第3部後日談編:シオリと坂元の忌まわしい因縁

 坂元とは高校の時から付き合ってたの。大学も近かったから続いてたんだけど、大学入って早々にバージン奪われたんだよ。まだウブだったから、まさかあんなところで襲われると思ってもなかったわ。信じられなかった。

 付き合ってたから『いつか』とは思ってはいたけど、あれじゃレイプ同然じゃない。ムードもなにもあったもんじゃない。はっきり言って嫌だった、痛かった、悲しかった。それでさぁ、次の日からの態度が物凄く横柄になって、まるで自分の持ち物みたいに扱いやがるんだよ。

 あの頃の私は本当にウブだったから、それでも坂元の女になれたぐらいで納得しようと思ったんだ。でさぁ、何度も求められたけど、ちっとも良くないんだ。そりゃ、最初のイメージが悪すぎたのもあったと思うけど、今から思い出しても下手だった。

 ぶっちゃけていうとすっごく早かったんだけど、早く済んでしまうので、それ以外の満足をひたすら求められたんだよ。それでも他に男を知らなかったから『こんなもの』ぐらいと思おうとしたけど、あれは私のすべてを粉々にする地獄だった。

 坂元にはなんでもやらされたよ。手始めは口だった。嫌だったし、抵抗もしたよ。でもね、思い知らされたんだけど、坂元は手をすぐに上げるんだ。それでも抵抗したけど、何度も何度も手を上げられて、泣く泣く最後はやらされた。

 坂元は口がとにかく大好きだった。抱く前もさせられたし、抱かれた後もさせるんだ。飲むところまでさせられた時には地獄かと思ったよ。吐き出したら手を上げられたから、それも出来なかった。何度も何度もさせられた。一つだけ助かったのは早かったことだけ。外でも何度もやらされたよ。とにかくなにかあれば口だった。それも進んでしないと手が上がるんだ。すっごく嫌だったけど、おねだりまで言わされた。口の中が変になって、食事の味もおかしくなった気がしてた。

 あれも忘れられないけど、坂元がニタニタしながらオモチャを買ってきたのよ。この時も抵抗したけど、すぐに手が上がる坂元の前では最後は同じだった。使われてしまったの。すごく悲しかった。なんでこんな目にあわなきゃいけないんだって。その後も坂元は嬉しそうに次々と買ってきて使われたし、やはりおねだりまで言わされた。

 もっと参ったのはマッサージ器。なんでそんなものが出て来たか最初はわからなかったのだけど、使われた時には悲鳴をあげたわ。でもガッチリ押さえられてどうしようもなかった。『やめて』と泣き叫ぶ私をニヤニヤ笑ってた坂元の顔を忘れない。これも当然のように使われ続けた。またあれかと思うとそれだけで絶望感に浸ったもの。そうそう、おねだりを言わされるのも同じ。

 嫌がっても、抵抗しても手が上がるだけだし、あの手は容赦なかった。私は坂元のしたいことを従順にひたすら受け入れたの。でも従順だけでは坂元は許してくれなかった。積極的に求めるように強制され続けた。そんな坂元が言い放つのは、

    「シオリを女にしてやったのはオレや。シオリは感謝してオレ好みの女になるんや」
 ここまで言われて、もちろん最初の頃は反発してたんだけど、すぐ手の上がる坂元の前ではあまりにも無力だった。もっとひどい事も言われたが、その言葉に反発することさえやがて出来なくなったの。私に許されたのは迎合と感謝の言葉だけだった。

 坂元の手も怖かったが、一番辛かったのは心をいたぶられること。私にみじめな言葉を強制させ、私のプライドをずたずたに引き裂いて行った。そう、今でも忘れない、あの誓いの儀式の日のことを。

 これ以上はないみじめな言葉を要求された。これは人間としてのプライド、女の誇りにかけても言えるはずがない言葉だった。私は抵抗した。そんな事をするぐらいなら死んだ方がマシと思った。こればっかりは許してくれと懇願もした。長い、長い時間、本当に長い時間、私は耐えに耐えたわ。歯を食いしばって耐えたよ。なにがどうなっても言うまいと何度も自分に言い聞かせたわ。でも坂元は許してくれなかった。許す素振りさえ見せなかった。私の中の何かが壊れていく気がした。最初は小さく、徐々に大きく、そして最後に砕け散った。

 すべての希望が絶え果てた末についに求められたみじめな言葉を口にした。その言葉はあの忌まわしい誓いの儀式の始まりの言葉だった。儀式に抵抗する意思の欠片さえ失っていた私は、すべての儀式を受け入れた。私の出来た抵抗は涙を流す事だけだった。儀式は私のすべてを奪っていった。人間としてのプライド、女の誇りのすべてを。すべてを奪われ尽くした後に誓いの言葉を授けられた。なにも出来ない私は何度も何度も数えきれないぐらい真っ暗な絶望の中で誓わされた。

 そうなの私は誓いを立てさせれらたの。そして誓いの証の烙印を心だけでなく体にも刻まれてしまったのよ。一度立てさせられた誓いは絶対だった。破る事は最大の罪として罰せられ、誓いを守るための儀式が行われた。これは何度も、何度も繰り返され、そのたびに私の心には新たな烙印が刻まれていき、やがて誓いは私のすべてを支配し蝕み尽くしていった。

 当時の私は感覚がマヒしてたんだろうね。そうされても耐えてたの。いったい何のために耐えてたかわからないけど耐えてたの。DVなんかで逃げられなく感覚ってあんなものかもしれないね。今日はなにをされるんだろうの暗い気持ちなのに、坂元の呼び出しを拒否できないと頭から思い込んでいたぐらいかな。たぶん精神的な麻痺状態になっていたと思うの。

 ようやく目が覚めたのは、坂元が他の女に手を出しまくっていたことを知った時。ふとゴミ箱をみたらコンドームがあったんだ。それも一個や、二個じゃないんだ。実はね、坂元は私には使った事がないの。頼んでも絶対使ってくれなかったのよ。

 問い詰めようとしたら平然と、

    「シオリだけって思てたんか。おめでたい奴だ」
 悔しかった、情けなかった。ずっと耐えてたのは、それでも一人と思ってたからの部分もあったのよ。そう、最低限愛されてると思ってたの。でもそうじゃなかった、私を愛してるのじゃなく、私の女だけを欲望解消のために使っていただけだったの。つまりは生身のダッチワイフみたいなもの。

 それでもこれで、麻痺しきっていた女のプライドが甦ったのよ。まだそんな反発心が残っていたのが不思議なぐらいだったけど、燃やす事さえ忘れていた怒りに火がついたの。その時に坂元はミスを犯してくれたんだ。坂元は私を完全に征服していたと思い込んでいたんだよ。

 いつものように手を上げた後に、傲然と口を要求したんだ。私はそばにあった怨み深いマッサージ器で思い切り殴ってやった。坂元は悶え苦しんだよ。台所に行ってフライパンを持ち出して、変形するぐらいぶん殴ってやったら坂元は静かになった。

 後は私をさんざん弄んだマッサージ器やオモチャを叩き壊した。私を縛り付ける道具に使っていたもの、スマホ、カメラ、ビデオ、パソコン、テレビ、そしてDVDの山を徹底的にぶち壊した。あの時に少しだけ冷静さが残ってたのはラッキーで、スマホとパソコンを壊す前にクラウドも全部消せた。IDとパスワード? あははは、紙に書いて貼ってあったんだ、だからピンときたんだけどね。後は手あたり次第、壊せるものは壊しつくしたんだ。

 そうやって、やっと坂元との関係を断つ事ができたんだ。もうちょっとでも遅かったらと思うと、ぞっとする。あそこで怒れたのと、怒りの中でも冷静さが残っていたのが運命の分かれ目だったんだ。それでも、あれがギリギリだったんじゃないかと今でも思ってるわ。とにかく坂元は思い出すだけで反吐が出る忌まわしすぎる経験だよ。

 あれでも坂元は私のバージンを奪うまでは紳士っぽく振る舞ってたのよ。絵に描いたような爽やかイケメンだったもの。それに憧れて彼氏にしたんだけど、男の本性を見抜くには若すぎたし、経験もなさすぎたってところだったかもね。『男運が悪い』っていわれたこともあるけど、最初がこれだから当たっているかもしれない。

 大学は中退して写真の道に入ったんだけど。弟子入りした師匠にも襲われた。友達とかには襲われそうになって逃げたと誤魔化してるけど、本当は襲われただけでなく関係も続けさせられたの。そうなの二人目の男もロクなものじゃなかったってこと。

 なにが悲しくて、あんな吐き気のしそうなブヨブヨの中年太りのオッサンに抱かれにゃならんのかってところだよ。坂元同様、抱かれても楽しいことはなにもなかった。強いて言えば、オモチャとマッサージ器が出て来なかったのでホッとしたぐらい。

 でも口は・・・男って好きだよねぇ。これはパブロフの犬のように坂元に仕込まれ尽くされていたから、やったよ。嬉しそうな顔してやがったけど、私の人生ってこんな事を教え込まれて、やらされるだけかと思うとホントに情けなかった。

 それでも坂元よりマシな点が一つだけあった。抱かせりゃ、ホイホイと写真のテクを教えてくれるんだ。それだけじゃないよ、小遣いぐらいならせびれるんだ。小遣いはホントは抵抗があったんだよ。そりゃ、売春やってるようなものになるからね。それでも、手を上げられより余程マシだった。まあ、あれは愛人契約やってたと思っておくことにしてる。でもやってることは一緒か。

 でもこれで一つヒントを得たんだ。坂元にはいいように弄ばれて、生身のダッチワイフ扱いにされちゃったけど、私の女は上手く使えば、男をコントロール出来るんだって。ほっといても男はいくらでも寄ってくるから、必要ものを男から手に入れて行ったんだ。

 坂元に教え込まれた経験は私の黒歴史だけど、男をコントロールするのには腹が立つほど役に立ったんだ。要はああすりゃ、殆どの男は大喜びして、私に欲しいものを差し出すんだよ。あの頃の私は男などATMぐらいにしか見えなかったんだ。そうやって独立し、仕事も手に入れて行った。

 でもねぇ、途中からそんな自分が嫌になったんだ。自分の価値は女しかない気がしたのよ。女を効率的に利用するには抱かれるのが手っ取り早いんだけど、何人抱かれても嫌悪感しかないんだよ。抱かれるたびに心は荒んでいくし、体も穢れていく感じしかなかったんだ。

 それよりなにより男をコントロールする技術が、坂元に教え込まれたものなのに耐えられなくなったんだよ。そしたらね、たちまち仕事が減って、食うにも困る状況になっちゃったんだ。でも、また男を操るために抱かれるのはもう嫌だった。もう男はとことん嫌だったんだ。そんな時に拾ってもらったんだ。拾ったのは男だった。男なんて嫌悪感しか抱いていないはずなのに、誘われるままにフラフラと転がり込んでしまったんだ。まるで何かに導かれるように転がり込んだの。でもあれが私の人生の転機になったんだよ。

 拾った男は今までの男と違っていた。私の女に興味を示さないのよ。男なんて抱くことしか考えてないケダモノ程度に考えていた私には衝撃的だった。その男が興味を示したのは、驚いたことに私自身だった。何人もの男を渡り歩いて荒みきり、穢れきっていた私を、男の知っている昔の私に戻すことが男の興味のすべてだった。

 今までとは違う生活が新鮮だった。男と暮らしているのに、学校のキャンプにでも行ってるような感覚といえば良いのかなぁ。だんだんと体の穢れが洗い流され、荒んだ心が和んでいくのが実感できたんだ。そしてだよ、ある日気がついたら、拾われた男に素直に恋してたんだ。

 そうなんだよ、すっかり忘れてた男に恋する感覚が戻っていたんだよ。こんな事をしたら喜んでくれるとか、あれをしてあげたい、これをしてあげたいとか、どうやって好きになってもらおうとか、まるでウブな小娘のように自分がした事への男の反応にワクワクしている自分に気づいたんだ。信じられなかった。あのドキドキ感が戻ってきたんだよ。

 年月が経ち、拾われた時の荒んだ心はすっかり癒され洗い流され、その代わりに温かい心がはちきれそうに詰め込まれたのがはっきりわかったの。そうなると私の女に興味を示してくれない男を振り向かせるのに懸命になったの。そりゃもう恋しくて、恋しくて、たまらなかったのよ。そうなのよ、嫌で嫌でたまらなかった男に再び夢中になれたのよ。それがホントに楽しいとしか感じられなくなったのよ。

 そして、ついに抱いてもらえたの。今までの男と全然違った。ひたすら慈しんでくれた、愛しんでくれた。ただただ私が喜んでもらえるようにしてくれてるのが肌からヒシヒシと伝わってくるの。あれだけの数の男に抱かれてきたけど、初めて素直にすべてを委ねたの。いや、委ねるしかなかったの。それも違うわ、男の胸に思いっきり飛び込んだって感じかな。

 そして私に訪れたのは素晴らしい世界だった。そんな世界があるのが信じられなかった、行ってる自分が自分じゃない気がした。これが抱かれるたびにもっと素晴らしくなるの。もうなんの我慢も出来なかった、ひたすら天高く飛び回り、天から戻るとまた夢中になって求めたわ。

 坂元の時とはまったく逆だった。満たされたくて、満たされたくて、恥しいけど狂ったように求めたのよ。抱かれたって、今までの男のように心が荒んだり、体が穢れたりする感覚はまったくなくて、心はますます満たされ、体は抱いてもらえる喜びにうち震えてた。

 ホントに素晴らしすぎて、気がおかしくならないか心配になるぐらい。この世界から二度と離れたくないって心の底から思ったの。その時に、あの坂元の世界からついに解放されたと強く感じたの。解放されて新しい世界で私は生まれ変わったんだってね。そうなの、私は救われたの。坂元に無数に刻み込まれていた烙印はすべて消し去られ、清められ、元通りの心と体になれたのよ。いや、それだけじゃないわ。もっともっと綺麗に丹念に磨き上げれていったのよ。

 坂元に強制され教え込まれた、忌まわしい口さえ喜びに変わっちゃったからね。一日中でもかまわないぐらい。これも一回でも求められたことなんてなかったよ、すべて私がしたくてしたの。すっごく恥ずかしがる姿はひたすら愛おしかった。なんでもっとさせてくれないか恨めしく思ったぐらいだったわ。

 それだけの姿をさらしても、普段はまったく同じ。ううん、もっともっと大事に扱ってくれた。まるでどこかの令嬢のように。いやあれはまさしく天女扱いだった。私って、そんなに価値があった女かと思ったよ。あの荒んで、穢れきってた私がだよ。男に本当に愛されるってこういう事だと初めてわかったんだ。ああいうのを女の幸せとか、喜びっていうんじゃないかしら。

 私は誓いを立てたんだ。坂元に無理やり立てさせられた忌まわしい誓いとはまったく違う、私の心からの感謝を込めた誓いを。この男のためには何も惜しくはない、この男を不幸にする奴は絶対に許さないと。その代りに幸せをもたらす者なら女でも認めると。そう心の中で固く固く誓ったの。この誓いは今まで一度たりとも揺らいだことはないわ。

 別れは突然来たの。あれは悲しかった。私は探したの、他にもいないかと。何人も探したけど、誰もあの素晴らしい世界に連れて行ってくれなかったし、私の心を十分には満たしてくれなかったの。そしてわかったわ。あれが出来るのは世界でただ一人、あの男だけだって。あの男こそ世界一イイ男で、私はたまたま世界一イイ男に拾ってもらい救われたんだと。

 そんな私に世界一イイ男を手に入れられるチャンスが再び巡ってきたのよ。ホントに欲しい、誰にも譲りたくないけど、とりあえず私の誓いに反する女がウロチョロしてるのよ。その女は私の世界一イイ男を塵芥のように捨てた女。私の世界一イイ男を悲しませ、どん底まで叩き込んだ女。つまりは私の心からの誓いを立ててる男に不幸をもたらした女だよ。この女は必ず不幸をもたらすわ。私は誓いを守るのになんの良心の呵責も感じなかった。私の考えられる限りの最大の罰を受けてもらうことにした。喜び勇んで坂元の餌食に差し出してやったよ。でもね、みいちゃん、餌食にされたのはあんたの意志だから、そこだけは誤解しないでね。私は坂元と会えるように、みいちゃんの希望通りセッティングしただけだから。

 あははは、憧れだった坂元を思う存分に味わいなさい。私じゃ合わなかったけど、みいちゃんなら楽しめるかもしれないよ。あの早いんだって私が知ってる頃より、少しは遅くなってるかもしれないよ。それ以外も好みに合えばイイね。ああいうのが好きな女もいるから、みいちゃんもそうだったら嬉しいわ。とりあえず口が好きであることを祈ってるわ。あれが好きなのはたぶん変わってないから。

 でもね、うふふふ、心配しなくとも嫌いであっても全然問題ないのよ。坂元がちゃんと教えてくれるよ。最初は慣れてなくても大丈夫だよ。ちゃんとおねだりまで仕込んでくれるから安心してね。ちょっとだけ心配してあげるのは、私の時よりグレードアップしてると思うんだ。私の時は坂元だってまだ初心者だったけど、あれから何年経ったかしら。

 坂元も上達してるはずよ。もっとスムーズに坂元の世界に入れると思うし、みいちゃんがどうなっているかも、ちゃんと見極めて扱ってくれるんじゃないかしら。だから私の時のようなミスはもうしない気がするの。だからね、あの世界に入っちゃったら二度と抜けられない気がするんだ。

 それとね、私がされた事なんて今なら初歩段階の気がするよ。もっともっと先を心行くまで堪能できるんじゃないかなぁ。想像しただけでワクワクしちゃう。私だって経験者だからアドバイスしてあげると、受け入れちゃったらイイと思うよ。そうなったら楽しいかもよ。まあ、どうせすべてを受け入れるしかないからね。嫌だと思ったって、そのうち慣れるよ、麻痺するよ。私だってそうなれたんだから、みいちゃんも大丈夫だよ、きっと。

 一番楽しみなのは誓いの儀式かな。期待してイイよ。心も体も生まれ変われる体験なんてそうそう出来ないからね。体が変わる部分はほんの少しだけだけど、変わった体に誇りを持ってもらえると嬉しいな。心の方は経験者の私の絶対のお勧め。すべてを投げ出すという言葉の本当の意味を経験できるよ。

 でねぇ、でねぇ、すべてを投げ出した代わりにとっても素敵な誓いの言葉をもらえるの。投げ出すだけの価値は十分あるよ。私が保証してあげる。最初は恥しくて、照れくさいかもしれないけど、心に刻まれる言葉だから大切にしてね。みいちゃんの憧れの坂元の世界に飛び込んでいけるんだから、しっかり心からの誓いを立てなさい。たぶん不安もあると思うけど坂元はちゃんと立てさせてくれるし、立てた誓いは必ず守ってくれるよ。

 そうだ、そうだ。さっき二度と抜け出せない世界と言ったのは、坂元といつも一緒の世界って意味じゃないよ。坂元は飽きるのも早いのよねぇ。じゃ、どうなるかって? そこは私も経験してないけど、お風呂屋さんとか、ちょっと変わった店に就職を斡旋してくれるみたい。みいちゃんなら、変わった店の方の気がするけど、私には良くわかんない。でもね、でもね、お小遣いは受け取ってくれるみたい。でも、いっぱいあげないと機嫌が悪くなるんだって。

 また会える日があればイイね。たぶんないけどね。じゃあね、お幸せに。