上小阿仁村・謎と共に去りぬ

まず11/7付さきがけ on tha Webより、

 先月12日に上小阿仁村国保診療所長として着任したばかりの西村勇医師(71)が、「体調が思わしくないので、後任を探してほしい」と村に辞意を伝えていたことが6日分かった。

続報が出まして、11/21付さきがけ on tha Webに、

公募常勤医が辞職 上小阿仁村国保診療所

 先月12日に上小阿仁村国保診療所長として着任したばかりの西村勇医師(71)が、体調不良を理由に辞職願を提出し、村が受理していたことが20日分かった。辞職願は15日付だが、19日にファクスで診療所に送信されていた。診療所の内科は15日から休診している。

 村によると、西村医師は19日昼ごろ、「健康に障害を喫し、歩行障害で業務を遂行できない」とファクス送信、診療所に「原本は後で送る」と電話連絡があった。郵便書留で「長い闘病生活になりそうだ」との文書と医師住宅の鍵や診療所のマスターキーなどが送られてきた。

 西村医師は今月2日、診療所事務長を通じて村に辞意を伝えたが、後任が見つかるまでは診療を続ける予定だった。村は6日から村ホームページなどで後任の公募をしているが、まだ見つかっていない。西村医師の診療は14日が最後で、既に村にいないという。

ちょっとまとめてみます。

Date 出来事 勤務日数
10/12 上小阿仁村診療所に赴任 1
11/6 辞意表明の報道 26
11/14 最終診察日 34
11/15 この日から休診 (35)
11/19 Faxで辞職願送付 (39)


どうも
    西村医師の診療は14日が最後で、既に村にいないという
11/14の診察終了と同時に村から離れた様にも見えます。翌11/15の朝から村を離れた可能性もありますが、そんなに長くはいなかった気配が窺えます。余ほど体調が悪かったようで、11/19のFaxには、
    健康に障害を喫し、歩行障害で業務を遂行できない
そこまで悪いのならどうやって荷物をまとめて(置いていったのかな?)村から離れたかの疑問は出ますが、上小阿仁村の診療所の仕事には在宅と言うか往診の業務も結構あったはずで、日常診療はともかく、そういう出歩く仕事が無理になったと言うことかもしれません。本当に体調は悪いようで郵便書留には、
    長い闘病生活になりそうだ
かなり深刻な病状である事を窺わせます。それにしてもどこに行かれたんでしょうかねぇ。確か赴任前は帯広に在住されていたはずですから、そこまで帰られたのでしょうか。謎の多い人物で、家族関係等も不明ですから、行く先は現時点では不明です。


これを額面通りに取ると、赴任時には少なくとも大きな体調不良はなかったはずです。年齢こそ心配されたものの体調自体は基本的に良好であったはずです。そんな西村氏が悲鳴を上げたのが赴任して26日目の11/6です。ここも11/6にいきなり体調悪化が起こったとするのはやや不自然で、その前から体調を崩されていたと考えるのが妥当でしょう。

大雑把ですが、その1週間前の赴任20日目頃より体調の変化に気付かれていたんじゃないかと思われます。その後は体調の悪化は回復の兆しを見せるどころか、益々悪くなり、11/6に辞意表明、11/15には診療さえままならない状態になり、村役場への挨拶すら出来ない切羽詰った状態に陥ったのだろうです。


これはあくまでも額面通りに取ればのお話です。やはり経過としては不自然です。色々にお人柄について風評が合った西村氏ですが、辞職をするにしても、やはり村役場に直接挨拶ぐらいはするのがマナーと思います。パターンとして、

  1. 体調の悪化のため後任が見つかるまでの診療継続は不可能になった旨を伝える
  2. 村側からの慰留を受ける
  3. それでも診療継続は無理だと重ねて伝える
  4. 村側はやむなく了承する
ある種の儀式みたいなものですが、そうやって辞職手続きから給与の精算、さらには荷物の転送などの手続きが行なわれるです。最低限村を離れるにあたり、電話連絡を村役場側と取り、カギなどを返還するぐらいは行いそうなものです。これらを吹っ飛ばして、先に休診し、村の外からFaxと郵便書留で辞職届けを送りつけるのは不自然と言えば不自然です。そういう経緯を取った理由としてあえて思いつくのは、
  1. 辞職に関連する一連の儀式を行う余裕もないほどの体調悪化に見舞われた
  2. 1ヶ月程度の勤務であったが、辞職するにあたり、二度と上小阿仁村役場の職員と顔を会わしたくないほどの理由ができた
  3. 西村氏の人間観察の反応実験の一部である
赴任するときもミステリアスな雰囲気を持たれる医師でしたが、辞職する時もまたミステリアスと言うところでしょうか。さしずめ、
    Gone with the mystery
とにもかくにもお楽しみは「いつ本が出版されるか」です。ここには今回のミステリーを解き明かす内容が期待できます。怖いもの見たさが半分とは言え、是非でも買って読みたいところです。読みたいのは私だけでなく、少なく見積もっても万単位の購読者が期待できそうな気がします。ひょとっすると1桁上るかもしれません。

ある程度のベストセラーになれば、ドラマ化の期待も出てきます。これもある意味画期的で、これまでの医療ドラマにないものになるかもしれません。従来の医療ドラマのパターンとして、

  1. 赤ひげ型
  2. 白い巨塔
  3. ブラックジャック
  4. ヒポクラテスたち型
  5. ER型
ER型はブラックジャック型の群像アレンジと言える気もしますし、ヒポクラテスたち型も赤ひげ型の変形と見なせば、さらに類型は絞られ、
  1. 赤ひげ型
  2. 白い巨塔
  3. ブラックジャック
これら従来の類型とは異なる上小阿仁村型が生み出される可能性を秘めています。新たなオリジナルの創出はどんな分野であっても大変な事ですから、今は出来上がる著作にひたすら期待を持ちたいところです。


オマケの小ネタ

診療所の電話番号に慄然様のコメントより、

問題の診療所の代表電話番号を見て慄然としました。
末尾が42の「死に番」です。縁起が悪いとされ、特別な場合を除いてNTTが一般に割り当てることは有り得ない番号です。通常はNTT内部で内線直通番号などに割り当てて消費するので、家庭や企業、ましてや病院や診療所に割り当てるなど、特別な場合を除いてあり得ません。
特別な場合とは、電話回線契約の際に「死に番を割り当ててくれ」と言われた場合です。

なにか呪詛的な怨念を感じます。

えっ、まさかと虚を衝かれた思いで確認してみると末尾は確かに「42」です。おそらくですが前身の病院時代から引き継がれてきたものと思いますが、ちょっとビックリしました。小ネタついでなんですが、11/21付さきがけ on tha Webには、

    村は6日から村ホームページなどで後任の公募をしているが、まだ見つかっていない。
こうなっているのですが、今朝公募ページを確認してみると、

誠に申し訳ありませんが、お客様の要求を処理することが出来ません。

理由として次のようなことが考えられます。
  1. 要求された情報は現在公開されていない。
  2. 要求された情報は既に削除されている。
  3. URLの記述に誤りがある。

URLが変更された可能性も否定できませんが、もう一つの可能性として後任が見つかったもありえます。ドラマはまた新しい展開を見せてくれるのでしょうか。