日経の「開業医の初診・再診料下げ」報道に対する厚生労働省保険局の正式見解が出ています。
平成19年5月・18日
厚生労働省保険局
この見解によれば
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開業医の初診・再診料を引き下げる方針を固めたと言う事実は全くありません。
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診療報酬改定の内容については、今後中医協において検討されます。
- 柳澤伯夫厚生労働相の指示により武見敬三副大臣、水田邦雄保険局長が緊急会見を行なった。
- 「厚生労働省においては、開業医の初診・再診料を引き下げる方針を固めたという事実は全くない。まだ検討もしていない」と公言。
- 読売新聞が4月22日付1面で報じた「後発薬を優先使用」も事実無根と公言。
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「後発薬を優先使用」も事実無根と公言
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現時点では公式には決まっていないが、すべては「今後中医協において検討」するからお楽しみに
厚生労働省よりも強い影響力を持つ人物、機関の発言を覆すだけの力は厚生労働省には基本的にありません。気概を持って覆せば責任者の将来は閉ざされると言ってよいでしょうし、そういう気概を持つ人物もまたいないと言って良いと考えています。今回の見解及び緊急会見の内容もまたその枠内に綺麗に収まるようになされています。
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現時点では何も決めていないが、中医協で決まれば当然それを実現させる
単純明快な構図ですが、これも敵失と考えます。困る人物がここまでの逃げを打ったのなら、逃げを打たせないように日医は釘を刺しに行かなければなりません。困る人物が直面しているのは夏の参議院選挙であり、困る人物の最大の支持基盤は日医です。日医は困る人物を選挙で支持しています。支持と言ってもたんに言葉だけのものではなく、実弾もともなった支持です。困る人物を当選させようと莫大な資金を投じているのです。
そうであれば公式の場で困る人物の政治信念、公約としての「開業医の初診料・再診料の引き下げ」の見解を糺さなければなりません。開業医の団体である日医にとって「開業医の初診料・再診料の引き下げ」を政治信条にするような議員を支持するいわれは何もありません。実弾を提供して、汗をかき当選させ、「開業医の初診料・再診料の引き下げ」に嬉々として加担されたのであれば無駄な投資も良いところです。
無駄どころか「開業医の初診料・再診料の引き下げ」を政治的功績にされて党内的にご出世されても、日医は完全に泣きっ面にハチであり、ピエロ以下の笑いものです。いかに高名な元日医会長の息子とはいえ、そこまで踏み台にされる理由はありません。だからこの機会に乗じてこの困る人物の首根っこをつかまえて「イエスかノーか」を明言させる踏絵を日医は踏ませなければなりません。
もっとも政治家ですから選挙が済めば「政治情勢の変化により」と言葉を翻すのは簡単ですし、この困る人物だけ縛っても医療情勢が大して変わるわけでもありませんが、選挙前から「開業医の初診料・再診料の引き下げ」を公約とする議員に実弾を費やす愚行だけは避けられます。
でもしないでしょうね。日医は内部的には路線闘争でガタガタみたいですからね。