少子化対策考

子育て支援は出生率低下の歯止めにはならない」とのコラムがありました。あっと驚くような視点ですが、たしかに統計はそれを物語っています。このページを見つけたのは子供を生まない女性も増えているが、兄弟数(出産数)も減っている事の根拠を見つけるために統計データを探しているときに見つかりました。

読んで頂ければそれまでなんですが、引用しながら解説を加えます。合計特殊出生率とは出産可能な女性の出生率のことです。ちょっと粗いですが、解釈としてそれで十分かと思います。これが低下すれば少子化進み、人口も減少に向かうのですが、この数字が下がっているのは母数の中の産まない女性の比率が増えているだけで、普通に結婚して、普通に子供が欲しい女性の子供数はあまり変わらないと言うのです。

正面から兄弟数を捉えている統計は無いそうです。その代わりに生まれた子供が何番目の子供であるかの統計はあるそうです。それによると平成15年度統計で、1人目は54万7272人(49%)、2人目は41万9179人(37%)、3人目以上は15万7377人(14%)だそうです。過去のものとの比較がいるのですが、


年度
1人目2人目3人目以上
昭和45年45%38%
15%
昭和60年43%39%
18%
平成10年49%36%
15%
平成15年49%37%
14%

たしかに3人目以上の比率は昭和60年に較べては少ないですが、その前の昭和45年に較べてさほど変わるわけではなく、人々が思うほど兄弟の数は変わっていない一つの裏づけになります。もちろんこの「3人以上」の分類の上限は違う部分があるでしょうが、子供を生む気のある女性の子供の数は昭和45年と較べてさほど変わっていないと取る事は可能です。現物は厚生労働省の統計データにありますからヒマな方は読んでみてください。

となると少子化対策で現在最もやかましく言われている「子育て支援」ですが、これをいくら手厚くしてもこのデータの前では効果は「???」という事になります。どうも実感とのギャップに書きながらでも悩んでいるのですが、データは確かにそう物語っています。本当はここでのテーマは3人目以降を産んでもらうインセンティブな育児手当を書こうと思っていたのですが、えらいものを読んでしまい挫折した次第です。

データでは女性が子供を産むと決意したら、その数は過去(少なくとも昭和45年から)も現在も産む数はあまり変わらない事を示しています。このデータだけに基づいて少子化対策を考えれば、産む気になった女性の子供の数が変わらないのなら、子供を産まない女性になんとか「産む気」にさせる方策が重要となります。

どうやら女性の意識は「産む」、「産まない」に完全に二分され、「産まない」派が年を追う毎に勢力を増しているのが問題となります。「産まない」女性に産んでもらうためには、方策は二つ考えられます。短期的には子供を産む事がどんなに素晴らしく、産まないよりも遥かに幸せであると思わせ、産むように気が変わってもらう事です。長期的には女性は子供を産む事が最高の幸せと子供の頃から教育洗脳しておくことです。

どちらもどう考えても不可能です。そんな事を正気で主張したら、世の女性から石を投げられて死んでしまいます。間違いなく言えることは「少子化対策」に決定打は無いということのようです。