女神伝説第4部:あとがき

 今回のテーマは女神の宿主代わり。コトリが人としての寿命を悟り、新たな宿主に移るお話です。これをどういう味付けにするかみたいな内容です。とりあえず小島知江の死をドラマチックかつミステリアスにするから入っています。ここは書きやすかったのですが、問題は再登場シーン。

 これもプロットだけは決まってまして、あわやの時にヒョッコリ顔を出すパターンにしたかったのです。たとえて言うならウルトラセブンのモロボシ・ダンの登場シーンみたいな感じです。ところがこれをやると、後の話の展開に困るのです。ダンみたいにウルトラ警備隊にスンナリ入る設定は無理があり過ぎるってところです。

 やっても良かったのですが、そうなればコトリを発見したシノブやミサキがコトリをクレイエールに入社させる運動をしないといけませんし、これを綾瀬社長以下が納得する過程も必要になります。さらにクレイエールに戻ってからのポジションも問題になります。やはりバランス上、シノブやミサキの上に来ないと収まりが悪いってところです。

 それと書いてみて困ったのはコトリが宿主にした人の扱いです。人格が融合するパターンも考えたのですが、それはそれで書きにくいし、コトリの人格になってしまえば、純粋に乗っ取りです。結局のところ乗っ取りにしたのですが、そうなれば陽気なドタバタ劇に持って行けなくなります。そのために情緒不安定の設定が必要になり、話のトーンが重くなってしまいました。

 それと女神伝説も第四部でとりあえず終了の予定です。実質的には『天使のコトリ』からの続編ですから、堂々の文庫本五冊分の大作になります。もっとも長編と言うより、連作とした方がよいのですが、さすがに新味のある話を展開しにくくなっています。そうそう目新しい事件を起こすのが難しくなったぐらいでしょうか。

 それとコマメに年齢合わせを続けた結果として、シノブも四十六歳、ミサキも四十一歳になってしまいました。処女作の『恋する歴女』から出ずっぱりの山本やシオリに至っては五十六歳です。第五部を展開させると山本やシオリは還暦になっちゃいます。さすがにちょっとってところです。

 思えば去年のお盆休みに小説を書いてみようと思い立ってから、これで八作目です。よく書いたものだと思っています。これだけ書けば立派に「自称」小説家は名乗れるのではないかと思っています。誰か挿絵を描いてくれる人がいないか募集中です。