コトリ部長に呼ばれたのですが、
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「ミサキちゃん、イタリアは来月に行くことが決まったわ」
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「行くのはコトリとシノブちゃん、そしてミサキちゃんの三人よ」
「たった三人ですか」
「そうよ、こんなもの数いたって無駄なだけ。それでね、出発までに頼みたい仕事があるの。しばらくミサキちゃんは、イタリア視察旅行準備に専念してもらうわね」
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「ミサキちゃん、頑張ったね」
「ありがとうございます。では簡単に説明を」
「イイよ、シノブちゃんと見るから」
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「シノブちゃんの見せて、それとコトリの見てくれる」
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「後は行ってみないとわからないね」
「この中で見つかるとイイんだけど」
「うん、やっぱりそうなると思う?」
「今回はそんな調査になりそうな気がする」
「私も」
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「すみません、可能な限り網羅したつもりなのですが」
「ゴメン、ゴメン、ミサキちゃんは良くやったわよ。それじゃ、後は効率的に回れるようにプラン組んでおいてくれる」
「わかりました。ところで一店に付き、どれぐらいの視察時間を想定しておいたら良いでしょうか」
「シノブちゃん、五分ぐらいでイイかなぁ」
「そんなところじゃないですか」
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「五分で良いのですか?」
「あら、長過ぎる」
「いえ、短いような気がしたもので」
「あははは、短くできるように下調べ頑張ってもらったんじゃない」
「それは、そうなんですが」
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「他に調べておくことは何かありますか」
「ワイン」
「イタ飯」
「はぁ?」
「イタリアといえばワインじゃない。コトリは美味しいのが飲みたい、いや飲み尽くしてやるんだ」
「本場のイタ飯を堪能した〜い」
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「ミサキちゃん、ここでワインとイタ飯の話で盛り上がったのは黙っといてね。そうねぇ、顔付き合わして、あれやこれやとメーカーの選択に真剣な議論を尽くしていたぐらいでね」
「そうやってコトリ先輩さぼってるんだ」
「バレちゃったか、でもシノブちゃんもやってない」
「私はしてませんよ〜だ」
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「そうだ、そうだ、飛行機だけど」
「関空からの直行便はありませんから、成田からの直行便にするか、関空からならフランクフルト経由もしくはヘルシンキ経由になります。これは少し時間がかかりますが、ソウル経由とパリ経由もあります」
「イタリアのどこに着くの?」
「ローマかミラノです」
「だったら、関空からミラノでお願い、時刻的に早く着く方がありがたいかな。それで、どれぐらいかかるの」
「おおよそ十四時間ぐらいです」
「イタリアは遠いよねぇ。ミサキちゃん、三人とも一緒か近い席にしといてね」
「えっ、一緒と言われましても・・・」
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「機内で重要な打ち合わせをするって名目で出しといて。総務部長はコトリだから、それでOKよ。だって十四時間もミサキちゃんが一人ぼっちって寂しいでしょう、コトリもシノブちゃんもお話したいし」
「サンタ・ルチアですか」
「それもあるしね」
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「ミサキちゃん、一人で頑張ってプランを作ってみて。初めてだから大変だと思うけど、これも勉強だから。わからないことがあったら、コトリに聞いてね。それとだけど・・・」
「わかりました」
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「サンタ・ルチアですか」
「それもあるけど、こういうものは行ってみて、わかる事があるからね」