金曜入院と月曜退院が多い病院、診療報酬減 厚労省方針
厚生労働省は、入院期間が長くなりがちな「金曜入院」や「月曜退院」などの割合が高い病院について、病院側が受け取る入院基本料を減額する方針を固めた。不必要な医療費を抑制するねらい。診療報酬改定を議論している中央社会保険医療協議会で了承されれば、4月から実施する。
厚労省によると、金曜日に入院した患者の平均入院日数は18.14日で、曜日別で最長。最も短い水曜日の入院患者より3日余り長い。一方、退院の曜日別では、月曜日が17.79日と最も長く、最も短い土曜日退院とは3日近い差があった。
金曜日の入院は全体の14%、月曜日の退院は11%で、曜日別で見ると少なめ。ただ、厚労省は、治療を行わないことが多い土日を挟んで入退院させることが、入院日数を長くして医療費を押し上げる一因になっていると判断。高齢化で医療費が年々増えるなか、効率化のために見直すことにした。
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私は購読していないので読めないのですが、紙面でこれをこれを読まれたトクダス様によりますと、
朝日新聞、2012年1月26日、1面の記事によれば、
上に加え、「午前中退院」が多い医療機関についても、
退院日の入院基本料を減額する方針。
ほぉ、午前中退院も減額だそうです。それでもって朝日は1面記事でこれを報じたようです。これのソースのソースになりますが、1/13付中医協資料「平成24 年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)」に掲載されています。
(2)一般病棟入院基本料算定病床、特定機能病院入院基本料算定病床について、
患者の心身の状況や医学的必要性以外の理由で入院していると推定される場合や、退院日のような入院時間が短い日の入院料といった効率化の余地のある入院について検討を行う。
この金曜入院・月曜退院の診療報酬削減ですが、どういう程度・目安で行われるかが注目されるところです。朝日記事を信用するとしたら、
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金曜日の入院は全体の14%、月曜日の退院は11%で、曜日別で見ると少なめ。
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割合が明らかに高い医療機関
えらい重箱だの話が医療関係者から出ていましたが、それについては今日はあえて省略します。狙いはなんだろうです。もちろんストレートには入院日数の短縮による医療費削減ですが、それだけとは思えないところがあります。平均在院日数を短縮したければ、こんな重箱を突付く必然性が認め難いからです。本当にそうしたいのであれば、政策誘導により「平均在院日数○○日であれば△△加算」とか現在のトレンドである「減算」としそうなものです。
こういう政策誘導は時に第二弾、第三弾を構想していたり一石二鳥、一石三鳥を実は狙っていたりがよくあります。もちろん全部が実現するわけでなく、かつての5分ルールのように消え去るものも多いのもまた事実です。今回の直接以外の他の狙いをあえて推測して見ると、
- 金曜入院を絞る事による土日の入院患者数減少
- 月曜退院を絞る事による土日退院の促進
午前中退院の意味合いをあえて付け加えておくと、退院後の家庭(ないし他施設の受け入れ)も理由に挙げて良いかと思います。ピンピンして退院したのならともかく、退院後も一定の療養が必要であるなら、それに対しての受け入れ準備も必要です。退院後の対応にしても昼間の方が動き安いのは当たり前です。そんなに病院での昼食が食べたいのだろうかと思わないでもありません。
それでも経営としては入院患者数は減った分を埋め合わせしないといけません。そのためにありえそうなのは、
- 土日に救急患者を入院させる
- 午後退院後に入院患者を入院させる。この延長線上で平日夜間の救急患者を入院させる
もう一つの月曜退院回避の為の休日退院の促進ですが、月曜がダメなら火曜と言う意見は当然出てくると思います。これについてはそれこそ平均在院日数の縛りでフォローされるかと思います。これも今までは平均在院日数の短縮は加算条件でしたが、これからはトレンドである減算条件で持ち出されてくると見ます。そうなると月曜退院の減算を避けるために、土日に退院を行うと言うのが出てくることになります。平均在院日数の短縮にも効果があります。
厚労省の目標は24時間365日デパート救急体制の確立が現在の葵の印籠ですから、それに副う施策については「やって当たり前」になります。もちろんもう一つの大義である医療費抑制。削減を行いながらです。24時間体制は病院だけの問題ではありません。在宅も当然ですが連動する事になります。病院での入院期間を短縮した後は、状態にもよりますが在宅医療への移行が必要になります。
病院の入院日数の短縮のためには詰まるところ365日24時間いつでもの入院だけではなく、退院体制もある方が望ましくなります。24時間の退院は病院ではなく患者にさすがに影響が大きいですからないとしても、365日退院体制は出てくることになります。当然のように退院後に在宅医療として引き継ぐ側も365日体制がないと「切れ目のない医療提供体制」になりません。
誤解無い様にお断りしておきますが、医療体制としてそうなる事自体は医療人として広い意味で反対していません。患者側だってもちろん異論は無いと思います。在宅医療についての異論は長くなるので今日は置いておきます。最大のネックは理想を実現するための医療従事者が足りないだけでなく、医療費も足りないと言う事です。全く足りない状況で政策誘導だけで推進していけばどこかで大きな皺寄せが生じます。
限られたパイの中でどこかを大きく取れば、他のところの機能は弱体化します。もっともそういう意図の布石を打ったつもりでも、それが必ずしも活きないのが厚労省の誘導政策です。いろいろ懸念を書きましたが、次回改訂ではアッサリ消える事も十分にありえます。今回のも少々無理筋の気配がプンプンしています。