アングマール戦記:決戦前夜(1)

 毎度毎度ゲラスになるけど、軍団同士で決戦をするのなら平坦地がエエのよね。ファランクスは密集体型で前方に物凄い突破力を発揮するけど、ファランクス陣形を組めないところでは戦いにくいの。それとコトリも戦ったばかりだから、地形も良く知ってるし。

 そうしたらやっと騎馬隊がやってきてくれた。とにかく貴重な戦力やから、ユッキーもなかなか渋ってたけど、この戦いに使わへんかったら宝の持ち腐れになるし。これにリメラを破った時の左翼超縦深隊列を組み合させれば勝てるとは計算していた。あん時より兵力増えてるし。

 そうそうファランクスは正面からでも右端が弱点になるけど、側面や背後はムチャクチャ脆いのよね。前にやった戦術も左翼を突出させる関係で、左翼の右側面がガラ空きになる欠点はあるの。そこで中央部隊列と散兵部隊でカバーしてたの。今度は騎馬隊もいるから強化できると思うわ。アングマールも騎馬隊持ってるはずだから、騎馬隊が間に合ってくれたのはラッキーだわ。

 ただコトリの心は晴れないの。前にセカに言ったことがあるけど、この決戦はどうにもアングマールに誘い込まれてる気がしてならないの。決戦に対する準備だって十分とは言え無いし、アングマールの兵数さえはっきりしないのよ。こういう状態での決戦はやるべきじゃないってセカにあんだけ言ってたのにコトリは臨まされてる気がしてならないのよねぇ。

 あれこれ考えてた決戦に臨む理由だって、あれはアングマールの準備工作がコトリを上回っていると見れてしまうの。つまりそこまで追い込まれてるってこと。戦う前に作戦負けしてる決戦に勝てるわけないじゃないの。というか司令官のコトリがここまで迷っている時点で勝負の危うさがわかるぐらい。

 もう一つなんだけど、女神の戦術がおかしいの。そりゃ、アングマールとの決戦やから全開でやってるんだけど、災厄の呪いが効いてる気がしないのよね。それだけじゃないのよ、全軍の士気がどうにも揮わないの。コトリでさえそう。こんなこと初めてだわ。逆に攻め込まれてる気さえする。いや、もう防戦一方になってる。なにが起ってるのだろう。こんな感じは今までなかったもの。

 やっぱりコトリに合戦は向いてないわ。ユッキーだってそう。仕方ないからやってるだけだもの。女の仕事じゃないってホントにそう思う。負けたら論外だけど、勝ってもいっぱい死ぬのよ。戦争を指揮するって、人の生死を算数みたいに冷たく計算できる人じゃないと向いてない気がする。