コトリ専務は嬉しそうです。あの上の空状態なんてどこへやらです。それとここのところ魔王の話題が出てきません。ユッキーさんも帰ってしまいました。帰られる時はさすがに心配で、
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「襲われたら、ミサキでは抵抗し切れません」
「そうよねぇ、ミサキちゃんも腕力ないから危ないところがあるものね」
「だったら」
「だってキリないやん。それにミサキちゃんもそろそろ燃えたいだろうし」
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「マルコが可哀想だと思わない」
「それとこれとは話が別です」
「手伝おうか」
「けっこうです」
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「それにさぁ、やっても良かったのよ」
「けっこうです」
「だって、わたしも見てるもの」
「ミサキのをですか」
「それは見てないよ、カズ坊とシオリだよ」
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「あの二人、仕事の関係ですれ違いが多いから、一緒の時は頑張ることが多いのよ」
「えっと、その、あの」
「わたしも退屈だからカズ坊と一緒に感じることがあるんだけど、男の感じ方ってもう一つね。わかった? せっかく女の体になれてるんだから、わたしも楽しみたいの」
その辺のブレーキがユッキーさんもコトリ専務も相当緩み切ってるぐらいでしょうか。だったら淫乱とか、色情狂かといえば・・・コトリ専務は時にそうなりかねませんが、むちゃくちゃ矛盾したブレーキがドンと存在しています、とにかく少女趣味の純愛とかツンデレ愛を猛烈に渇望されているのです。
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「ミサキちゃん、第二段階に入っているから心配ないよ」
「どうしてですか」
「危なかったのは第一段階の時だったの。あの時ならまだクソエロ魔王もミサキちゃんぐらいなら襲える力が残ってたし、それが出来る組織もあったはず。でも襲わなかったろうな」
「そうなんですか」
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「まずね、クソエロ魔王はやり口が陰険な割にバカに慎重なのよ」
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「ミサキちゃんのボディ・ガードやってたのは念のため。わかる? クソエロ魔王はわたしの存在に勘付いたはずよ。つまりはコトリとわたしを同時に敵に回したってこと。そうなれば一人がミサキちゃんの護衛に回るのは戦術の常識」
「だったら泊る必要はなかったってことですか」
「そうでもないよ、戦いには裏も表もあるの。わたし達が手を抜けば、そこを襲うのもまた戦術よ。ただね、今回で言えば常識として護衛が付くのを逆手にとって、わざと手を抜くようなリスクを冒す必要はなかったってこと。それぐらいはクソエロ魔王でも読めるよ。まあ、血迷って襲ってくる可能性もゼロじゃないし」
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「ところで第二段階って何やってるのですか」
「クソエロ魔王への直接攻撃」
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「これからはクソエロ魔王のいるところは災厄が降り注ぐの」
「それは第一段階でもやってたかと」
「第一段階はね、クソエロ魔王本人じゃなく、その周囲に災厄を降らせてたの。これは、よりクソエロ魔王の力を削るためと、どれぐらい力が残っているかを計ってたの」
「でもユッキーさんは魔王の力を見たのでは・・・」
「わたしは見切ったつもりだけど、十分に力があれば弱く見せることも出来るのよ。それとコトリだって神相手に災厄の呪いをかけるのは初めてだから慎重になってた。弱ってるとはいえクソエロ魔王が相手だからね」
「そうだったんですか」
「わたしの攻撃は強めにかけてたの。攻防戦でクソエロ魔王のパワーを削るのと、コトリが罠を仕掛けるのを気づかれないように」
「そしてかかったのですね」
「コトリも怖いよ。あそこまで縛り上げたら、元気な時のクソエロ魔王だって解けたかどうかは疑問だよ」
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「魔王はどうなるのですか」
「コトリの災厄の呪いを振り解こうとするだけで神のパワーは落ちる。いや、何もしなくても徐々に消耗させられる。そして人からの補充は出来なくなる」
「つまりはミサキは襲われない」
「そういうこと」
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「今からでも高飛びしたらどうなりますか」
「どこに逃げても無駄。まあ、火星まで逃げられたら自信ないけど、月ぐらいだったら心配ないよ」
「月とか、火星レベル・・・」
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「それとね、第二段階に入ったら高飛び出来なくなるのよ」
「でも空港まで監視できませんが」
「飛行機に乗れば海の上に必ず落ちる。そうなれば魔王がいくらジャンプしても生きている人間はいなくなる」
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「国内だって移動はドンドン難しくなるよ。クルマは事故る、電車やバスだってそうなる。歩いていたって上から鉄骨ぐらいは降ってくるし、クルマが魔王めがけて突っ込んでくる」
「ひぇぇぇ」
「家は火事になる。ガス漏れもすぐ起る。ご飯食べたら食あたり」
「それでは巻き添えが・・・」
「出るから、普通はここまでしない。だから極刑。でもコトリは断固としてやめる気はないよ。それはわたしも同じ。そうそう怪我して病院に運び込まれても同じ、必ず誤診され、手術は大失敗、間違いなく人はトドメを刺される」
「ジャンプしても・・・」
「同じことの繰り返し」
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「そろそろ第三段階よ」
「それって」
「そうよ、『永遠に苦しむべし』になる」