子どもへのコロナ対策はどうなる

 ワクチン接種はドタバタでも進んでいますが、新型fluの時に猛威を奮った鉄の優先順位が早々に崩れています。そうなった理由は、

  1. 優先順位より接種率の向上が重いと見た
  2. 難航していたワクチン確保が好転した

 まずこれがあると見ています。他には、

  1. 五輪開催のために接種率をなんとしても上げたい
  2. 産業界の悲鳴からの圧力
 ここも単純化すればコロナ禍終息のためには接種率の向上が必要であり、そうしないとオマンマの食い上げが時間の問題の切迫感です。新たに動き出した職域接種は接種率の短期の向上には有用と見ています。

 職域接種が有利なのは整然と集団接種が行えるところです。高齢者の接種で苦労しているのは、予約者の募集と管理です。無駄ゼロ接種の厳命がありますが、別に予約をドタキャンしようが、ダブル・ブッキングにしようが罰則はありません。遅刻もそうです。

 ですが接種対象が職域となれば、被接種者の管理ははるかに容易で、当日の体調不良が起こっても差し替えは自在と言えるかと思います。無駄なく効率的に、さらに言えば計画的に接種が行えます。付け加えれば密の回避もやりやすいぐらいです。

 それならと思っていたら、中高生の集団接種の動きも出ています。これはファイザー製に12歳以上の適応が承認されたためです。学校であればさらに集団接種はやりやすい気がします。ワクチン端数の処理も教師まで含めれば融通が広がります。

 中高合わせれば1千万人ぐらいになりますし、1千万は人口の約1割ですから迅速に進めるべきと考えています。教師と学校医(及び協力医、医療スタッフ)の負担が増えるのは遺憾ですが、だらだらコロナに付き合うよりマシな負担じゃないかと思います。


 これでも小児科医ですから気になるのは12歳未満の子どもです。具体的には小学生以下になりますが、現実的にはワクチンの適用が広がらないと手の打ちようがありません。この辺がどうなっているのかも不明ですが、12歳以上の接種率が上がりコロナ禍に終息が見え始めた頃のことを予想してみます。

 これまた産業界の強力な要請があるでしょうから、どこかの時点で終息宣言みたいなものをして、GoToトラベルなりGoToイートみたいなものをまた展開するのも高確率で予想されます。去年だってやったのですから、コロナ禍に終息が見え出したらやらないわけがありません。

 そうなれば現在のギシギシの感染対策は緩和と言うより崩壊するでしょう。そうなってしまう事への批判は必ず出るでしょうが、これだけの期間、要請、要請であれだけの自粛を続けてきたのですから、緩みだしたら崩れ去るしか予想できません。


 そうなった時に小学生以下の子どもはどうするのだろうです。中学生以上が解放状態になるから小学生以下も右にならえはまず考えられます。つか、そうなるのが一番あり得そうです。ここまでで得られているコロナの知見は、若年者、とくに子どもは軽症に終わることが多いです。

 ここでの不安要素は変異株の台頭です。これもまだ不確定な部分が多いのですが、オリジナルより感染力が強く、若年者でも重症化率が高いのではないかです。さらに言えばワクチンがありませんから、ずっと無防備な状態に置かれます。その観点から今までの感染対策を継続する意見も出て来るかもしれません。

 コロナ対策のもう一つの側面は、医療がどれだけ応需できるかがあります。たとえ重症者が出ても医療がそれを応需できれば良いぐらいです。成人では一部地域で破綻状態になったのは周知のことです。

 ですから子どもの場合でも、重症者が発生しても医療がカバーできれば良いとの考えかたも出て来ます。ですが小児医療戦力は成人よりさらに貧弱です。たとえば見たいな話ですが、当地ではRSが流行しています。

 RSは重症化すれば呼吸窮迫を起こすので入院治療が必要になりますが、すでに満床状態です。これもRSなら市中感染症扱いでの入院にできますが、コロナとなれば数倍のリソースを消費します。それなり程度のコロナ流行が発生すればすぐにパンクしそうな気がしてなりません。

 うだうだ考えていましたが、接種先行国では子供にワクチンを打たなくとも問題になっていないようですし、変異株の子どもへの脅威もまだ先走り情報レベルです。そう、子どもへのコロナ感染の影響は限定的になる可能性は高いですし、12歳未満へのワクチン接種も拡大されるかもしれません。

 結局のところ、これももまた日本での接種率が向上し、コロナへの感染対策が緩められないとわからないですね。