朝日記事に日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)が反論されています。冒頭に
8月5日付朝日新聞朝刊、社会面にトップに掲載されている1.〜8.の記事内容について、日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)からコメントします。
http://www.asahi.com/national/update/0804/TKY201008040482.html
こう書いてあるので間違いないでしょう。○数字はウェブ上では文字化けしやすいので、これを修正している事は御了解下さい。今日は日本ホメオパシー医学協会(長いのでJPHMAもしくはホメパチ協会と略します)の反論にそって解説してみたいと思います。
この山口の訴訟については、昨日、第1回の口頭弁論が始まり、JPHMA会員の助産師側は、損害賠償請求の棄却を求めています。つまり、原告の請求事実を認めず、裁判の場で争い、事実を明らかにしていくというプロセスに入ったので、公判を通じて今後明らかになっていくものです。このように事実に争いがある中で、予断をもったマスコミの報道姿勢に基づく一方的な内容の記事は、大きな問題と考えています。
また、本件に関連したマスコミ報道の中で、あたかも乳児死亡がホメオパシーに原因があるかのあるかのような印象を与える記事を見かけますが、そもそもホメオパシーレメディーをとって死亡することはありえません。
この記事を読んだ読者が誤解しないように、誤解しそうな部分を抜粋し以下にひとつひとつ説明していきます。
なお、山口での訴訟に関係する内容については、現在民事訴訟が進行中ですので、JPHMAとしては現段階でのコメントを控えさせていただきます。
-
JPHMA会員の助産師
-
事実に争いがある中で、予断をもったマスコミの報道姿勢に基づく一方的な内容の記事は、大きな問題
「ホメオパシー」と呼ばれる代替療法が助産師の間で広がり、トラブルも起きている。乳児が死亡したのは、ホメオパシーを使う助産師が適切な助産業務を怠ったからだとして、損害賠償を求める訴訟の第1回口頭弁論が4日、山口地裁であった。
訴訟記事特有の酷い被告攻撃は読む限りありません。あるのは山口の助産師が信仰したと言われるホメオパシーに対する記事です。話の導入部に山口の助産師の訴訟を使っているのは間違いありませんが、記事が追及しているのはホメオパシー及びホメオパシーと助産師会の関連性です。きっかけが何であれ、そこに問題点がある事を疑い、調査して記事にする事自体は訴訟と関係しているかは少々疑問です。
楽しい主張です。「ホメオパシーレメディーをとって死亡することはありえません」は同意します。砂糖粒を飲んで死ぬ人は珍しいと思います。乳児に与える場合には窒息の危険性もあるかもしれませんが、そこは置いておきます。乳児死亡の原因はかなり正確に誤解が少なく伝えられていると私は感じます。乳児特有のVitK欠乏症予防のためのVitKシロップの代わりに単なる砂糖粒のレメディを与え、みすみす予防できる頭蓋内出血を起させたと言う事です。レメディは無害かもしれませんが、無害のレメディを服用させる事で、必要不可欠なVitK投与を故意に忌避した疑いです。
なぜに国家資格保持者である助産師が常識になって何十年も経つVitK投与を忌避した原因の一つに、被告助産師が信仰するホメオパシーが疑われているのが現状です。被告助産師がホメオパシーを知らなければレメディの存在自体も知らず、VitKシロップの代用に砂糖粒を使おうなどと言う発想自体が出てこなかったかと考えられます。
国家資格保持者であるならば砂糖粒がVitKシロップの代用にならないことは知らないと恥どころの話ではありませんから、何らかの理由で砂糖粒がVitKシロップと同様の働きをするはずだと誤信したと考えるのが妥当で、誤信の原因に被告助産師が信仰するホメオパシーがあると現在疑われている状況です。仮に被告助産師がレメディだけでなくVitKシロップも投与していたら事件さえ起こっていないと言う事です。
「あたかも乳児死亡がホメオパシーに原因があるかのある」とは砂糖粒のレメディに主眼を置いたものではなく、VitK投与忌避に動かした被告助産師が信仰するホメオパシーの教えに疑惑の目が向けられている状態のことです。この主張がこの部分だけのホメオパシー側の誤解なのか、それとも故意に論点をずらそうとしているのかは続きを読めばわかると思います。
ホメオパシーを医者だけに推進している、川嶋朗准教授の発言として掲載されていますが、この記事を読んだとき、人はJPHMAがあたかもそのグループであると誤認してしまうことが懸念されます。川嶋氏は以前にも、このように事実でないことをJPHMAの問題責任のように、ある雑誌に発言していたことがありました。
川嶋氏に、その事実の確認を依頼しましたが、なかなか回答が得られず、弁護士を通じて、回答するように抗議をした結果、最終的には、JPHMAの問題ではないということを明らかにした事例がありました。
JPHMAは、法律的に義務化されていない限り、国民1人1人がワクチンやクスリの害と効用をしっかりと知り、選択すべきものであると認識しています。当然、ワクチンを打つなとか、薬を飲むななど主張する立場でもなく、そのような主張を行っているという事実も全くありません。国民1人1人が判断する材料として、ホメオパシーの考え方や臨床経験から情報提供しているのみです。
また、JPHMAは、協会倫理規定にも書かれている通り、現代医学とホメオパシー医学の両者の長所を生かして医療機関との協力体制を理想とする姿勢を1998年の設立以来一貫して打ち出しています。
現在、川嶋氏に上記発言の事実確認、事実である場合、過激なホメオパシーグループは本当に実在するのか?実在するとしたらそれはどのグループなのか確認しているところです。
とりあえず記事の中には川嶋朗准教授の発言は影も形もありません。それと予防接種関連の記事該当部分ですが、
また、通常の医療の否定につながらないよう、年内にも「助産師業務ガイドライン」を改定し、ビタミンK2の投与と予防接種の必要性について記載する考えだ。日本ホメオパシー医学協会にも、通常の医療を否定しないよう申し入れた。
助産師会の岡本喜代子専務理事は「ホメオパシーを全面的には否定しないが、ビタミンK2の使用や予防接種を否定するなどの行為は問題があり、対応に苦慮している」と話している。
この前段でJPHMAが助産師会の講演やランチョンセミナーに関与したとの記載はありますが、JPHMAがワクチンを拒否しているとは一言も書いてありません。ワクチンを拒否しているホメオパシー信者がいるとの発言は岡本喜代子専務理事であり、どこのホメパチ団体かとは明記されていません。またホメオパシーは単なる自称民間医療であり、JPHMAなり他の団体に属する必然は無く、独習で行ってもこの日本では何の問題もありません。
記事への反論に記載されていない人物を持ち出して反論する手法は非常に不可解なものです。
川嶋氏の発言として掲載されていますが、この発言が事実であれば、川嶋氏は、医師法17条の解釈を間違って解釈していると考えられます。すなわち、医師法の17条「医師でなければ、医業をなしてはならない」の解釈として、治療してよいのは医師だけであると川嶋氏は判断していると考えられます。しかしそうすると、日本国憲法の職業選択の自由に抵触しますから、必然的に、医師法17条が意味するのは、「現代医学を修得した医師しか、現代医学に基づく治療をしてはならない」と解釈しなければなりません。
治療法は現代医学の治療法以外にもたくさんあり、それぞれの治療法を習得したプロフェッショナルであれば、その知識と技能を用いることを生業としてよいわけです。
ホメオパシーは200年前から世界的に膨大な治療実績がある治療法であり、日本ホメオパシー医学協会が認定するホメオパスは、プロの基準を満たしているので、ホメオパシー治療を職業とするのに何の問題ないというわけです。なお、川嶋氏に発言の事実確認および事実であるなら発言の根拠を求めていきます。
どうでもよいですが、反論するとURLまで明示した記事には川崎川嶋准教授の発言はありません。反論するなら川崎川嶋氏の発言がある記事を含めて提示するべきでしょう。さかんに川崎川嶋氏を攻撃していますが、記事にも出ていないものを必死で攻撃する神経が私には不可解です。
-
ホメオパシーは200年前から世界的に膨大な治療実績がある治療法
川嶋氏の発言として掲載されていますが、ホメオパシーのレメディーは、薬ではなく食品となっており、レメディーを与えることは医療行為に当たりません。レメディーがあたかも薬であるかのような表現をすることは、事実誤認であり、多くの人に誤解を与える表現です。
ホメオパシーは現代医学とは全く異なる考え方をし、専門知識が必要であり、ホメオパシーをしっかり学んで資格をとったものがプロのホメオパシー療法家としてホメオパシー療法を行うべきであり、現代医学の医師や歯科医師といえども、ホメオパシーをしっかり学んでいないものが行うべきではありません。
一方で、全世界的にもホメオパシーは代替医療の主流と認められており、世界各国の空港、スーパーマーケット、ドラッグストア等で誰でもレメディーを購入することができ、セルフケアの方法としても一般的です。川嶋氏の医師しかホメオパシーを扱うべきではないという考えは世界的な流れに逆行するものです。
ここも記憶しておきましょう。
-
ホメオパシーのレメディーは、薬ではなく食品
-
川嶋氏の医師しかホメオパシーを扱うべきではないという考えは世界的な流れに逆行するものです
これは日本助産師会の発言として掲載されていますが、JPHMAは日本助産師会からそのような申し入れを受けたという事実を有しておらず、今、日本助産師会に事実確認を行っているところです。このような書き方をした場合、あたかもJPHMAが通常の医療を否定しているかのような印象を人々がもってしまいます。事実は前述した通り、JPHMAは通常医療を否定しておらず、現代医療と協力してやっていくという立場をとっています。
ここはハイハイと聞いておきましょう。内輪もめはご自由にぐらいです。
これは日本助産師会の岡本専務理事の発言として掲載されていますが、これもこの記事を読んだ場合、JPHMAがビタミンK2の使用や予防接種することを否定しているかのような印象をもってしまいます。事実は前述した通りです。
これも同上です。
大阪大の菊池氏の発言として掲載されていますが、もしこれが事実としたら、研究もせずに、自分の持つ価値観、自分が学んだ範囲でのみ考えて結論を出し、頭から否定するというのは、科学者として頭が固すぎるといわざるを得ません。過去の歴史からも、未知のものを既知としていくところにこれまでの発見があり、発展があるということを学ぶことができるのに、そのことさえも認識されていません。
科学的な根拠に関しては、以下のRAHUK体験談の管理人のコメントが参考になると思います。
また勝手に菊池氏の名前を持ち出すあたりがなんともです。ここは何回か書きましたが、振動なり希釈に宗教的な意味を持たせて霊験をありがたがるのは自由です。卑しくも医学と名乗るのであれば科学であり、現代科学の粋を集めてもタダの水で、幾ら振ってもタダの水に過ぎません。反論するなら経験談ではなく科学的立証が必要です。理由は不明だが希釈し振ったら何らかの効果が出ると主張し、それは現代科学では立証できないで逃げられても困ります。
現代科学を持っても立証できない事はこの世にありますが、それは事実が確認されてもメカニズムが解明できないものを指します。事実すら確認できないものを科学といわれても、それに納得などできません。効果のある体験談が根拠であるというのなら、鰯の頭でも膨大な経験談は創作出来ます。
それでもって根拠とされたRAHUK体験談の管理人のコメントですが、
ホメオパシーはプラセボでもなければ(多少はあると思いますが)、科学的根拠もあります。水の記憶をトンデモ科学にしたのはもちろん意図的な策略と思いますが、それにいとも簡単に騙されてしまう人のなんと多いことか。もう少し科学的な態度をもっていたら(もう少し知性があったら)簡単に彼らの言うことを信じることはないはずなのですが……。
ちょっと前に世間の失笑を買った水への伝言が根拠ベースに必要なことだけは理解できます。水伝が存在する事を前提とした科学体系・・・信じるのは宗教としては勝手ですが、科学としては現代科学を丸ごと否定するぐらいの立証が必要になります。
あたかも毒が入っているような表現であり、ホメオパシーに関する誤解を生じかねません。この記事の中で毒が強調されているように思いますが、レメディーの原料として確かに毒物もありますが、毒物でないものもたくさんあります。また原料として毒物として使うものも最終的には無毒化されており、薄めた毒という表現は適切ではありません。
100倍希釈を30回繰り返した場合、10の60乗倍希釈となり、原成分はほぼ残っていないのではなく、1分子も全く、残っていません。
※約10の24乗倍希釈で原成分は1分子もなくなります。
ここもしっかり覚えておきましょう。
-
原成分はほぼ残っていないのではなく、1分子も全く、残っていません。
気になって川嶋朗准教授と大阪大の菊池氏の発言が掲載されている朝日記事を探してみたのですが、川崎川嶋氏の分は遺憾ながら発見できませんでした。菊池氏の方は幸いにも見つかりました。
ニセ科学に詳しい大阪大学の菊池誠教授は「分子が1個も残らないほど希釈するのだから、レメディは単なる砂糖粒」とした上で「最大の問題は、現代医学を否定し、患者を病院から遠ざける点にある」と指摘する。
これに対するJPHMAの反論が、
-
研究もせずに、自分の持つ価値観、自分が学んだ範囲でのみ考えて結論を出し、頭から否定するというのは、科学者として頭が固すぎるといわざるを得ません。
-
研究もせずに、自分の持つ価値観、自分が学んだ範囲でのみ考えて結論を出し、頭から肯定するというのは、科学者として頭が固すぎるといわざるを得ません。
ホメオパシーでは「薄めるほど効く」ともされる。その薄め方は半端ではない。一般的なレメディでは、10の60乗(1兆を5回掛け合わせた数)分の1に薄める。
ここまで薄めると毒の物質は、事実上もう入っていないが「薄める時によく振ることで、毒のパターンが水に記憶される」と、協会会長の由井寅子さんは解説する。
「自己治癒力が病気と闘っている時に現れるのが病気の症状。西洋医学は症状を緩和するが、治癒はさせない」。ホメオパシーで治せる病気は精神病から皮膚病まで多種多様で、がん治療も可能かと聞くと、由井さんは「そうです」と力強く答えた。
とりあえずレメディが効果のあるメカニズムは、
-
薄める時によく振ることで、毒のパターンが水に記憶される
科学的根拠に関しては1988年に有名なイギリスの科学雑誌ネイチャーに掲載されたベンベニスト博士の論文(『高希釈された抗血清中の抗免疫グロブリンE(抗IgE 抗体)によって誘発されるヒト好塩基球の脱顆粒化』ですでに水の記憶に関しては証明されています。すなわち科学的根拠があるのです。
この後にネイチャーに採用された説が反論で潰されたのは陰謀であるとの主張が展開するのですが、長くなるので省略します。昨日も紹介した通り、英国ではホメオパシーの科学的・医療的根拠について公式の調査が行われています。英国下院科学技術委員会の報告の要約として、
下院議員のグループによる報告書は、ホメオパシー医療はNHSによって資金援助されるべきではなく、医療効果をうたう医療は禁止すべきであると述べていた。
下院科学技術委員会は、ホメオパシー薬品にプラセボ以上の効果があるという証拠はない。すなわち砂糖玉やダミー錠剤を効くと信じて服用するのと同じだと。
先月、英国医療協会(BMA)年次総会に出席した医師たちは、この見方を支持して、ホメオパシーレメディはNHSでは禁止すべきであり、薬局で薬品として売られるべきでないと述べた。
その治療は、大言壮語のうえのナンセンスであり、患者はボトルウォーターを買う方が賢明だ。
英国の下院議会でのホメオパシーの検証は、まさに英国ホメオパシーの存亡に関る重要問題であったはずです。しかし、ここまで言われても有効に反論できなかったのがホメオパシー側の論拠です。当然ですがホメオパシー側はベンベニスト博士の論文も持ち出したはずですが、完全に否定されたと判断するのが妥当です。
ホメパチ協会の反論をレメディに絞って素直にまとめると、
それにしてもブログのお笑いネタ程度にしかならない反論を掲載した意図はなんだろうと考え込んでしまいます。これは正気なのか、夏の怪談なのか、非常に判断に悩みます。反論した記事のURL提示さえ満足に行なえず、そこから書かれてもいない人物に攻撃を懸命に行なう姿勢は、きっと猛暑のせいだと推測されます。あまりの暑さに反論を書くホメパチ協会の方々は朦朧とされていたんだろうとするのが妥当と思われます。
もし万が一にでも正気で大真面目に書かれていたのであれば、レメディは本当に効果があるのかもしれません。それも驚くべきほどの効果があることの実証例になる可能性が出てきます。もっともその効果がレメディによるものなのか、それとも他の要因によるものなのかの科学的検証と言うか、精神医学的検証は絶対に必要です。
やっぱり暑さのせいでしょうねぇ。今日も暑くなりそうだ。