長万部ミステリー

 ミステリーは大げさで小学校時代の北海道家族旅行の記憶です。もう半世紀近い前の記憶なので曖昧かつ断片的になったが故のミステリーと思って下さい。

 まず大阪空港から新千歳空港に飛行機で行ってます。生まれて初めての飛行機だったので良く覚えています。あれは夢の翼727だったはずです。

 新千歳からはレンタカーです。車種は完璧に忘れてしまい色さえ覚えていません。あの頃の親父のクルマはブルーバードSSだったはずですから、そのクラスだったと思いますがまったく覚えていません。

 旅行は四泊か五泊だったはずですが、確実に泊ったのはまず札幌。そりゃ、札幌時計台の真ん前にあるホテルで、市内ツアーで羊ヶ丘に行ったり、ビール園に行ったのも覚えています。

 他は登別。クマ牧場だけ覚えていますが、メジャーなところですから泊まったはずです。しかし他となると完璧に忘れました。

 訪れた観光地としてよく覚えているのは洞爺湖。遊覧船で中島にも渡りましたし、有珠山ロープーウェイにも乗っています。昭和新山も記憶に鮮明に残っています。

 後は積丹半島を走ったはずです。もっとも残念ながら神威岬は記憶の断片にもありません。寄らなかったのか、覚えていないのかさえ不明です。そうなるとあの時のルートとしてあり得そうなのが、

 千歳 → 登別温泉 → 洞爺湖 → 積丹半島 → 札幌

 これぐらいが思いつくのですが、小樽の記憶はゼロです。もっともあの頃の小樽は運河をまだ観光地化していなかったはずです。だから寄らずに走り抜けただけかもしれません。

 ここで倶知安という地名は聞き覚えが残っています。倶知安は洞爺湖から考えると、羊蹄山の西側を走って岩内に抜けるルートに存在しますから、ニセコあたりに宿を取った可能性は残ります。ニセコはまったく覚えていませんけどね。そうなるとニセコパノラマラインは走らなかった証拠が倶知安の地名の記憶になるかもしれません。

 で、問題の長万部です。地図を出しときますが、

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 長万部は洞爺湖町からでもずっと西寄りの町になります。ナビ上で四十キロぐらいでしょうか。でも積丹半島周回をやるには余計な寄り道です。でもでも、なぜか妙に覚えています。親父が昼飯にドライブインで毛ガニカレーを食べたからです。ですから、

    長万部に何しに行った?
 この感想しか出ようがありません。そりゃ、地図上なら長万部から国道5号で倶知安には行けますが、そんな事をする必然性がまったく浮かびません。無理やり考えれば登別からオロフレ峠を越えて洞爺湖に向かい、そこから国道37号に戻り長万部を目指したぐらいはありますが、どう見たって無理がテンコモリです。

 では実は行ってなかったが一番可能性が高いのですが、長万部の地名の記憶のインパクトは今も残っているぐらいです。普通じゃ読めませんし、なんらかの目的地として車中の家族の会話でそれなりの頻度で出たからこそ覚えたしか思えません。倶知安も似たようなものです。

 この辺は当時の道路事情もあったのかもしれませんが、たぶん永遠に謎として残りそうです。あの家族旅行を覚えているのは母と私だけですが、母はそういう話を出来る状態に二度と戻りません。そう誰にも聞けないのです。あの時の写真のアルバムも残ってませんからね。

 こういう解けないミステリーを発見したのもツーリング小説で北海道の地図と格闘したお蔭です。