ヒマがあったら練習しとってんけど、ホウキはだいぶ上手くなった。もっともホウキだけで二十本ぐらい折ってもたから、侍女の嫌味はしっかりあった。
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「次座の女神様。今は戦時体制で、モノは普段以上に大事にしないといけません。これが民のお手本である次座の女神様のなされる事ですか。それと次座の女神様は軍事研究と仰いましたが、ホウキを折る軍事研究など聞いたことがありません」
あれもコツやな。覚えてしまうとなんちゅう便利な能力やと感心したぐらい。ユッキーのやつ、早く教えてくれてたら、どれだけラク出来とったかわからんぐらい。思い出しても腹立つわ。でも、ホウキとチリ取りが自在に扱えるようになって、侍女にリベンジしたってん。例の人を自在にコントロールする実験台になってもろた。
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「軍事研究に協力してくれないなぁ」
「ホウキとチリ取りですか?」
「そうよ。あれが軍事研究だって教えてあげたいの」
「おほほほ、次座の女神様も冗談がお好きで」
「じゃあ、イイわね」
「はい・・・」
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「はい、おしまい」
「はぁ、はぁ、はぁ、これを研究されてたのですか」
「そうよ」
「さすがは知恵の女神様」
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「でも、ホウキとチリ取りで掃除させるのに軍事的な意味があるのですか?」
「もちろんよ、そこから先は軍事機密だけど」
ユッキーが出来た事はほぼ出来るようにはなってん。もっとも料理は結局出来へんかった。料理も温度調節まで出来たけど、味がね。すっごい繊細なコントロールが必要で、ちょっとミスったらムチャクチャ不味くなって食べられへんようになっちゃうの。それを修正しようとあれこれやっても、まさに泥沼のドツボ。何回かチャレンジしたけど、ついにあきらめた。失敗しときの空腹がたまらへんし、食べ物を粗末にするのは良くないものね。
さて、問題の対魔王対策やねんけど、やってる途中に閃いてん。力は外に送り込めるやん。ここがポイントだって。ホウキやチリ取りだって力を送り込んだ結果のものやんか。だったら、女神のエネルギーを一点に集中して絞り出すことも可能なはずだって。でも、理屈はそうでも、そうは簡単にはいかへんかってん。
でも絶対できるはずやと思てんよ。思った根拠がクソッ腹が立つけどクソ魔王。あの野郎は女神のエネルギーを搾り取るって言いふらしてるやんか。クソ魔王にできることが、この知恵の女神に出来へんはずないのよ。あんなエロ性獣に出来て女神に出来へんはずがあらへんもん。