賞味期限

毎日新聞の記事からです。

「賞味期限を過ぎても食べられる」なんて研究をやっているところがあるみたいです。そりゃ食べれるでしょう。メーカーが保証している期限はかなりの安全率を持って設定した基準で、賞味期限の切れた翌日には腐るわけではないからです。保管条件により差は出るでしょうが、表示されている少なくとも1.5倍、下手すると2倍ぐらいは大丈夫のはずです。それぐらいは常識であると思ってましたが、わざわざ追試験をやっているところがあるのですね。

「常識を疑ってみる」は研究テーマを選ぶ時の基本ですから、そんな研究をやっても全然構わないですし、もしそこで賞味期限内に食品が変質する可能性が高いというデータが出れば、「問題だ!」と公表するのは意味があると考えます。

ところが予想通りというか、メーカーをなめるなと言うか、賞味期限を過ぎてもかなりの間は安全性が確かめられたとき、「賞味期限を過ぎても大丈夫だから捨てるな」は勇み足のような気がします。こういう報道は鵜呑みする人種が結構多いのです。大新聞社が大学の研究を発表しているのですから、権威付けは十分すぎるほどです。発表された賞味可能期間をそのまま適用する人間も少なからず出てくるんじゃないかと思います。

家庭により環境は異なります。冷蔵庫一つでも条件は様々です。

    「捨てるかどうかは「外観の色や形の変化」と「におい」が決め手だった。」
御立派な基準ですが、だいたいそこまでひどくなっていたら、賞味期限内であっても捨てます。食中毒を起した食品は「見るからに危ない食品」ではなく、「見た目は大丈夫そうな食品」から起こる事を忘れてはいないでしょうか。メーカーの賞味期限はその期間に障害を起したら保障すると言う期間と考えても良いかと思います。賞味期限内であれば、ある程度常識的な保管状態での問題発生は責任を負う期間なのです。

そこから先はまさに「自己責任」です。「外観の色や形の変化」と「におい」で大丈夫と判断して、もし食中毒を起しても誰も責任を取ってくれません。記事では絹こし豆腐なら3週間でも「やや風味が落ちる」なんて事を書いてありましたが、よほど鉛の舌か、究極の味音痴の評価に笑います。

他にも何週間なんて記事がズラズラ並んでいましたが、そもそも賞味期限を越えてそこまで食品を放置して冷蔵庫なりに溜め込む精神の方が問題ではないかと思います。やはり食の安全のためには賞味期限を目安にして、それまでに使い残しの食品をうまく処理して使い切る工夫を考える方が望ましい態度ではないかと思います。

この辺は個人、個人の性格があって、使い残しがドンドン冷蔵庫に貯まる傾向の人があるでしょうから、そういう人を一概に非難できませんが、「もったいない」の精神を強調するのなら、使い残しを溜め込まないように啓蒙するほうが古典的ですが有効なほうが気がします。「もったいない」の名を借りて、使い残しをお墨付で奨励しているような記事に読めてしかたのない朝でした。