話には聞いていたけど正直なところホントに辛い。理学療法士は
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「最初から全部できなくても仕方ないですから、無理しないでください」
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「今日ぐらいのお優しい、手始めの『て』ぐらいで悲鳴を上げてるようじゃ、一生寝たきりコースまっしぐらよ。オメデトウ」
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「あれまぁ、こんな初歩の初歩のメニューで悲鳴を上げてるの。こんな調子じゃ寝たきり一直線よ」
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「今日はカンベン」
「なに甘え事言ってるのよ、明日はもっとだから覚悟しときなさい」
思い出してみれば、高校時代はいつもユッキーが傍にいた気がする。そりゃ席がいつも隣か前後だったからそうなるんだけど、それだけでなく他の時もいつも一緒だった気がする。なにをしている時も近くには必ずユッキーがいたんだ。そうだ間違いない。
嬉しい時にもユッキー、困った時にもユッキー、悲しい時にもユッキーだった。なんであんなにいつも傍にいてくれたんだろう。アイツだってよくよく見れば結構綺麗な顔してたよ。もうちょっとお淑やかだったら人気も出たろうに。でもあの口じゃ。
あれっ、ユッキーの口は悪いけど。誰にでもじゃなかった気がする。ボクは置いとくとして、他は、えっと、えっと、えっと・・・まさか。あれってボクだけだったかとか。う〜んと、それ以外の時は・・・ユッキーはずっと委員長やってたから、そうだよな、委員長は優等生の役割だったから普通にというか、凛とした感じだった気がする。
いやそうだよ、この病院でもボク以外と話す時のユッキーは明らかに口調が違う。そりゃ、医者だからボクに対してみたいなタメ口使うはずもないけど、あの口調はボク以外の人にしていた話し方だ。そうや、あの凛とした感じをなんとなく思い出したぞ。じゃ、ああやって憎まれ口を叩いていたのはボクだけだったってことか。
今もボクを元気づけるために無理に使ってくれているのかな。そうだったら実にユッキーらしいわ。良くなったらお礼に御馳走の一つぐらいしてやらないとあかんな。アイツ、何が好きだったっけ。こればっかりは長いこと会ってないからわからへんなぁ。プレゼントも一緒の方が喜んでくれるよな。
もうちょっと余裕が出来たら聞きだしとこう。知られずに聞きだすのは得意技。つうかユッキーってそういう点では単純だから。