ツーリング小説は旅行小説でもありますから、風景を楽しむ他に、美味しいものを食べると言うのもあります。それも名物料理みたいなものが望ましいところです。これもそんなスノブなものを出したいわけでなく、香川に行ったら讃岐うどんとか、高知に行ったらカツオのたたきだとか、熊本なら馬刺しみたいな感じです。
象徴的な名物料理に加えて、ググって掘り出した郷土料理も加えれば、なんとなくリアリティが増すんじゃないかぐらいの目論見です。ホントは現地取材すれば良いのでしょうが、そうはいかないのが現実です。
そうやってる時に困ったのが鹿児島です。これは鹿児島県民の皆様に本当に申し訳ないと思いますが、探しても、探してもしっくり来るものが見つからなかったのです。
もちろん鹿児島を味の砂漠なんて思いもしませんし、グルメのユーチューブでも美味しそうなものはたくさんありました。ですが鹿児島を象徴するような料理を見つけ出さなかったのです。
薩摩黒豚、薩摩地鶏、薩摩汁、薩摩揚げぐらいはすぐに思いつくですが、薩摩黒豚のトンカツとか、薩摩地鶏の焼き鳥じゃインパクトと言うか、象徴的な名物料理としてはちょっとぐらいです。
お手軽そうに見えた鹿児島ラーメンでさえそうで、あれは他のご当地ラーメンと較べても異質すぎます。これという典型モデルがないのが鹿児島ラーメンの特徴と言われても取り上げるのに困りますし、たった1軒や2軒ぐらい行かせても蘊蓄を語らせるのに無理が出ます。
この辺は焼酎があんまり好きでないのもあって、鹿児島ご当地グルメに舌鼓を打つシーンが十分に描けなかったのが心残りです。キュウリの一本漬けも寂しい気がしますし、甘露醤油とか黒酢も調味料ですからね。
ネット取材の限界を感じた鹿児島グルメでした。