THE LOST CANVAS

 連休中はどこにも出かけられず、時間だけ売るほどあったので、Youtubeで期間限定の無料公開されていたので見てました。この作品は聖闘士星矢のシリーズで覚えているのは、

    ペガサス流星拳
 そう車田正美作品です。原作が連載されたのがいつだったかですが、1985年から少年ジャンプの連載が始まり1990年に終了となっています。実はこの時に完結してなくて、ブイジャンプで完結編が連載されたとなっています。

 聖闘士星矢は友だちの下宿にジャンプがあったのか、散髪屋の待ち時間で読んだのか、はたまた当直室に転がっていたのかは記憶の彼方ですが、実に車田作品らしいぐらいの感想です。つまりはリングにかけろの二番煎じぐらいです。

 そのイメージでTHE LOST CANVASを見ていたのですが、どうも感じが違います。位置付け的には聖闘士星矢の外伝らしく、舞台は原作の200年以上前の前聖戦の設定になっています。もちろん車田作品らしく横文字羅列の必殺技が炸裂はするのですが、ちょっと違う感じです。

 基本は超人バトル物で良いと思いますが、主人公のはずのテンマがまず弱い。この辺はアニメ化されて見れたのが物語の前半部分のためもあるでしょうが、あれだけ話数を費やしても粋がって蹴散らされる役回りです。その代わりに活躍するのが脇役陣です。

 脇役が魅力的な作品はマンガ、アニメ、小説、映画に限らず面白いのですが、数話を費やして脇役の魅力を丹念に描いていると感じました。

 それとバトル物ですから敵役がいるのですが、こちらも手厚くキャラ設定がなされています。見た部分はそれぞれの脇役陣同士のバトルですが、それぞれに重い物語を背負って戦うだけでなく、次々に亡くなっていきます。

 こういうパターンで良くあるのは、徐々にグレード・アップする敵役に苦戦しながらも主人公が勝ち、勝つと共にグレード・アップしてラスボスに挑むのが定番ですが、あそこまで見ても狂言回し的な地位に留まっていたのが興味深かったです。

 車田作品のはずですが、かなり重みと厚みを感じました。そうなった理由もあれこれ考えたのですが、一つは時代かもしれません。THE LOST CANVASは2006年連載開始です。16年の間にマンガのトレンドが変わった可能性です。もちろん車田正美もそれだけ歳を重ねているのもあります。

 さらにTHE LOST CANVASでは車田正美は原作・原案で、作画は手代木史織になっています。原作者と作画者の関係は様々でしょうが、わざわざ作画者を別にしていますから、手代木史織の意向や意図がかなり入っているのかもしれません。

 思わぬ掘り出し物で楽しませて頂きました。