事故調の構成は三次試案では、
- 中央委員会
- 地方ブロック委員会
- 調査チーム
- 中央委員会及び地方委員会は、それぞれ、委員二十人以内で組織する
- 中央委員会及び地方委員会に、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、臨時委員を置くことができる
- 中央委員会及び地方委員会に、専門の事項を調査審議させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる
- 委員
- 臨時委員
- 専門委員
委員の任期ですが、
- 委員:2年、再任可
- 臨時委員:担当調査が終われば解任
- 専門委員:担当調査が終われば解任
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ただし、地方委員会の委員のうち四人以内は、常勤とすることができる。
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中央委員会及び地方委員会に、それぞれ、委員長を置き、委員の互選により選任する。
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委員長は、会務を総理し、それぞれ、中央委員会又は地方委員会を代表する。
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中央委員会及び地方委員会は、それぞれ、委員長が招集する。
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年間2000件を一つの中央委員会で処理する
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232(日)× 8(時間) = 1856時間
では地方委員会はどうかと言えば、これを地方厚生局に置くとしていますから全部で8つになります。人口が違うのですが、地方委員会あたり年間平均250件の処理が求められます。そうなれば勤務日数から勘案すると1日あたり1件強の処理が求められます。中央委員会の1時間よりマシですが、それでも相当な案件処理速度です。
これは試案ではなく法制化案ですから、事故調が始動すれば実際にこれだけの処理能力が委員には要求されます。これより長引けばひたすら滞積されます。1日1件の地方委員会も超人的ですが、1時間1件の中央委員会は超人そのものです。事故調は中央委員会に20名の超人委員と地方委員会に160名の超人的委員を必要としている事になります。
ところでなんですが、三次試案に書かれていた調査チームですが、委員構成からして地方委員会の臨時委員、専門委員が従事すると漠然と思っていましたが、一概にそうとは言えなさそうな条文があります。「医療事故調査等の委託」なる項目があり、どこに委託するかなんですが、
地方委員会は、医療事故調査を行うため必要があると認めるときは、調査又は研究の実施に関する事務の一部を、独立行政法人、国立大学法人、地方独立行政法人、民間の団体又は学識経験を有する者に委託することができる。
おそらく医師にとって具体的には、
- 旧国立病院
- 大学病院
- 公立病院
さらに関係行政機関等の協力なる条文もありまして、
地方委員会は、医療事故調査を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長、関係する独立行政法人の長又は関係する地方独立行政法人の理事長に対し、資料又は情報の提供その他の必要な協力を求めることができる。
これも簡単に言えば都道府県知事、市町村長、学長、病院グループの理事長などに委託要請を強力に求める事ができるものと解釈できます。どの病院も通常業務だけで目一杯の状態のところが殆んどですから、ここに年間2000件の事故調調査の委託が行なわれれば相当の負担に確実になります。もっともよく考えれば臨時委員、専門委員であっても医師の供給源はこれらの病院が主になると考えられ、負担としてはあんまり変わらないかもしれません。いかに厚労相の任命であっても、民間病院にそうホイホイとは要請しにくいでしょうからね。