今日はシノブ常務と外にランチしようとなって玄関から出ようとしてたのですが、なにやら受付の方でちょっとした騒ぎが。受付業務も総務の管轄ですから気になって見に行きました。
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「・・・だから小島知江さんに取り次いで欲しいの」
「何度も申し上げましたように、小島は申し訳ありませんが、本日、お会いできる時間がございません。御手数かと思いますが、アポイントメントを取られてから後日にお願いします」
「小島さんが忙しいなら結崎さんでもイイわ。まだ結崎さんはこの会社にお勤めよね」
「結崎は当社の社員ですが、結崎に御面会希望でしたら・・・」
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「失礼ですが聖ルチア教会の寺田先生ではありませんか」
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「えっと、えっと、あなたは・・・」
「お久しぶりです、その節はお世話になりました」
「あ、いや、どうも、その、間違ってたらゴメンナサイ、ひょっとして結崎さんですか」
「はい、当時は特命課長でした結崎忍です」
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「小島は本日の面談は難しいかもしれませんが、私で良ければこれから昼食に出かけますから、そこでお話を聞かせて頂けませんか」
「あら、悪いわね。そうしてくれたら助かるわ」
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「小島さんは代表取締役専務になったんだ。そりゃ、アポ無しで押しかけても断られるよね。結崎さんだって常務なら会わしてくれないわよね」
「申し訳ありません」
「こちらの方は秘書さん」
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「ふぇ、クレイエールってどうなってるんだろ。私も勤めたらそうなれるのかしら。それはとりあえず置いといて、今日来たのはね・・・」
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「ところがね、そんな廃教会にヴァチカンから再び神父を派遣するって話が出て来てるの」
「今さらですか」
「そうなのよ、それも急な話で来月にも来るらしいの」
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「あれねぇ、廃校時に置いとくとこがなくて、とりあえず聖堂に運び込んだのが始まり。プランとしてはいずれどこかに移る予定だったんだけど、そんなカネがあるわけでもなしで、ずるずるとそのままになってるの」
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「神父さんが来て教会が復活するのは良いとしても、出て行ってくれって通告されちゃったの」
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「NPO団体が資料を置いてるのは仮置き場としてだったし、あくまでも短期の予定だったから、当時の事情を斟酌してくれて無料だったの。つまり今は単なる不法占拠状態になってるから『出て行け』と言われると弱いのよね」
「NPO団体の方はどうなってるのですか」
「団体って言えば大層なものを想像するかもしれないけど、本部は教会で職員は私一人。最初はもう少しいたんだけど、OG会からの寄付も先細りなの」
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「それで今日の御用向きは」
「厚かましいと思ってるけど、資料の仮置き場にクレイエールの倉庫を借りられないかと思ってなの。だって、このままじゃ、あの資料は行き場がないからゴミになっちゃうのよ」
「それで小島に相談を」
「他も当たったんだけど、どこも返事が渋くてね。そりゃ、タダで貸してくれだし、仮置き場と言いながら、次の行き場もないようなものだから。虫が良すぎるのはわかってるけど、ゴミにしちゃうのはもったいないし」
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「ところで、新しく赴任される神父さんの名前とかおわかりですか」
「えっと、えっと、たしかライボリーニ神父さんよ」
「お話は伺いました。小島とも相談させて頂いて、近いうちに必ずご返事させて頂きます」
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「シノブ常務、なんかもったいないお話ですね」
「私も特命課の時に利用させてもらったし、寺田先生にもお世話になってるの。あの資料は聖ルチア女学院の歴史を残すものとして貴重なものよ」
「でも残すとなると」
「そうなのよね。会社としてどこまで肩入れするかの問題は出てくるの。文化事業にはなるかもしれないけど、費用対効果が限定的過ぎるのよ」
「やはり実質的なOGのコトリ専務に相談ですね」
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「ミサキちゃん、コトリ先輩には私から言うわ。少し気になる事があるし、コトリ先輩もそれを知りたいだろうし」