進級すれば組替えになるんだけど、掲示板の前が騒然となってた。
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「こんな夢のようなことが・・・」
「でも、これはいくらなんでも・・・」
「でも現実やんか。どないなるかは怖すぎるけど・・・」
ウチにとっても大事件が起こっていて、なんとあの人と同じクラス。夢じゃないかと思ったぐらい。どうでもエエけど坂元も同じ。何を基準にクラス分けしたかは原因不明だけど、聞こえてくるのは。
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「女神様と天使が同じクラスってことは」
「そういうこと、夢のツー・ショットが見れるってこと」
「休み時間はダッシュやなぁ」
「どれだけ人が押し寄せるか想像するだけで怖いぐらい」
ひょっとしたら全校の男子生徒が押し寄せたんやないかと思うほどの騒ぎになってもた。坂元目当ての女子生徒もいるもので、教室内は騒然てな物やなく、一歩も動けない混雑状態になった。ウチが睨みを使おうと思っても、それどころじゃない感じ。
これは始業のベルが鳴っても続き、教師が入って来て排除してくれるかと思ってたら、教師が三脚にゴッツイ一眼レフ抱えて入って来たから、
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『あかん、しばらくはどうしようもない』
当然のようにこの騒ぎはすべての休み時間に繰り広げられるんだけど、とにかく鮨詰め状態になるから、御手洗に行くのさえ大変。そりゃ、廊下までビッシリ。そんな状態だから、モモコやテルミは、
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「委員長悪い、トイレに付き合って」
「木村さんゴメン、御手洗一緒に行って」
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「割り込みはマナー違反や」
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『トイレへのルート確保』
教師連中がようやく動いたのが六月に入ってから。教師連中も一緒になってパチパチ撮ってたけど、授業時間に十分以上は余裕で食い込むから、三組だけやなく全校の授業進行の遅れが深刻化したってところ。三組なんて悲惨なぐらいやったけど。そこで校長の決断で、
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『二年三組での写真撮影は禁止にする』
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「木村さんありがとう。これだけ静かなんは久しぶりやわぁ」
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「さすがは木村さんだわ。こんな事は木村さん以外には到底無理だもの」
そうそうあの人とは五月の席替えで隣になったの。四月は出席番号順だったから遠かったけど、お隣さんになって天にも昇る気持ちになったんだ。ただ五月はツー・ショット狂想曲の真っ最中。委員長の仕事としてトイレルート確保に奔走してたから、ずっと怖い目のままだった。だから、
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「おはよう」
六月の席替えはなんの奇跡か今度は前後だった。この世に神はいると思ったし、きっと縁があると確信したぐらい。その時の席替えに一悶着が起ったの。席替えは箱に入れた数字が書かれた紙を引き、廊下側から順番に割り振った席に座るだけだったんだけど、仲良しグループが一緒になるために引いた紙の交換をやったのよね。
やり方が強引だったのでホームルームで問題になったのだけど、ウチが解決策を考えたの。数字を書いた紙を引くとこまでは同じでも、席をランダムにしたうえで、翌朝にウチが貼りだし、ウチが見ている前で座ってもらうことにしたの。これだったら、紙の交換に意味がなくなるし、公平性が保てるって提案で賛成してくれた。
この時にウチは閃いたの。利用しようって。番号を引いた後にあの人にさり気なく・・・でもなかったけど、
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「何番だったのだ」
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「十七番や」