NHK経営委員会

tadano-ry様から頂いた情報を少し膨らませます。

NHK経営委員会なるものがあります。経営委員会とは

 NHKには、経営に関する基本方針、内部統制に関する体制の整備をはじめ、毎年度の予算・事業計画、番組編集の基本計画などを決定し、役員の職務の執行を監督する機関として、経営委員会が設置されています。経営委員会は、放送法により、その設置および権限、組織、委員の任免、運営、議決の方法、議事録の公表義務等が規定されており、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる、広い経験と知識を持つ12人の委員で構成されています。委員は、国民の代表である衆・参両議院の同意を得て、内閣総理大臣により任命されます。

 経営委員会は、会長以下の役員に対する目標管理・業績評価を行い、評価結果を処遇に反映させるなど、執行部に対するガバナンスを強化し、監督を行っています。

 平成20年4月にはNHKのガバナンス強化を盛り込んだ改正放送法が施行され、経営委員会の権限がよりいっそう明確化されました。新たな取り組みとして、権限の適正な行使に資するため、経営委員会が視聴者の皆さまから直接ご意見をうかがう会合を各地で開催します。

私はどこにでもある有識者会議と思っていましたが、少々違うようです。どこが違うかといえばお手当です。

役職 月額報酬 期末報酬 年間報酬
委員長 199万5000円 399万円 3192万円
委員長職務代行者 173万1250円 346万2500円 2770万円
委員 141万円 282万円 2256万円


国会議員の歳費が3500万円ほどだそうですから、それより安いですが、その代わりにNHK経営委員には選挙の洗礼がありませんから、相当な報酬である事に驚かされます。でもって経営委員会がどれほど開催されるかですが、

平成21年 4月 14日
28日
5月 12日
26日
6月 9日
23日
7月 14日
28日
8月 25日
9月 8日
29日
10月 13日
27日
11月 10日
24日
12月 8日
22日
平成22年 1月 12日
13日
26日
2月 9日
23日
3月 9日
23日


数えてみると年に24回です。委員会以外にも仕事はあるはずだと思いますが、そこまで調べるのは手が回っていません。もちろんですが、報酬は委員会開催回数に比例するものではないと思います。たとえ1年に24回の委員会しか仕事が無くとも、その内容が報酬に値するものであれば、誰も文句は言いません。ただ報酬と委員会の回数から評価のハードルが少々高くなるのはやむを得ないところです。


wikipediaにも取り上げられている現役のNHK経営委員の安田喜憲氏ですが、紹介として、

安田 喜憲(やすだ よしのり、1946年 - )は日本の考古学者。国際日本文化研究センター教授。フンボルト大学客員教授麗澤大学比較文明文化研究センター客員教授。専攻は環境考古学。理学博士(東北大学、1978年)。三重県出身。

1946年生まれと言う事は、今年で64歳になられるかと思います。略歴も紹介しておくと、

国際日本文化研究センターは個人的に良く知らないセンターですが、リンク先のホームページを読む限り立派そうなセンターです。そこの助教授から教授にご出世されているのですが、あくまでも「どうも」ですが、大学院教育と言うのがあり、大学院教育は総合研究大学院大学に属し、文化科学研究科 国際日本研究専攻と部門の様に考えられます。ゴメンナサイ、総合研究大学院大学も余り存じ上げません。畑違いですから失礼します。


話題になった平成22年1月29日(金)公表 日本放送協会第1110回経営委員会議事録(平成22年1月12・13日開催分)第1110回経営委員会議事録から引用します。

福地会長

     今、副会長がご報告した中で、この前の放送文化研究所の調査でもそうですが、今の若者は、テレビの視聴時間が1日平均で2時間程度あります。塾に行ったり、試験勉強したり、遊ぶ時間もある中で2時間接触しているというのは、私は多いと思いますが、問題はNHKへの接触です。若者の4割ぐらいがNHKに接触しています。今の若者の未接触者に対してどうアプローチするのかという試験的な試みを広報が行ったわけです。インターネットを使ってNHKにこういった番組がありますと伝えると、そのあとNHKの番組を見ています。NHKの番組を見た後では興味を引いています。今の若者がNHKにこういう番組があるということを知らないのもかなりあって、最初から見ないということもあると思います。放送文化研究所の調査でなく、ほかの調査の資料で、今の若者が一番見ているテレビ番組はバラエティーが圧倒的に多いということでした。そういう中で、NHKの番組に接触してもらういろいろな試みをもう少しやってみようということを、今日、広報局長に言いました。まずは見ないのではなく、見るチャンスを知らないというところが大きいのではないかという感じがします。
安田委員
     いろいろなところで講演していますが、講演して一番反応がないのは若者です。私の講演が悪いというのもあると思いますが、昔は大学の授業を聞いていて、学生が寝るということはありませんでしたが、今は授業中に寝ます。これは日本の大きな問題で、NHKもこういう問題を考えなければならないと思います。日本の未来を考えるときには、今の若者を根本的に立て直すことを考えることが必要です。カンボジアで授業をしていると、目をきらきら輝かせて聞いています。その反応と同じように彼らはテレビも見ています。日本の国際放送を見ています。それはそこから何かを吸収したいということです。バラエティーではありません。生きる糧をもらいたいと思って、発展途上国の人はNHKの国際放送を見ているわけです。日本に期待しています。そういうところにバラエティー番組を流されると、はっきり言って日本人でも腹が立ってきます。日本は、いつの間にか文明が成熟しているので、今の日本の若者の接触者率を増やさなければならないとか言っていますが、私は、今の若者に徴兵制はだめとしても、徴農制とか、徴林制とか漁村に行けとか、そういう法律で、テレビの番組も何時から何時まできちんと見るということにすればいいと思います。この番組を見なければ会社に就職させないとか、抜本的に政策を変えないと、日本は本当に大変なところへ行くのではないかと思います。したがって、そういう面でNHKの役割は非常に大きいので、許される範囲を超えるものもあると思いますが、もっときつい方策をとらなければならないところまで来ているのではないか思います。
野間委員
     1つ皆さんにご紹介させていただきたいことがあります。近畿の和歌山放送局が「和歌山カレンダー」というカレンダーを作って、関係の皆さんにお配りしました。以前から広報を通じて視聴者の皆さんに幅広くNHKを伝えていってほしいと申し上げておりましたが、このカレンダーは、和歌山県に住むいろいろな方から公募で写真を集め、視聴者が選んで12か月の写真をカレンダーにしたものです。私もいただきましたが、和歌山の持つ美しい日本が見事に映し出されていて、掛けているだけで本当に気持ちがいいカレンダーでした。その審査の様子や皆さんから集めたいろいろな資料をインターネットで公開して、和歌山局に対する和歌山の人たちの関心をたくさん集められ、大いに盛り上がったと伺っています。京都の方が見られて、京都でもこういうカレンダーを作ってくれればいいのにねと言っていました。カレンダーは1年中目の届くところに掛けていますので、そこにNHKのことが書かれていて、とても親しみをもてると思います。また、1月には、こういう番組が見られるという案内、2月はその写真に合った地域の放送が発信できるようなことがあればいいのにという話題にもなりました。先ほどからのお話の中で、営業はもちろん、受信料の契約を勧めるのが目的ですが、そのためには幅広く皆さまに興味を持っていただくということを、積極的に考えていただきたいと思います。地域の局長がそういうことをされて、しかも非常に安価で、それで1年中掛けていただいて、和歌山を知っていただいて、皆さんが進んでNHKに協力されて、それをまたインターネットで発信して、このカレンダーは、時間とともに地域に密着したNHKに貢献してくれることと思います。経営2目標の達成に寄与する取り組みだと思います。そういう局長がいるということで頼もしいと思いました。ぜひそういう面でも幅広い活動をお願いします。
大西理
     私も和歌山放送局に行って、その取り組みを実際に目で見てきました。和歌山の四季をアマチュアの方、プロの方もいらっしゃるみたいですが、公募で写真を集めて、視聴者が参加して審査して、カレンダーを見たら和歌山放送局の連絡先が書かれていたりして、非常にいい取り組みだと思っています。全国の放送局の中には、非常に安い価格で、独自にカレンダーを作っているところもたくさんあります。和歌山の局長は写真が大好きで、SLの写真などの展覧会をJRとNHKでしたことからいろいろな話がスタートしているようです。来年度の視聴者サービス活動でも、いろいろな局の取り組みを含めて視聴者に支えられる営業を目指しています。
野間委員
     そういう試みが生まれてきたというのは前向きなことだと思います。何もカレンダーだけではなく、地域から自由な発想が出てくることはいい方向だと思いました。
大西理
     野間委員がお話しになっていた「視聴者サービス報告書」もさらに充実させたいと考えています。大学生向けのフリーペーパーを作るとか、インターネット、放送などを含めて新しく大学生活を始める方をNHKはどう支えていくのかというようなこともさらに強化をしていきたいと思います。どういう使い方が一番よく伝わるのか、いろいろとトライしていきたいと思います。委員の関係の大学もたくさんあると思いますので、ぜひそのときは訪ねていきますので無料でいろいろなものを配っていただきたいと思います。
勝又委員
     バラエティーやお笑い番組を見て「ワハハ、ワハハ」と笑っている若い人の何人かに、なぜそんな番組がいいのかということを聞いたら、若い人は若い人なりにストレスを感じていて、何しろ頭を空っぽにしたいということでした。難しいことも何も考えないで、ただ笑って発散したいだけだから、テレビを見るのであれば、それしか求めないということでした。それがすべてではもちろんないと思いますが、若い人がテレビに何を求めているのかというのは、制作の現場の方が日々考えていて、いろいろと試行錯誤されていると思います。まじめな番組も大切ですが、そういうテレビを通じてストレスが発散できるようなもので、良質なものができないのかと思います。
安田委員
     私は反対です。ほかの国々の子どもたちにとっては、テレビを見られる時間があるだけでもありがたいわけです。日本人がテレビを見て発散したいというのは、言語道断です。根本的に日本を変えないと本当に危ないと思います。テレビを見てストレス発散するというのは、ふざけています。そういう社会にしてしまったわれわれの責任でもあります。だから、これから根本的に日本の国家のあり方、若者教育のあり方、大学の教育のあり方について考えなければならないと思います。大学だって単位を落とさないんですから。今、大学の経営側でも落とせとみんな言っていますが、100%落第だと言っても落としません。そんな社会を作ったのはわれわれの責任です。若者の教育については、石島委員が大学の学長をされているのでよくわかると思います。
石島委員
     社会の豊かさというのは、そう見える人たちもその存在を許しているところがあるわけです。全部否定するというのは現実的でないと思います。ただ、若い人は、われわれが考えるよりももっとプラグマティシャン(実利主義者)ですので、テレビを見るときにも何が得られるのかということで、ストレスの発散があるのかもしれないし、知識だったり、自分の生きざまだったり、世界観みたいなものを得ることを求めているのかもしれません。そういう多様なものが求められているからといって、ストレス発散だから何でもいいから品を落としてもいいというわけではなく、それは一定の品位を高めるしかありません。大学の話が出ましたが、単位を落としてはならないという大学は存在しないと思います。私も30%以上の学生を落としたことがありますが、格別、大学で問題になったわけではありません。大学の評価というのは、大学の種類や大学のクオリティによって変わってくるので、一概にある方向性だけを見つめると、少なくとも事業的には失敗すると思いますので、安田委員には申し訳ないのですが、一言だけ申し上げておきます。
安田委員
     プラグマティック(実利的)だということですから、学生や若者は自分なりに価値があると判断しなければ見ません。だから、これを見たら受験に役立つ、これを見たら就職に役立つというようなイメージの番組作りをしていくことが必要だと思います。NHKのある番組を見ていなかったら就職もできないよというような。
石島委員野間委員
     先ほどからのご発言ですが、それはやはり幼児教育に問題があるのではないでしょうか。若者がテレビ離れをしているということがいつも課題になっていますが、若者がテレビ離れをしてどうして悪いのかと思います。10代の若者は、テレビを見るよりも日本の古典や中国、西洋の古典を読むなど、本をしっかり読んで、自分自身の人生における基礎をつくる、蓄えをする時期ではないかと思います。古典というのはその時代の人たちが何に悩み苦しんで、それをどういうふうに克服してきたのか、また、克服し損ねて失敗をしたかということが書かれている、人生の教科書です。古典をしっかりと読むような中学、高校、大学時代へと社会がその環境をつくっていくべきだと思います。そのためのNHKの役割は、幼児や小学生の時代にそういう基礎をつけるような番組を充分な予算を付けてつくるべきであり、番組で人を育てることが必要ではないかと思います。古典を読むことによって文化的な土壌ができた若者は公共放送の必要性に対してもきちんとした考えを持つようになるでしょうし、その上である程度の年になって時間ができたときにはNHKに関心を持って見るようになると思います。若者はテレビを見なくていいなんていうことは言いにくいことですが、そういう考えの流れにもっていってほしいと思います。
小林委員
     私は民放と公共放送たるNHKは違うべきだと思っています。おもしろいだけの、その場で消えていってしまうような番組をNHKは作るべきではないと思います。楽しい面があってもいいとは思いますが、それでも何か心に残るとか、何か得るものがあるとか、そういう番組でなければ公共放送としてNHKが放送する意味はないと思います。接触者率をある程度は気にするべきかもしれませんが、私はあまりこだわる必要はないと思います。これにこだわったために、先ほど言ったようなNHKが作るべきではない番組を作って放送するということは、将来を含めて、NHKにダメージを与えるのではないかと思います。つまり良質な番組、公共放送たるNHKにふさわしい番組を作って、その結果として接触者率が上がる、こういうスタンスが必要だと思っています。
安田委員
     忘れてはいけないことは、若者の心は変わりやすく、無責任だということです。ですから、きちんとわれわれが、どういう方針を与えて、未来に対してどういう放送をしていくのかという、確たる意識があれば、若者もそれにおのずからついてきます。そういう若者の意見にふらふらされるようでは、執行部の意味がありません。われわれがきちんと、確たる未来に、どんな日本をつくらなければならないか、どんな若者を育てなければならないかということをはっきり持っていれば、若者は必ずそれについてきます。

少々長いので後は議論の流れはリンク先で確認していただく様にお願いします。ここの議論の焦点は若者にどうやってNHKを見てもらうかの方法論として良いかと思います。自由に意見が出て構わないのですが、安田委員の分だけあえて抜粋してみます。

  • いろいろなところで講演していますが、講演して一番反応がないのは若者です。私の講演が悪いというのもあると思いますが、昔は大学の授業を聞いていて、学生が寝るということはありませんでしたが、今は授業中に寝ます。これは日本の大きな問題で、NHKもこういう問題を考えなければならないと思います。日本の未来を考えるときには、今の若者を根本的に立て直すことを考えることが必要です。カンボジアで授業をしていると、目をきらきら輝かせて聞いています。その反応と同じように彼らはテレビも見ています。日本の国際放送を見ています。それはそこから何かを吸収したいということです。バラエティーではありません。生きる糧をもらいたいと思って、発展途上国の人はNHKの国際放送を見ているわけです。日本に期待しています。そういうところにバラエティー番組を流されると、はっきり言って日本人でも腹が立ってきます。日本は、いつの間にか文明が成熟しているので、今の日本の若者の接触者率を増やさなければならないとか言っていますが、私は、今の若者に徴兵制はだめとしても、徴農制とか、徴林制とか漁村に行けとか、そういう法律で、テレビの番組も何時から何時まできちんと見るということにすればいいと思います。この番組を見なければ会社に就職させないとか、抜本的に政策を変えないと、日本は本当に大変なところへ行くのではないかと思います。したがって、そういう面でNHKの役割は非常に大きいので、許される範囲を超えるものもあると思いますが、もっときつい方策をとらなければならないところまで来ているのではないか思います。

  • 私は反対です。ほかの国々の子どもたちにとっては、テレビを見られる時間があるだけでもありがたいわけです。日本人がテレビを見て発散したいというのは、言語道断です。根本的に日本を変えないと本当に危ないと思います。テレビを見てストレス発散するというのは、ふざけています。そういう社会にしてしまったわれわれの責任でもあります。だから、これから根本的に日本の国家のあり方、若者教育のあり方、大学の教育のあり方について考えなければならないと思います。大学だって単位を落とさないんですから。今、大学の経営側でも落とせとみんな言っていますが、100%落第だと言っても落としません。そんな社会を作ったのはわれわれの責任です。若者の教育については、石島委員が大学の学長をされているのでよくわかると思います。

  • プラグマティック(実利的)だということですから、学生や若者は自分なりに価値があると判断しなければ見ません。だから、これを見たら受験に役立つ、これを見たら就職に役立つというようなイメージの番組作りをしていくことが必要だと思います。NHKのある番組を見ていなかったら就職もできないよというような。

  • 忘れてはいけないことは、若者の心は変わりやすく、無責任だということです。ですから、きちんとわれわれが、どういう方針を与えて、未来に対してどういう放送をしていくのかという、確たる意識があれば、若者もそれにおのずからついてきます。そういう若者の意見にふらふらされるようでは、執行部の意味がありません。われわれがきちんと、確たる未来に、どんな日本をつくらなければならないか、どんな若者を育てなければならないかということをはっきり持っていれば、若者は必ずそれについてきます。

どんな意見を主張しようが構いませんし、異論反論が出てくるほうが議論は健全だと思っています。ただなんですが、議論の焦点は上述した通り「若者にどうやってNHKを見てもらうか」だけのお話です。NHKと言っても特別の放送局ではありません。視聴料を取られるので、その点は特別ですが、視聴者にとって他の放送局との選択の一つに過ぎないと言う事です。

路線問題として、若者への迎合路線を取るか、NHK独自の格調高い路線を取るかの議論はあって然るべしと考えていますし、他の委員の論調も基本的にはそこに終始しているかと感じます。それに対し安田委員の主張は異論と言うより異質です。NHKを強制的に見させる法律と言う発想も凄いですし、NHKを見ないと就職に不利になる番組の制作と言うのも、なかなかの発想です。

安田委員は今の若者のあり方に不満があるのは読み取れますが、その主張の前にNHKは国民が見なければならない放送局であるかどうかの位置付けをはっきりさせた方が宜しいかと思います。私の知る限り、NHKを見るか見ないか以前に、テレビを見るか見ないかも個人の自由の範疇に属する様に思うのですが、間違っているのでしょうか。

安田委員が主張する「NHKを強制的に法制化してでも見させる」を容認するためには、NHKがそういう放送局であるとの性格付け、根拠、前提が当然必要になるかと考えます。まあ、年間2256万円ももらってますから、これぐらい言わないと委員を解任されるのかもしれませんけどねぇ。