コロナは現在進行形の病気

 私もタダの小児科医開業医であり、感染症の専門家ではありませんから、単なる戯言と思って頂ければ幸いです。

 まずこれだけ感染が広がるのはまったくの新種のウイルスで、誰も免疫を持っていないからです。人類であれば、誰でもこれから感染する可能性があります。そうそう一度罹れば免疫を獲得する仮定に、今日はさせて頂くことを御了承ください。ですから話の前提は、

    既感染者 = 免疫獲得者
 ここすら未だに議論が残るところですが、それぐらいの仮定を置かないと話が一歩も進みませんからね。それと現時点では抗体検査陽性者が免疫獲得者になるのかも不明なのも付け加えておきます。

 日本のコロナ対策の基本は短期での終息を狙っているのではなく、短期に感染が爆発的に広がるのを防ぐのが主眼となっているはずです。短期に感染が急速に拡大すると、感染者数に比例して発生する重症者への医療が対応出来なくなるからです。

 どの程度の患者が発生すれば医療機関の対応が難しくなるかですが、東京で検査で確認された感染者が4000人を越えるぐらいで苦しくなっています。北海道は500人を越えるぐらいでかなり厳しくなっています。 


 誰もの関心はいつになったら終息宣言が出るかですが、それは免疫獲得者が一定の率に達した時になります。理想的にはどれぐらいの率かになりますが、ワクチンなら接種率が95%以上に達すれば可能となっています。

 ここまで免疫獲得者が増えれば、たとえコロナ患者が発生しても、その患者から他の人に感染する可能性が殆どなくなり、その患者で終わるようになるからです。

 ここも誤解無いように補足しておきますが、そういう状態でも未感染者は罹患する可能性は死ぬまで残り、罹った時には統計的確率で重症化し、最悪死亡します。


 では現在の推定感染者率(≒ 免疫獲得者率)はどれぐらいかですが、ドイツやNYの調査で約16%、慶応の調査で約6%です。これもこれから変わるでしょうが、理想的な状態に至るまではかなり時間がかかることになります。

 ただ終息宣言自体はもう少し早いはずです。免疫獲得者率が上がれば上がるほど流行の規模は小さくなり、感染者数の低下が期待できます。医療機関が重症者に対応できると判断できた時点で、終息宣言が出される可能性が高いからです。もう一度念を押しておきますが、

    終息宣言 ≠ 安全宣言
 安全なのは免疫獲得者(≒ 既感染者)だけです。


 ではこれ以前に感染者数の低下のみに注目して終息宣言を出せばどうなるかです。そういう動きもありますが、とにかくこれだけワールド・ワイドに感染が広がっている上に、グローバルな時代になっています。他国の事は置くとして、都道府県毎に行ったとしても、他の都道府県への流出入を封鎖できません。

 どうしても免疫獲得者率が低ければ再燃する懸念が強く危惧されるところです。ですから出口戦略は非常に難しい判断が迫られると考えています。ここが難しいのはコロナへの自粛対策と、経済対策が見事なぐらいに、

    あちら立てれば、こちら立たず
 この二律背反の裏表の関係になっているからです。こういう時の責任者には頭が下がります。どっちに動いても文句がテンコモリ出るからです。この辺はすぐに政治が絡みますから、マスコミも連動して大騒ぎになるのは確実ですからね。

 なにしろコロナ発生早期に打ち出した受診目安みたいなものを、新たな情報と感染状況に基づいて改めただけでも、

    世紀の大失策、無能の極み
 こうやって評価する人が、たくさん湧いてくるぐらいですし。


 免疫獲得者率を実際に感染するより安全に高める方法としてワクチンがあります。世界中の研究機関が血眼になって作っているはずですが、これが人体への治験をクリアし、量産され接種できる日が来るのは、どうでしょうか、1年ぐらいは早くても必要な気がします。

 これも前例があって、新型インフルエンザの時の輸入ワクチンが使用できたのは、夏から製品はあったはずですが、実際に接種が開始されたのは翌年の2月からでした。あの時は完成品があり、社会要請からも大急ぎで動いたはずです。

 今回は完全な新種ウイルスへの、まだ未完成のワクチンです。蛇足ですが、ワクチンに限らず少人数では問題が出なくとも、多人数で問題が起こることはしばしばあり、現時点ではワクチンが実用化され、実際に広く接種が始まるまで時間がかかるぐらいしか言いようがありません。


 ここまでの話は誰でも知っておられるお話でしょうが、もうちょっと引いた話を考えています。これも現時点での情報に過ぎないかもしれませんが、若年者の方が軽症で終わる率が高そうと言うのはあります。とくに子どもは低いのではないかとされています。

 これはうなづける話で、コロナに限らず高齢者が感染する方が重症化しやすいのは一般的なお話です。コロナだけが全年齢層を等しく重症化させると考える方が無理があります。

 現在は全年齢層が未感染者ですから高齢者の重症者数が目立ちますが、それこそ一周回ると、罹るのは軽症で終わりやすい子どもだけになり、タダの風邪になる経過をたどるのではないかと予想しています。ただ、そこまでになるのは、やはりワクチンが出来ないと相当な苦難の道が待っていることになります。

 
 そうそう子どもが軽症化しやすい点をとらえて、子どもはフリーにしても良いのではないかの意見も散見されます。これも現時点では難しい面があります。軽症者から罹患したからと言って、軽症で終わるとは限らないからです。

 これもまだまだ情報として乏しい所が多すぎるのですが、子どもでは軽症に終わる率が高くても、若い成人でも重症化傾向の強い疾患はあります。たとえばおたふく風邪がそうです。俗にいう子どもの風邪を大人にうつると大変みたいな感じです。

 コロナは若年者ほど軽症に終わる傾向があるようですから、おたふく風邪のような懸念は少なさそうですが、おたふく風邪と違い親世代が未感染者です。家庭内は言うまでもなく濃厚接触ですから、三世代同居であれば高齢者への感染も予想されますし、妊婦はどうかの話も出てくるはずです。

 この辺は四月になってから授業が出来ておらず、この学年全体をどう扱うかの問題も連動していていますから・・・経済対策と感染対策の関係と類似していて同じところをぐるぐる回るしかありません。


 あれこれ無い知恵を絞ってみても、一挙にどうにか出来る解決策があるはずもなく、とりあえずはワクチンを待つぐらいしか無さそうです。ワクチンを接種するまでに罹患したら、後は運任せですね。高齢者の入り口に立っていますから軽症で終わるように祈るぐらいです。

 それと今日書いた話も明日はどうなるかはわかりません。ましてや1か月後、3か月後、半年先はどうなっているとか不明です。緊急事態宣言も無限に続けるわけにもいかないですし、と言って解除したらどれぐらい再燃、下手すれば爆発のリスクもつきまといます。すべては、

    やってみないとわからない
 現在進行形の病気に付き合うとは、そういう事だと思っています。