三次試案受けての法制化案では事故調の法制化に伴い、
- 医師法
- 保健師助産師看護師法
- 医療法
- 死体解剖保存法
- 沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律
- 介護保険法
- 厚生労働省設置法
そうなると事故調の刑事手続きへの歯止めは、厚労官僚とか日医幹部が強調している、
刑法にも刑事訴訟法にも基づかず、なおかつ現場にいた人間のみしか本当の内容を知らない約束しか存在しない事になります。このうち「覚え書」の存在に関しては警察および法務省幹部が国会質疑にて明瞭に否定しています。これは厚労省が「覚え書」と認知していたとしても、警察・法務省はそういう代物と考えていない明らかな証拠です。口頭合意についてもオブザーバーとして出席していたので、事故調がそういう調査をする事は認めるが、警察が業務上過失致死の捜査を自らの判断でいつでも行う事は国会質疑で警察幹部が明言しています。それでも某日医幹部は「文書に出来ない合意事項がある」と都道府県医師会の説得に当っているようですが、刑法・刑事訴訟法が全く変わらず、捜査に関して独自の判断を保持する事を警察幹部が国会質疑で明言していますから、その信憑性は大いに疑われます。日本は法治国家であり、法にも基づかず、国会答弁でも否定された事柄に対し、それ以上の秘密協定があり「大丈夫」と断言されても誰が信用すると言うのでしょう。もっとも信用している医師会幹部が多いのには苦笑するしかありません。
もう一つ某日医幹部が絶対の成果と強調してやまないのが医師法21条の改正です。某日医幹部の主張を聞いていると、これさえ手に入れれば他の事はどんな譲歩を積み重ねても良いと聞こえます。では法制化にあたり具体的にどうなっているかを示します。
医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に、その旨を検案をした地の所轄警察署長に届け出なければならない。ただし、当該死体又は死産児について医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六条の十一第一項の規定による報告又は第六条の十二第一項の規定により読み替えて適用する第六条の十一第一項の規定による届出若しくは第六条の十二第二項の規定により読み替えて準用する第六条の十一第一項の規定による届出をしたときは、この限りでない。
なんの事やらミカンやらの改正21条ですが、どうも届出を免除されるのは医療法の、
- 第六条の十一第一項の規定
- 第六条の十二第一項の規定により読み替えて適用する第六条の十一第一項の規定
- 第六条の十二第二項の規定により読み替えて準用する第六条の十一第一項の規定
病院若しくは診療所に勤務する医師若しくは歯科医師が死亡について診断し、又は病院若しくは診療所に勤務する医師が死体若しくは妊娠四月以上の死産児を検案して、第六項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして、次に掲げる死亡又は死産に該当する可能性があると判断したときは、二十四時間以内に、その旨を当該病院又は診療所の管理者に報告しなければならない。
- 行った医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であつて、行つた医療に誤りがあるもの
- 前号に掲げるもののほか、行つた医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であつて、予期できないもの
事故調法案の構成上「その旨を当該病院又は診療所の管理者に報告しなければならない」として、後は管理者が事故調に届るかどうかを判断するのだと考えられます。どうにも読み取り難い文章で、これでメリットが大きいのか、デメリットが増幅するのかどうにもつかみきれないのが本音です。ちなみに管理者の事故調への届け出を受けて地方委員会が警察に通報する基準は5/22のCB記事にあるように、
- 故意による死亡または死産の疑いがある
- 標準的な医療から著しく逸脱した医療に起因する死亡または死産の疑いがある
- 事故事実を隠ぺいするために関係物件を隠滅・偽造・変造した疑いがあるか、同一または類似の医療事故を相当の注意を著しく怠り繰り返し発生させた疑いがあることや、それに準ずべき重大な非行の疑いがある