小児科の診療報酬見直し方針

医療費削減の大号令の下、どうなる事かと密かに心配していた小児科の診療報酬ですが、この逆風の中、幾分でも増えると言う方向で検討されているとの事です。最終的にはまだまだ予断を許しませんが、大幅に下がると言う事はまず無く、最低限横ばい程度にはなりそうで当事者としては胸をなで下ろす思いです。

厳しい削減が予想される他の診療科の皆様にはお気の毒ですが、小児科はこれまでトコトン冷遇されていましたから、小児科の危機が叫ばれる中、これぐらいはお目こぼし頂いても罪にはならないと個人的には思います。それでも土壇場までにはまだ二幕も三幕もあり、最後はあっと驚くドンデン返しの結末が待っているかもしれませんが、ぬか喜びでも喜んでおきましょう。

詳細はまだまだ不明ですが前回の時に作られた妙な「時間外加算」も無くなる様で私としてはこれも歓迎です。妙な時間外加算とは平日でも午後6時以降なら、たとえ設定している診察時間が午後7時まであっても「時間外加算」をするというものです。儲かるから良いじゃないかとも言われそうですが、現実の運用は非常にやりにくいものです。

うちも午後7時までの診察なのでこれにひっかかる患者さんが出てくるのですが、受付担当者は非常にもらいにくいといつもこぼしていました。適応になる患者さんは、とりあえず午後6時以降に受付をした人にはなるのですが、午後5時59分と午後6時で「なぜ」扱いが変わるのかを理解してもらうのは至難の技ですし、いくらでも例外例は出てきます。

たとえば受付だけ早く済ませて遅れてくる患者さんも少なからずおられます。こういう患者さんへの対応は全般的にも困るのですが、診察券は午後5時頃に放り込んで、実際に来るのが午後7時ぐらいであっても、受付時間で区分すれば時間外対象にはなりません。一方で午後6時ジャストに受付をしたら時間外です。たしかに窓口には早く来ていますが、待っている患者さんからすれば料金が違うのは納得しにくいと思います。

またうちはしていませんが、予約診療制を行っているところではもっと矛盾が出てくる可能性があります。予約診療ではある程度機械的に順番を振り分けます。たとえ5時に電話しても予約が午後6時以降になると自動的に時間外となってしまいます。幸か不幸かこの制度は一般にはあまり知れ渡っていないから良いようなものですが、もし良く知っている人がいて「午後6時以降は値段が上がるからイヤだ」と強硬に主張されたら対応は非常に困ったものになる可能性があります。

物事には「常識的」というものがあります。医療での時間外の常識は通常の診療時間が終了し、一旦診療所が終了した後、患者さんの要請でもう一度開いて対応した時です。これは一般の方全員が考えている常識ですし、医療関係者もまたそう考えています。それを機械的に時刻で時間外にする方式は、払うほうも、もらう方も後味の悪い制度だったので無くなってもらう方がスッキリして良いんじゃないでしょうか。