学会を作ろう4

長めのシリーズになっているのでサマリーを

  1. では医療事故に対する専門家による公平な第3者機関として医療事故防止学会を作ろうでした。
  2. では学会を作るのは簡単ではないので既製の学会で近い路線のものは無いのかと言うものです。現在のところまだ見つかっていません。
  3. ではどうも既製の学会に相応しいものは無さそうなので、実際に作るならどこから手をつけるかを考えました。学会自体は自由に作れそうですが、問題は学会の信用性で、信用性を得るためには、有力な発起人を集める必要がある事がわかりました。
それを受けての4回目です。昨日のエントリーに対するコメントで、befu先生から発起人および設立母体に「周産期医療の崩壊をくい止める会」を活用したらどうかの提案がありました。実に素晴らしい提案です。コメントでご指摘の通りで、うちのブログは貧弱ながら「周産期医療の崩壊をくい止める会」とは相互リンクの関係であり、それぐらいの提案は出しても唐突では無いと言えます。検討してくれるか、してくれないかはわかりませんが、微弱ながらも関係はあるのですからやってみる価値はあります。

という訳で昨日さっそく事務局にメイルを送りました。この辺はネット時代の便利さです。もちろん返事はまだですが、相互リンクと言う弱いながらも広い意味の関係者ですから、そのうち返事ぐらいは来るでしょう。当面は返事待ちでいます。可能性は高くないとは考えていますが、もし幸便であれば、この思い付きの構想は机上の空案から、一挙に具体的現実的な物になります。せいぜい期待して待っていましょう。

昨日の夜にもうひとつ浮かんだのですが、m3.comの医者用掲示板に提案を書いてみたらどうだとも考えました。m3.comの参加者が乗ってくれれば医者世論の構成に有力な手段ですが、無視されると寂しいので考えどころです。「周産期医療の崩壊をくい止める会」の返事が幸便であれば説得力がありますが、個人提案では影響力が乏しいとも考えます。とりあえずこれも返事が来るか、返事が来そうに無いのを確認してから動く事にしようと考えています。

後ろ向きに考えても仕方が無いので、学会は出来るとして運用を考えたいと思います。従来の学会では大会があり、そこに希望者が発表演目を携えて来場し、来場した者が討議すると言う形式がほとんどではないかと思います。しかし医療事故防止学会では、突発的にいつ起こるかわからない医療事故に対し迅速な対応が出来ないと考えます。大会形式で検討される課題とは別に、突発的な医療事故に対する素早い反応が学会には欲しいところです。

医療事故に対する対応も類例が蓄積されれば、それに対する事故か過誤の判定基準は出来上がると考えます。私の狙いは医師が専門家としての判断基準を、世の中に統一基準としてアピールすることが非常に重要であると考えています。これまで医師サイドからすれば事故としか思えないものが、司法で過誤と認定されてしまうのは、医師サイドの足並みの乱れが大きいと考えています。検察側の鑑定医師となった人物がしばしば提示する「そんなもの出来るわけが無かろう。お前なら出来ると言うんか」という後だしジャンケンの典型のような鑑定書です。

こういうものが検察で恣意的に作成され、医師側の多数が現実的には実行不可能と考える治療法を後日にシャアシャアと作られ、それが訴訟の場では魔王のような威力を発揮する理不尽さを解消しなければなりません。これに対抗するには医者側があらかじめ統一対処基準を定めておく必要があります。

ここで学会が結成され、そこで慎重討議の結果の基準が出来上がれば、功名心に駆られた一部の医者の暴走は異端論として排除できると考えます。学会基準と個人の医者の見解では重みが違いますし、結果論でしか論じられない「医者がその場で出来うる標準的な医療を尽くしたか」の医者側の考える基準を堂々と主張できます。

考えれば考えるほど現在の厳しい医療情勢に不可欠な学会と思えてきます。将来的には行政による第3者機関の設置も考えられますが、行政主導では医師側の望むものとは程遠いものが出来上がる可能性が大です。そういうものが出来上がる前に医者側の統一基準を作り上げる必要があり、その原動力となるのが医療事故防止学会になると考えるのですが、道は遠いですね。

「周産期医療の崩壊をくい止める会」からの幸便を期待します。