広島弁の語り

 小説を書く時の手法に第三人称を出すのが苦手で、殆どは第一人称で書いています。この時のネックは、語りの部分も第一人称である必要があります。第一人称の語りとは、第一人称が心で考えていることになりますから、それが標準語では妙になります。

 これも最初の頃はそれほど神経質に考えていませんでした。舞台は神戸が中心ですから登場人物は関西人です。関西人だってコチコチの関西弁を話すのもいれば、標準語に関西訛りが混じる程度までいますからね。

 ところが、これは舞台を設定した自分の責任でしかないのですが、原付でしまなみ海道から愛媛にツーリングする話を書いていたのです。そこで出会いがあって、物語が展開するのですが、ふと気づくと誰も地元の人間が出てこない。

 準主役みたいな登場人物は語りの都合で東京出身(標準語も書くのは苦手です)でしゃべらせましたが、その他に登場する学生二人組は、しまなみ海道を南に下るので広大生にしておこうと思い立ちました。広大の学生が原付でしまなみ海道をツーリングしていても不自然じゃないからです。

 ところが、最初は会話部分だけの登場のつもりでしたが、これまたストーリーの都合で第一人称の語りをやらないといけない羽目になってしまったのです。

 ここも伊予弁にする選択もありましたが、これもあまり知りません。広島弁だって仁義なき戦い程度の知識ですけど、伊予弁よりマシだろうと取り組みました。が、無理がテンコモリ。そりゃ、ネイティブの広島弁を話す知人がいないからです。

 ネットの発達は目覚ましくて、広島弁転換ソフトもありましたが、さすがに完全とは言えず、それをさらに広島弁らしく手直ししたいのですが、肝心の広島弁を良く知らないの悪循環です。最後まで違和感が残りましたが、これ以上は無理とサジを投げました。

 どうも変換ソフトはステレオ・タイプの広島弁にしようとする(当たり前か)のですが、たぶんですが実際は違うはずです。それと敬語的な表現も必要な部分もあったのですが、そこはもう完全にお手上げでした。手を出して後悔しています。