競技カルタの段持ち

 次回作は競技カルタを扱ったのですが、持っていた知識が映画のちはやふる程度だったので大変でした。色々おもしろかったのですが、競技カルタも日本の競技らしく段級制があります。ですが他の武道とか、書道とか、囲碁や将棋、算盤とかとは、かなり趣が違うのをちょっと紹介しておきます。

 習い事の段級は通常の場合、級位の上に段位があります。パターンとして、十級から始まって一級になり、その上に段があるぐらいです。級の数とか、呼び名とかは差があるにしろ、級位を極めて段位になり、段を持っていればかなりの腕前ぐらいのイメージでしょうか。

 しかし競技カルタでは他の習いごとにある級位がありません。ですが級はあります。競技カルタの級とは戦えるグループ分けになります。近いものなら将棋の順位戦をイメージすれば良いかと思います。具体的には、

    E級無段 → D級初段 → C級二段 → B級三段 → A級四段以上
 ちなみに八段まで昇段規定があり、九段と十段もありますが、これは功労賞みたいな位置づけになっています。競技カルタにも名人やクイーンのようなタイトルもありますが、これに参加できるのはA級になります。ですから競技カルタで一人前とはA級四段になったぐらいかもしれません。

 それとこれも競技カルタ独特の気がしますが、個人種目はトーナメントです。決勝まで進んだ者が優勝、準優勝となるのはどこでも同じですが、準決勝進出者は三位決定戦を行いませんから三位です。ここまではどこも同じですが、準々決勝進出者を四位にするのです。

 もっと興味深かったのは昇段規定です。公認大会の成績で昇段が決められるのですが、級によってトーナメントの規模が変わります。

    E級:16人
    D級:32人
    C級:64人
    B級:64人
    A級:128人
 こうなっています。たとえば大会にE級の参加者が32人いれば、E1、E2とトーナメントは分けられます。それぞれのトーナメントで優勝すればE級優勝になり、一つの大会に複数のE級優勝者が生まれる事になります。

 それでもって、昇段基準がB級までは三位入賞になっています。そうE級ならトーナメントを2回勝てばD級初段に昇段です。

 E級無段は平たく言えば誰でも参加できます。かなり強い人もいるでしょうが、弱い人もいるわけで、クジ運が良ければ初段昇進のハードルはそんなに高そうな感触はなさそうでした。もちろんカルタをやったことはありませんから、規定上の印象です。

 これはD級初段から、C級二段でも3回勝てば昇段できますから、ここまでの昇段は他の習いごとに較べてかなり甘い気がします。ですがB級になると難度が上がりそうです。E級とD級で絞ったメンバーで4回勝つ必要があるからです。

 これがA級四段に昇段となると、

  • B級優勝
  • B級準優勝2回
 将棋で例えると奨励会から四段に昇進するぐらいのイメージを持ちました。そのせいかもしれませんが、映画ちはやふるでも段の話はあまり出てこなかった気がします。これはE級からB級は段と級が一致しており、カルタ競技者では実力を段より級で表現する慣例があるのではないかと見ております。

 これがA級五段への昇段基準になると、

  • A級優勝1回
  • A級3位入賞3回
  • A級得点8点
  • A級勝数20勝
 昇段するには公認大会に参加する必要があるのですが、A級大会となると四段以上がすべて参加して来ます。可能性で言えば名人とかクイーン、準名人、準クイーン、さらに元名人・・・五段以上の実力者が参加して来ます。

 これは競技カルタのタイトル戦参加資格の問題が絡んできます。ごくシンプルにはA級大会の成績上位者にタイトル戦参加資格が与えられるからです。それがA級得点になり、このシステムの説明は省略しますが、要するに1回戦に途轍もない強豪と対戦する可能性もあるのがA級大会になります。

 六段になると準名人、準クイーン、七段は名人、クイーン、八段は名人・クイーンを2期になります。他にも昇段基準がありますが、とにかく四段以降の昇段基準はシビアで、まさに段違いの実力差があると思えば良いはずです。

 こういう競技カルタの段位による強さ感覚を理解するのに、少々時間がかかった次第です。