今日の昼間はどうしてもカズ坊の病室によう行けんかった。ヘトヘト状態でユッキー様モードをやるだけの気力でえへんかった。他の仕事も嫌っちゅうほど立て込んでたし、それだけで精力消耗してもたわ。でも行かへんかったら行かへんかったで、カズ坊の奴、明日、何言い出すかわからんから、ちょっとだけのぞいとこ。しっかし気合が要るなぁ。
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「お〜い、くたばり損ない」
「おう、ユッキーか。待っとったぞ」
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「何を待っとったんや。香典にはまだ早いで」
「いや、退院前にユッキーに話したいことがあるねん」
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「今日は悪いけど、クタクタやねん。長い話やったら明日にしてんか」
「長ないよ。心配せんでもエエ」
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「ボクとユッキーの仲やから単刀直入に言うな」
「おう、そうしてくれ、はよ帰って寝たいんや」
「結婚してくれ」
「なんやて!」
疲れすぎて幻覚を見てるのだろうか、それとも医局でうたた寝してて夢見ているだけなんだろか。だからもうちょっと言葉続けて・・・お願い。頭の中が真っ白になってる。あれ涙が、涙が止まらない。やだ、私泣いてるんだ。なにをしゃべろうとしても泣き声にしかならない。こんなことは夢でさえ見たことがないの。ゴメン、カズ坊、今はこれしか出来ないよ。
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「わ〜ん」
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「OKでエエか、幸せにするよ」
カズ坊の腕が私をしっかり抱きしめてくれてる。これが一生続くのね。もう私を離さないでね。もっと強く抱きしめて、お願いもっともっと強く。今日からは、いや今からは二度とユッキー様モードにも氷姫にならない。可愛いユッキーになる。カズ坊に愛される可愛いユッキーに。
顎を持ちあげられてる、私のボロボロの泣き顔を見ないで
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「可愛いよユッキー、愛してる」
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「そんなに泣かんでも」
一時間以上泣きじゃくってようやく絞り出せた言葉は、
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「ありがとう」
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『なにがあっても、どんなことがあってもカズ坊を必ず幸せにする』