恵梨香の幸せ:あとがき

 黄昏交差点の続編で、康太と恵梨香の新婚生活をメインにしています。今回は珍しく医療とか医学部の話も織り込んでいるのですが、前作のツケで年代設定に無理が出ています。

 とくに医学部から研修医時代の話は、私の経験をベースにしていますが、そのために二十年ぐらいずれています。アジャストも考えたのですが、さすがに知らないので目を瞑っています。そっちを合わせると、恵梨香の新婚生活の描写に無理が出るからです。

 二十年のずれに目を瞑っているのは濡れ場との関係。最近ではアラフォーでも昔ほど無理はなくなっていますが、さすがにアラ還暦じゃ、無理があるというより、老いらくの濡れ場で、さすがに書くのも嫌です。エロ爺とか色キチ・ババアですものね。

 それと作品全体の構成と言うか、当初構想は、新婚の恵梨香の家庭を巡る小事件の積み重ねにしようとしていました。恵梨香の故郷の話ぐらいまでがそうなっています。あえて言えば、短編を積み重ねるオムニバス風のものです。

 でも一冊はとにかく長く、あそこで息切れ。そこで後半は康太が恵梨香をなぜ選んだかの謎解き展開にしています。そこで担ぎ出したのが理恵とキーコです。これも実はモデルがあるのですが、キーコの能力のモチーフはユッキーの時に使ったものと同じです、こちらの方が実話にやや近いかもしれません。

 作品のもう一つの狙いなのですが、前作同様に、派手な事件を使わずに、日常生活に密着した話にしようです。もちろん小説ですからデフォルメしていますが、実際に起こりそうな話で作品にまとめかったぐらいです。何回か挫折しそうになりましたが、ゴールまでたどり着けてホッとしています。