新聞協会のデータ

 新聞業界が苦しいようです。新聞の発行部数ネタなんて8年もやってませんから、もう良いようなものですが、どうしても埋め草ネタが思いつかなくて申し訳ありません。ソース元は新聞協会ですが少しだけデータを変えています。新聞協会では朝夕刊のセットを1部としているようですが、これを朝夕で1部ずつとし2部と計算しなおしたものを総発行部数としています。つまり総発行部数とは、

    一般紙総発行部数 = セット部数×2+朝刊単独部数+夕刊単独部数

 こうしています。では総発行部数の推移をどうぞ。そうそう新聞協会には2000年からのデータしか掲載されていませんが、長年のウオッチャーですから1998年からあります。

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 解説するほどのものではありませんが、1998年には7241万部あったものが4234万部に減少しています。約4割の減少です。一般紙の総発行部数が年により、どう変動しているかですが、
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 素直な感想として歯止めが利かなくなっている気がします。2018~2020年の3年間だけでも945万部の減少で、これは2018年の発行部数の約2割に該当します。20世紀の読売新聞社の発行部数ぐらいと比喩すれば良いのでしょうか。このデータは言うまでもなく新聞協会の公式データですから、実態は・・・置いておきます。

 新聞協会は一般紙とスポーツ紙にわけて統計を取っていますが、

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 スポーツ紙は2000年には631万部あったものが、2020年には264万部に減少しています。スポーツ紙も読まれなくなっているのですね。

 この調子で減少を続けるとスポーツ紙で10年、一般紙でも20年もすれば無くなりそうな勢いになっています。ゼロになる前に会社の存続が危うくなり、紙媒体を整理してネット・ニュースだけになるとか、不動産屋に変わるとかです。


 もう一つ、1世帯あたりの部数と言うのがあります。これは新聞協会も重視していた数字で会ったと記憶しています。いわゆる世論への影響力の指標でしょうか。計算法は総発行部数を総世帯数を割ったものになります。これは新聞協会のデータをそのまま使っていますから、

    一般紙総発行部数 = 朝夕刊セット部数+朝刊単独部数+夕刊単独部数

 こうなります。

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 総発行部数が減少していますから、1世帯あたりの部数も低下しますが、2000年には1.13と1世帯に1部以上だったのが、2008年には1.0を切り、2020年には0.61まで落ち込んでいます。ほぼ半減ぐらいです。

 新聞を読まない世帯が4割以上になってると見て良いと思います。これも誰でもお気づきの事と思いますが、今でも複数の新聞を取られている方はおられるはずで、半分以上の世帯の方は新聞を取らなくなったと推測されます。


 別に新聞社を追い打ちする気ではないですが、こういう紙媒体によるニュース・メディアの衰退は日本だけの特異現象ではありません。ネットの普及とともに全世界で起こっているものです。欧米の方が紙媒体の衰退は早かったと記憶しています。だからどうするかが21世紀の初頭の日本の新聞社の課題であったはずです。

 どうしたかですが巨大すぎる紙媒体印刷・配送システムを抱えた新聞社は、紙媒体の死守に取り組まれていました。結果は21世紀に入って、たった20年でこうなったと言う事でしょう。

 一方で私の予想もハズれた部分はあります。新聞の衰退は新たなメディア形態の台頭があるだろうです。ネットに適したものです。これは今のところ目ぼしいものが見当たりません。未だにニュースの取材については既製メディアの力は大きいように感じます。

 そこに生き延びる力があるとは見ていますが、これから20年後はどうなっているのでしょう。そこまでは私の寿命の関係も出てくる将来ですから、そこまで見れるかどうかは自身が無いとしておきます。