アングマール戦記:コトリの休日

 メイスも最初は緊張してた。相手は女神だし、メイスは童貞みたいだったから、果たしてコトリを満足させるか不安もあったんだと思うわ。そのうえ裸のコトリを抱いて三日間もお預けにしちゃったから、最初はアッと言う間だったの。それこそ先っぽが入っただけで我慢できなくなったのよ。

    「もうしわけありません」
    「イイの、イイの、気にしないで」
 もう顔を真っ赤にしてた。でも本当に気にしなくても良いのよ、誰でも最初はそんなものなの。三回目ぐらいになってやっとメイスも余裕が出てきたみたいなの。余裕というか、時間が楽しめるようになった感じかな。すっごく申し訳なさそうな顔をしてたけど、コトリは全然気にならないの。

 コトリはね、愛する男ならなんだって許せるし、コトリが満足できようになるまでいくらでも待てるし、そう出来るようにしてあげられるの。ここでね、女神の力を使うと簡単なんだけど、ベッドでは使ったことはないわ。あくまでもコトリの人の能力でそうするのが楽しみなの。

 四日目ぐらいからメイスもだいぶ慣れてくれた。コトリもメイスがわかったの。ちなみにコトリは時間が長い方が好きなの。コトリの感度は長い長い記憶の中で不必要なぐらい高くなってるから、激しいのより、ユックリでも長い方が好みなの。そうしたらね、じわじわ、じわじわ、コトリは高いところに昇って行けるの。

 そうやって昇って行って、最後は飛ぶんだけど、ユックリの方がより高いところに昇れるの。激しいとコトリも我慢できずに飛んじゃうんだよね。メイスもわかってくれたみたいで、ユックリ、ユックリ高いところに連れて行ってくれた。

 アレって飛ぶ時がもちろん一番なんだけど、昇る時もコトリは大好きなんだ。あれも肌が合ってくると、男の方がコトリを飛ばさないように慎重に丁寧に昇らせてくれるようになるの。その時にあんまり高くなりすぎると、コトリの体が震えて来るの。こんなに高いところから飛んだらどうなっちゃうんだろうって。

 そんなコトリの体を意識の中でしっかり抱きしめてくれて、すうって感じでより高いところに連れてってくれる感じになったら、もう最高って喜びでなんにも他に考えられなくなっちゃうの。メイスも相当頑張ってくれて、かなりの高さまで連れて行ってくれたの。

 この、すうっと連れてくのがなかなか覚えきれない男は多いんだけど、メイスは覚えてくれるのが早くて嬉しかったわ。メイスと極めて行ったら、きっとこれまでより、もっともっと高いところに行ける気がするわ。今まで昇ったこともない高みから飛んだらどんな気分になるんだろう。

 そうそう飛ぶ時もね、コトリだけ飛んじゃうことも多いの。でもね、コトリは飛んでもまた昇れるの。男が、いや愛する男が入ってる限り何度でも昇れるの。まあ、そういう体になっちゃったのはアラッタの女官の時にレズで責め上げられた後に、男に回され尽くした時だったけど、今となったら愛おしい男に無限に感じさせてもらってるみたいで役に立ってる。

 でもね、昇り直す時は、さすがに悶えちゃうの。『ま、また昇っちゃう』みたいな反応。でもあれは昇りたいの、また昇って飛びたいの。はっきりいうと、ずっと昇って、飛んでを繰り返していたい感じ。でも、たぶんだけど一番好きなのは飛ぶ前かもしれない。

 飛んじゃうと、体に強烈すぎる刺激が走り回るんだけど、あれは飛ぶことによってそこまで高められたエネルギーが一挙に爆発する感じと言えば良いのかな。これがエクスタシーでイイと思うんだけど、飛ぶ寸前のエネルギーがパンパンになった状態もすっごく気持ちいいの。

 それと飛ぶ時に一番最高なのは、同時に受け止めた時。飛ぶって自分だけで飛んだ時には踏み切るって感じだけど、受け止めて飛んだら、飛び立つって感じになるの。天空高く飛び出していくってしてもイイ。このタイミングを合すのも結構大変なんだけど、メイスは才能あると思ってる。コトリの様子でわかるみたい。

 ユッキーには十日間の休暇をもらったけど、最後の夜にはコトリのリードもほぼいらなくなってた。メイスはコトリを自在に高みに昇らせ、高みをコトリに十分に堪能させ、そして思い切り飛ばせてくれた。最後に昇った高みなんて、今までのベスト・テンに入るぐらいじゃないかと思ってる。

 三日間はコトリが眠ってたから、七日しかなかったのが恨めしい。一ヶ月もあれば、コトリは今までにない高みとメイスと昇れたはずなのに。いや後十日でも出来たかもしれない。最後に飛ぶ時にしっかり受け止めたんだけど、これで休暇が終わってしまうは耐えられない感じだったの。きっとメイスなら、今まで最高のコトリの男になれるって体が感じてる。

    「次座の女神様」
    「やだ、ベッドの上ではコトリって呼ぶって約束してくれたじゃないの」
    「そうなんですが、公務に戻る時間がやって参りました」
    「そうねぇ、次の時に続きをしようね」
    「楽しみにしております。次回は目指せベスト・ファイブで」
    「ダメよ、次の時は絶対に最高記録を作って」
    「御意のままに」
 メイスの休暇もコトリと同じ十日間。コトリも朝の祭祀に出かけなきゃ。メイスがフラフラしてるわ。まあ、あれだけやれば人なら耐えられないか。コトリは男には女神の力は使わないけど、自分には使ってるの。ちょっとずるいと思ってるけど、こんな戦時下ではやれる日は限られるから、自分で許してる。ホントはコトリも女神の力なしにしたいけど、今はちょっと無理。

 去っていくメイスの後姿を見送りながら、本当に言いたかったことが心で高鳴ってる。メイス、死なないで。何があっても生き残って。メイスは女神の男じゃないの、コトリの男なの。死んでコトリを悲しませたりしないで、コトリのお願い。