第3部後日談編:あとがき

 この話は『恋する歴女のいる酒場』の後日談として書き始めたもので、前作の粗筋はプロローグに書かせて頂いています。『恋する歴女のいる酒場』は歴史編が書きたくて、ラブロマンスはオマケだったのですが、オマケのはずのラブロマンスを膨らましているうちに、今度はラブロマンスだけを書きたくなったのが今度の作品です。

 とにかくラブロマンスなんて書いたことも、読んだこともなかったので、たぶんこんな感じだろうってぐらいで書いています。途中で感想も頂いたのですが、とりあえず同級生ばかりで気色悪いと言うのがありました。

 これは反省点ですが、とりあえず私が同級生ラブをしたかったというのが最大の理由です。もうちょっと気取って言えば、過去に止まっていた時間が再び動き出す設定が書きたかったのもあります。それでも全員がそうなのはチト拙かったと思っています。

 ただ書いていて人間関係の設定がラクチンだったのもあります。やたらと女同士が会うシーンがあるのですが、これも恋のライバルではあっても、同級生で友達だったということで説明できる便利さはありました。お互いをある程度知っている点もです。

 もう一つ設定で拙かったのは年齢。主人公を医者にした関係で、どうしたって年齢層が高くなります。気にはなっていたのですが、最近ならそんなに問題にならないだろうぐらいで、流しています。

 他には天候というか季節的な背景をもう少し使っても良かったかもしれません。これも使う予定はありました。そりゃ、チェリー・ブロッサムの乾杯は桜舞い散る中にしたかったからです。ただ途中で四人もヒロインを並立させた関係で、辻褄を合わすのが大変になって、ボカシてしまっています。

 ヒロインが増えてしまったのは、ヒロインの人物設定を書きこんでいるうちに思い入れが強くなってしまい、格上げにしてしまったからです。白状しておきますと、当初構想は「コトリ VS みいちゃん」で、狂言回し役にシオリだったんです。プロットとしては、コトリと主人公との関係修復にシオリが奮戦する話ぐらいです。

 これがシオリが主人公に献身的である理由のエピソードを書き加えていくうちに、ちょっと書きすぎまして、ヒロインにしないとチト拙い展開になってしまったのです。とくに何回も使い回した二年間の同居・同棲生活のエピソードを膨らませ過ぎたのが祟ったぐらいです。

 シオリのエピソードを膨らませざるを得なくなったのは、実は主人公にも格好良さというか、魅力を書くのを忘れていたというか、前作でそれなりに書いていたつもりで省略していたのです。ところがこの作品だけで独立するとなると、ヒロインが魅かれる理由が余りにも乏しいというのが出て来たからです。

 そこで新たな狂言回し役にユッキーを登場させたのですが、ユッキーへの思い入れはシオリ以上のものになり、それこそ自分で創作した人物なのに惚れこんでしまう感覚になってしまったのです。

 ユッキーへの思い入れは強烈で、もう主人公と結ばせずにいられなかったのです。だから結ばれたのですが、そのために当初構想はご破算になってしまった訳です。煽りを喰らったのはみいちゃんで、早々に退場してもらうことになりました。

 ユッキーもそうで、途中から出てきて突然結ばれてのハッピーエンドなんかにしたら、前半で意味ありげに出て来てるヒロインの処置に困ります。後半のキーワードになる予言を残してやはり退場とさせて頂きました。

 ユッキーの登場で当初は一〇〇〜一五〇ページぐらいの予定が大幅に伸びてしまい、最終的には前作を上回る規模になってしまっています。とても後日談的な範囲で収まらなくなり、独立作品としています。ですからブログ公開時になかった、プロローグを後で書き足しています。

 まだ実質的に三作目ですので、不十分な点は多々あったと思いますが、あくまでも趣味ですから、楽しんで頂ければ幸いに思っています。