買を常に行なっていないと、いくら株価が上昇しても株そのものからは利潤はさして生じないことになります。えらく古めかしいと思われるかもしれませんが、そうとぐらいしかなかなか理解できないのです。

一方で一個の商品と化した株は有象無象の影響により乱高下します。所有するだけでは利潤が生じない商品ですから、株価が上がれば売りたい人間が増え、売りたい人間が増えれば株価が下がると言う事業成績とは無縁の動きを平気でします。もちろん安くなれば上昇をにらんで買うと言う動きも当然出ます。買う人間が増えればこれもまた事業成績と関係なく、株価は上昇します。

株式市場は売る人間と買う人間の神経戦の様相となります。天災、戦争、新商品開発、もちろん事業成績もですが、アングラ情報一つで株価は動揺します。たとえアングラであっても良いニュースがあれば買う動機になりますし、悪いニュースであれば売る動機になります。それは会社の利潤とか本来の成績と関係ない場合でも、大きく影響して株に携わる人間は右往左往します。

でもってなんですが、売ったり買ったりして注ぎ込まれる資金はどうなるのでしょうか。結局株を売買している人間の懐で右に行ったり、左に行ったりする以上のことは何か起こるのでしょうか。右に行ったり、左に行ったりするのに手数料は費やされます。回数が多いほど手数料は膨れ上がり証券会社は儲かるでしょうが、売買している当事者はその分だけ目減りしていると感じてしまいます。

この程度の理解の素人では株に手を出さない方が賢明なようですね。